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2012年11月5日

洪水被害と保険ー全てを記録せよ

アメリカで浸水の被害にあった人びとは、特別に洪水被害が含まれている保険に入っていない限り、通常の家所有者が購入する災害保険ではカバーされません。住宅にかける保険は、上階からの水漏れや火災の被害の為のもので、水害に関する補償は除外されているのが通常なのだそうです。

つまり、今回のハリケーン・サンディの場合、クイーンズのBreezy Pointの火災で焼け落ちた家には保険金が下りるけれども、スタテン・アイランドで家が流されてしまったり浸水の被害にあった家屋には保険金は下りない事になります。

洪水には洪水専用の flood insurance というのがあります。フロリダのようにハリケーンの被害が多い地域では人気があるようですが、ニューヨークで洪水保険を買っている人はあまりいないと思います。それぞれの保険には何が補償されるかされないかというのは細かな決りが色々あり、日本とは異なります。

大規模な水害を含めた損害を国家レベルで補償するのが FEMA (Federal Emergency Management Agency) です。国が大規模災害と指定した災害で被害を被った人は、保険がなくても、または入っていた保険が被害をカバーしなくても国が費用を低利子で一時期肩代わりしてくれるというシステムです。

もしも、何かの保険に入っている場合には、その補償を受ける事がまず第一です。保険に入っていて支払われる保険金には返済の必要はないからです。それでカバーされなかった残りの分を FEMA は受け持ちます。

FEMA でも洪水保険でも大切なのは、被害を証明できる記録を撮る事です。浸水して使い物にならなくなってしまったソファーを捨てる前に、それを写真やビデオで記録しておくようにとシューマー上院議員もハリケーンの直後から言っていました。上階からの水漏れや空き巣に入られて家を荒らされり盗難にあった時、車の事故の際にも画像による記録は役に立ちます。



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2012年11月2日

ニューヨークの優先順位ー市民の生活とマラソン

ハリケーンから数日経って、市当局の優先順位と市民の要求にズレが生じて来ています。行方不明者の捜索と電気などの生活の基盤をまず立て直して欲しいと切願している市民と、今週の日曜日にニューヨークシティー・マラソンを強行しようとしている市当局に軋轢が生じ始めたようです。

ニューヨークシティー・マラソンは、市民マラソンのなかでも最も規模の大きいものの一つで、世界中から有名招待選手も毎年参加します。市の財源の一つでもあるので、ハリケーンの被害にあった僅か一週間後にマラソンを開催できれば、それで市の復活をアピールできる事にもなると主催者側は考えているのでしょう。

でも現実には、木曜日の夜の時点で、未だにマンハッタンの34丁目より南側は停電したままだし、幾つかのトンネルと地下鉄も水没したままです。特に被害の大きかったスタテン・アイランドやクイーンズの一部では、未だに崩壊した家やその付近での行方不明者の捜索活動が続いているような状況です。

いくらニューヨークの不屈の精神を内外に表明する意図があるにしても、まだ半壊した家から寝たきり老人が救出されているような段階でのマラソンの開催は、優先順位をはき違えているように感じる人は大勢いると思います。

ニューヨークシティー・マラソンのコースは、ニューヨークの5つの区の全てを回ります。マラソンの解説は、それぞれの区を通過する時にその区の紹介をするのでしょうが、たった1週間前に襲ったハリケーンの被害は、マラソンのバックグラウンドとするには余りにも生々しいのではないでしょうか。

ブルームバーグのハリケーン対応は、今の所迅速で素晴らしいと言われていますが、ニューヨークシティー・マラソンの開催は、その評判に大きな傷をつける事になると思います。

追記:開催二日前にマラソンは中止になりました。やはり被災者を含めた市民の反発が大きかったからのようです。400戸分の発電をまかなえる超大型発電機を2台も使って準備をしていたのがニュースで報じられていましたが、そういう物は非常時には停電している地域に回すべきですよね。



