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2012年11月5日

洪水被害と保険ー全てを記録せよ

アメリカで浸水の被害にあった人びとは、特別に洪水被害が含まれている保険に入っていない限り、通常の家所有者が購入する災害保険ではカバーされません。住宅にかける保険は、上階からの水漏れや火災の被害の為のもので、水害に関する補償は除外されているのが通常なのだそうです。

つまり、今回のハリケーン・サンディの場合、クイーンズのBreezy Pointの火災で焼け落ちた家には保険金が下りるけれども、スタテン・アイランドで家が流されてしまったり浸水の被害にあった家屋には保険金は下りない事になります。

洪水には洪水専用の flood insurance というのがあります。フロリダのようにハリケーンの被害が多い地域では人気があるようですが、ニューヨークで洪水保険を買っている人はあまりいないと思います。それぞれの保険には何が補償されるかされないかというのは細かな決りが色々あり、日本とは異なります。

大規模な水害を含めた損害を国家レベルで補償するのが FEMA (Federal Emergency Management Agency) です。国が大規模災害と指定した災害で被害を被った人は、保険がなくても、または入っていた保険が被害をカバーしなくても国が費用を低利子で一時期肩代わりしてくれるというシステムです。

もしも、何かの保険に入っている場合には、その補償を受ける事がまず第一です。保険に入っていて支払われる保険金には返済の必要はないからです。それでカバーされなかった残りの分を FEMA は受け持ちます。

FEMA でも洪水保険でも大切なのは、被害を証明できる記録を撮る事です。浸水して使い物にならなくなってしまったソファーを捨てる前に、それを写真やビデオで記録しておくようにとシューマー上院議員もハリケーンの直後から言っていました。上階からの水漏れや空き巣に入られて家を荒らされり盗難にあった時、車の事故の際にも画像による記録は役に立ちます。



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2012年11月4日

ブルームバーグ市長

最近のブルームバーグ市長は、ニューヨークに住んでいれば嫌でも目につきます。先週から災害関係の記者会見に出ずっぱりなのに加え、個人の利益団体の設立、オバマ大統領への推薦、ニューヨークシティー・マラソンの開催に関するゴタゴタなど話題に事欠きません。

ニューヨークシティー・マラソンは、ドタキャンとなりました。このまま多数の反対を押し切って開催するよりも、中止の決断を下せた事に一様の評価はしますが、何故もっと事前にその決定を下せなかったのか、釈然としない気持ちが残ります。ハリケーン・サンディの被害が予想よりも酷いと分かった時点で中止していれば、選手もわざわざ災害でゴタゴタしているニューヨークに来る必要もなかったのに…

被災者に対する対応も、ニュージャージーのクリスティー州知事に比べてどことなく冷たいような気がします。クリスティー州知事が被害の酷かった地域に自ら出向き、悲嘆にくれる被災者を暖かくなぐさめる姿はアメリカ人の脳裏に焼き付いたに違いありません。人びとが政治家に求める姿というのは、こういうものなのだと実感しました。根っからのビジネスマンであるブルームバーグやロムニーに大きく欠けている一面です。

オバマ大統領もロムニー候補も、無所属であるブルームバーグの推薦を勝ち取れば、無所属の有権者に影響を与える事ができると計算したため、双方とも何度かブルームバーグの了解をとりつけようとしていました。今までどちらも推薦を得る事ができずにいたのですが、今回の災害の直後に、ブルームバーグ市長は突然オバマ大統領の推薦を発表して、周囲を驚かせました。

ブルームバーグ市長は、銃規制や同性愛婚だけでなく、地球温暖化に対する懸念も強く持っています。オバマ大統領への推薦は、今回の災害に対する国家レベルでの地方自治体への迅速な援助への評価と、地球温暖化を事実として認めようとする態度への評価もあるようです。

ブルームバーグの前はジュリアーニがニューヨーク市長を務めていたのですが、ジュリアーニの任期の後半はミニ独裁者のような振る舞いが目立ち、市民から大きな反発を買っていました。もしも9/11がなければ、ジュリアーニはもっと酷くこき下ろされていたに違いありません。それに比べればブルームバーグは、異様な振る舞いもないし、それなりの成果をあげたそれなりの市長なのではと思います。



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2012年11月2日

ニューヨークの優先順位ー市民の生活とマラソン

ハリケーンから数日経って、市当局の優先順位と市民の要求にズレが生じて来ています。行方不明者の捜索と電気などの生活の基盤をまず立て直して欲しいと切願している市民と、今週の日曜日にニューヨークシティー・マラソンを強行しようとしている市当局に軋轢が生じ始めたようです。

ニューヨークシティー・マラソンは、市民マラソンのなかでも最も規模の大きいものの一つで、世界中から有名招待選手も毎年参加します。市の財源の一つでもあるので、ハリケーンの被害にあった僅か一週間後にマラソンを開催できれば、それで市の復活をアピールできる事にもなると主催者側は考えているのでしょう。

でも現実には、木曜日の夜の時点で、未だにマンハッタンの34丁目より南側は停電したままだし、幾つかのトンネルと地下鉄も水没したままです。特に被害の大きかったスタテン・アイランドやクイーンズの一部では、未だに崩壊した家やその付近での行方不明者の捜索活動が続いているような状況です。

いくらニューヨークの不屈の精神を内外に表明する意図があるにしても、まだ半壊した家から寝たきり老人が救出されているような段階でのマラソンの開催は、優先順位をはき違えているように感じる人は大勢いると思います。

ニューヨークシティー・マラソンのコースは、ニューヨークの5つの区の全てを回ります。マラソンの解説は、それぞれの区を通過する時にその区の紹介をするのでしょうが、たった1週間前に襲ったハリケーンの被害は、マラソンのバックグラウンドとするには余りにも生々しいのではないでしょうか。

ブルームバーグのハリケーン対応は、今の所迅速で素晴らしいと言われていますが、ニューヨークシティー・マラソンの開催は、その評判に大きな傷をつける事になると思います。

追記:開催二日前にマラソンは中止になりました。やはり被災者を含めた市民の反発が大きかったからのようです。400戸分の発電をまかなえる超大型発電機を2台も使って準備をしていたのがニュースで報じられていましたが、そういう物は非常時には停電している地域に回すべきですよね。



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