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2012年11月1日

温暖化による気候の変化

ニューヨークのダウンタウンが温暖化によって水没するという話はずいぶん以前からありました。イーストリバー沿いに住んでいる人も「もうかなり長く住んでいるけれど、年々水位が上がって来ている」と8年位前に言っていました。

証券取引所があり、ウォール・ストリートもあるアメリカの経済活動の中心地であるニューヨークのダウンタウン地区が今回のように水没し、地下鉄も動かせなくなってしまうというのはかつてなかった事です。

気象学者によると、海水の表面温度が高くなっているので、これからも巨大化したハリケーン、季節外れのハリケーン、ブリザードがアメリカの東北部を襲う事は考えられると言う事です。今回のような「前代未聞」の被害は、また起るという可能性が十分にあるのです。

ハリケーン・サンディによる被害で、アメリカ人はいよいよ温暖化は本当に起っているという想定の元に都市計画を立てなければならなくなりました。地球温暖化に関しては、その真否を疑う人も多いようですが、運を天に任せて温暖化が起っていないと仮定する方がリスクが大きくなって来たようです。

オバマ大統領もロムニー候補も、地球温暖化に関しては一言も触れていません。環境保護のようなエネルギー業界を敵に回す事になりかねない話題は、選挙では命取りになる可能性が高いからです。しかも沿岸地域に住まない多くのアメリカ人にとって、地球温暖化は未だに他人事でしかありません。

今日の記者会見で、ニューヨーク州知事のクオモも市長のブルームバーグも、それぞれ地球温暖化に関して言及していたのは大変興味深いと思いました。サンディの被害状況が一段落したら、将来に向けて何らかの対策を立てなければいけないと言っていました。



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2012年10月18日

人種による分離


ニューヨークは様々な人種が混在している大都会ですが、人種による住み分けが進んでいる事は以前ブログで触れた事があります。実は住み分けだけでなく、仕事分けもニューヨークには存在します。

ニューヨークに来たばかりの頃、何故ダンキン・ドーナツの店員はインド人ばかりなのか、マクドナルドの店員は黒人と南米人が多いのか、八百屋は韓国人がやっているのか、ドライクリーナーは中国人がやっているのか、ダイナーはギリシャ人がやっているのかなど、不思議に思っていました。

例えば、イタリア人がピザ屋をやっていても変だとは思わないのですが、ダンキン・ドーナツに行って、何処の店も必ず店員がインド人だと、何故だろうと思います。

他のアメリカの都市で同様の仕事分けが存在するのかどうか、ニューヨークしか知らない私には充分な知識がありません。でも人種によるステレオタイプを面白おかしく描くシンプソンズなどを見ると、セブン・イレブンはインド人がやっていたりするので、ある程度のお決まりの構図はあるように思います。

これは、商売を始めるにあたっての権利や必要なライセンスの売買が同じ人種間で行われがちだという事に由来するようです。例えば、韓国人移民が何か商売を始めたいと思った時に、一番手っ取り早いのは同じ韓国人移民が売りに出している商売を居抜きで買う事です。

同じ人種の移民同士ならば、既に確立しているルートを使って、市からの営業許可を早く下ろしてもらったり、顧客や取引業者を受け継ぐのも比較的簡単です。

必ず一番最初にある特定の業種に参入した第一号の移民がいるわけですが、多くの移民はある程度の成功をアメリカで納めると、それまでの商売を次の世代の新しい移民に譲って、自分は引退したり別のもっと大きな事業に乗り出す傾向があります。そうやって、徐々に一つの人種が一つの業種を占有していくようです。

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学生の頃、ニューヨークの墓地を回った事があります。ニューヨークでは死んでからも人種による住み分けが存在しているようで、ユダヤ人はユダヤ人の墓地、カトリックはカトリックの墓地に入っている事はもちろんの事、同じキリスト教系でもそれぞれの人種によって埋葬区域がしっかりと別れているのを見て驚きました。

ニューヨークはメルティングポットではなく、モザイクだと言う人がいますが、全くその通りです。ニューヨーカーは混じりあって均一化するのではなく、それぞれ別個の存在でありながら、社会の一端を担っているのです。



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2012年7月18日

ニューヨークの日系社会福祉団体

先日、ニューヨークの日本人社会に関するブログで無料で日本語のサービスを受けられる社会福祉団体がほとんどないと書きました。日本人は中国人や韓国人に比べて絶対数が少ないし、まとまった地域に住まない傾向にあるので、なかなかコミュニティーをベースとした居住者に対するサービスが充実しません。

90年代の初めに私がニューヨークに来て間もない頃、住んでいたアパートの大家が離婚したために、私がその被害のとばっちりを受けた事がありました。英語も今程出来なかったし、法的な事も全然分からず、日本語のガイドブックからJASSIという団体を見つけ、そこがニューヨークに住む日本人に日本語での様々なサービスを行っているという事を知りました。当時はインターネットもダイヤルアップ式でウェブもそれほど沢山ない時代だったので、ジャシーへは電話で直接問い合わせるしかありませんでした。

何年か後に私が大学を卒業しグラフィックデザイナーとして働き始めた後も、ジャシーにはまだウェブサイトがない事に気がつきました。そこでジャシーに連絡を取って以来、ウェブサイトを作らせてもらっています。私はアメリカ人と結婚して子供もいるので、将来はおそらく日本へ戻ることなく、アメリカで余生を過ごす事になると思います。自分が老齢を迎えた時にも、ジャシーのように援助の手を差し伸べてくれる日系の団体がニューヨークに存在していて欲しいのです。

最近、ジャシーのスタッフの方々の使い勝手が良いように、サイトを少々変えました。ジャシーのサイトには、アメリカ生活で必要な様々な情報が日本語でアップロードされています。ビザ、医療保険、失業保険、高齢者に関する事等、どのようなサービスが在米居住者として受けられるのかの概要をサイトを通じて知る事ができます。アメリカに住んでいなくても、将来移住や留学を考えている人は、サイトを見る事によって事前の知識を得る事ができると思います。また、時折ワークショップも行っているので、興味のある方はどうぞ。




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2012年5月14日

肌の色

ニューヨークタイムスの週末版教育セクションに "Why Don't We Have Any White Kids?" と題された少々長い記事がありました。ニューヨークの公立小中学校では人種による隔離が進んでいるために、子供達に良い影響を与えないという内容です。

ニューヨークは、地域によって人種による住み分けがはっきりしています。例えば、マンハッタンは、ハーレム、イーストハーレムを除いて白人居住者の多い地域、スタテンアイランドは圧倒的にイタリア系の多い地域、ブロンクスは黒人と南米系の多い地域、ブルックリンは地域によって白人地域と黒人地域が別れていて、クイーンズは新しい移民が多く人種的な混在が見られます。と言っても、これはかなり大雑把な線引きで、実際はクイーンズのフォーレストヒルズには白人と中国人韓国人が多いとか、ブルックリンのクラウンハイツには黒人とウルトラオーソドックスのユダヤ人が多いとか、それぞれのコミュニティーにはそれぞれの特徴があります。

記事にある学校は特にブルックリンのチャータースクールという種類の公立学校に関してです。地域には白人の家族も住んでいるのですが、その子供達は優秀な子供達のみが入れる地域外の公立学校や私立学校に通っており、近隣の公立学校に入る子供達は黒人の子供達のみという状況になっているようです。

住んでいる地域も黒人が多く、社会的な繋がりや学校で顔を会わせるのも黒人のみという隔離された状況は、実際のアメリカ社会とは大きく異なります。そういう環境で育った子供達が学校を卒業して社会に出たり大学に進学した時に、他の人種の人々と顔を合わせてコミュニケーションを取らなければならない状況に置かれても、相手の肌の色しか目に入って来ないのではないか、とある保護者は記事の中で懸念していました。

そもそも日本人には、「相手の肌の色しか目に入って来ない」というのがどういう事なのか全く理解できない人もいると思います。例えば日本の公立小学校に若い白人アメリカ人の女性の英語教師が配属されたとします。その地域に白人は住んではいるけれど、特別に交流があるわけでもない程度の状況で、学校にいるたった一人の白人教師は、いつまでたっても白人教師でしかありません。その人がどういう教育信念を持った人なのか、どんな社会的な考え方を持った人なのかという人格がなかなか浮き出て来ないのが現状だと思います。

肌の色や表面的な雑作ではなく、その人物の内面を知る為には、儀礼的な挨拶だけではなく、もっと突っ込んだ会話が必要です。子どもだったら、同じクラスに違う肌の色をしていて、違う価値観を持った子どもがいると、そのクラスメートとの会話、友情、衝突、軋轢を通して、世の中には自分と異なった人々が存在するのだというのを経験として学ぶ事ができます。

当然ながら、日本では多彩な人種がいる小学校のクラスというのは、望んでも得られるものではないのですが、だからこそ日本のようなモノカルチャーの世界で生まれ育つ人間は、これからの国際化された世界を生きるにあたって、ある種のハンデキャップを潜在的に抱えていると理解するのは重要だろうと思います。



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2012年5月7日

電線からぶら下がるスニーカー

ニューヨークでは、マンハッタンの電線は全て地中に埋め込んであるようですが、それ以外の地域では、相変わらず電線が電柱からぶら下がっています。アストリアというクイーンズ地区にある自宅の近所も例外ではありません。

自宅の近所の電線からぶる下がるスニーカー
その電線から、スニーカーがぶら下がっている事がよくあります。一つや二つの時もあれば、まとめて沢山ぶる下がっている場合もあり、一体どういう事なのか過去に疑問に思って調べてみた事がありましたが、その時にははっきりした事は分かりませんでした。いままでに自ら電線にスニーカーをぶら下げた事があると証言する人に会った事もありません。

ウィキに載っていたサンディエゴにある
靴がぶら下がっている木
ところが、今日検索をしてみたら、ウィキに Shoe Tossing という題名で説明が付いているのを見つけました。やはり何故スニーカーを電線にぶら下げるのかには異説があるようで、一節によるとドラッグの取引場所を示すマークであるとか、または誰かが死んだ時に死者の靴をぶら下げるのだとか、ほかにも諸説が色々書いてありました。でも実際は、ニューヨークだけで行われている事ではなくて、ロサンジェルスのような都会や田舎でも、またカナダやヨーロッパの国々やオーストラリアの砂漠の真っただ中でも行われているようで、特別に珍しい光景でもないようです。人間の習性なのでしょうか。ニューヨークの場合は、スニーカーが多いのですが、場所によってはブーツだったり、靴を電線にぶら下げるのではなく、木の枝やフェンスに引っ掛ける所もあるようです。

変だなと思うのは、本物のスニーカーでだけはなく、厚紙に印刷されたスニーカーまでたまに電線からぶら下がっています。スニーカーを電線に引っ掛けてなくしてしまうのは嫌だけれど、でも引っ掛けたいという人の為にちゃんとそれ用の既製品もあるという事なのでしょうか。需要があるからこそ、供給もうまれるのでしょうが、こんな用途にまで出来合いの品があるとは、可笑しいです。



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2012年4月17日

日米の疑心暗鬼

アメリカに住んで、早くも19年が過ぎました。まだまだ日本で生活して来た年数の方が長いけれど、19年も住んでいるとアメリカという国の様々な内状が見えて来ます。日本にニュースや映画、テレビドラマ等を通じて伝わるアメリカは、ごく一部のアメリカでしかありません。

日本に関しても、あれこれかんがえます。日本のように変貌が早く激しい国は、ほんの少しいないだけであっという間に状況が変わってしまうので、私がかつて生活していた日本と今の日本は既に大きく異なっています。

日本とアメリカの関係は、どの角度から見ても、お互いになくてはならないパートナーなのですが、お互いの不信感に恒常的に悩まされているように思えます。お互いに相手の事を「抜け目のない、信用できない奴だ」と思っているのです。

日本人からしてみれば、アメリカはかつての占領国で、憲法第九条を押し付けた国、そしてその後自衛隊を作らせた国。アメリカは自国に都合がいいように日本を作り上げようとしました。ところが、アメリカ人からしてみれば、日本が経済大国になったのはアメリカのおかげなのに、日本の取り決めはいつも不透明で交渉がし辛いと思っています。

そしてお互いに自分の国の方が損しているように思っているのです。お互いに独立した国家なので、自国の利権が一番大切で、相手の国には不満や要望がいろいろあって当然なのですが。アメリカで生活している日本人としては、日米間の様々なレベルの疑心暗鬼がとても歯がゆく思われます。

日本人とアメリカ人は共通点がとても少ないのですが、だからこそお互いを知る事が大切です。ブログを通じて、これからもアメリカの現状や文化等を伝えて行きます。



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2012年3月12日

NYシングル・マザー事情

アメリカの結婚の半分が離婚に終わるというのは良く知られた事実です。会社でも子どもの友達の親でも私の知り合いでも、一人で子どもを育てている人は沢山います。元々結婚しないで子供を産んだ人もアメリカには多いし、巷にはそんな大人が溢れています。両親ともに揃っていても、子育てというのは決して簡単ではないのだから、それを一人でこなさなければならない親の日々の苦労は並々ではありません。

日本と同様に、アメリカの場合も離婚後の子どもの養育権は女性が取る事が殆どです。アメリカのシングル・マザーの殆どは働いています。元夫から毎月の養育費(時には元妻への生活費も)も大抵の場合支給されていますが、それで母子の生活費の全てをカバーできる程の手当がもらえる事は稀です。

元々、結婚や出産後も仕事を辞めずに働き続けている女性というのもアメリカでは多いし、その生活力が離婚へ踏み切る決断の支えとなる事も多いようです。また、子どもができてから家庭に入っていた女性でも、離婚を機に職場へ戻る人は沢山います。つまり、離婚後は母親でもフルタイムで働かないと、生活が成り立たないのです。

アメリカの場合、離婚したとしても、子どもを連れて親元にもどる人は殆どいません。それでも私の回りを見回してみると、殆どのシングル・マザーは親や親戚が近所に住んでいて、残業が入った時や、子どもと離れて羽を伸ばしたい時には、子どもを預かってくれます。

アメリカ人のシングル・マザーは、例え40代でも50代でもボーイフレンドを見つけたり再婚する気が満々です。子どもの世話、毎日の生活、仕事に追われて多忙な日々を過ごしているにも関わらず、女を捨ててはいないのです。彼女達は、パートナーを見つける為に中年男性のいるバーに行ったり、運動して体型が崩れないように努力しています。それでも、独身女性のように、行きたい時にフラッとバーに立ち寄れるわけでもなく、例え知り合いになったとしても、子供を持った経験のない男性は子どもというものを全く理解できなかったりと、簡単ではないようです。

彼女達の最終目的は、再婚です。再婚して仕事を辞めるとか楽になるとか、そういう意味で再婚したいのではなく、人生のパートナーが欲しいのです。食事を供にし、子どもも含めて一緒に家族として出かけ、安定した長い年月を信頼できる伴侶とともに過ごしたいのです。そして何よりも、シングル・マザーの生活には、成人した男性の存在が欠けていると痛感しているのでしょう。

そんなシングル・マザーのパートナー探しを良く思わない人もいるようです。子どもがいるのだから、自分の色恋は我慢すべきであるという考え方です。そういう批判をするのは、大抵既婚女性です。既婚女性である私には、その批判する気持ちがどこから来るのか推測できます。つまり、自分の安定した生活を棚に上げて、シングル・マザーの恋愛を探し求める生活が少し羨ましいのです。実は、その安定した生活こそ、シングル・マザーの追い求めている物なのに。いつでも、他人の芝生は青く見えるという事でしょうか。



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2012年3月10日

蛇口の怪

日本では、蛇口をひねる方向も、蓋を開ける方向も、全て反時計回りで統一されています。それが普通だとずっと思っていました。ところがアメリカでは、蛇口をひねる方向が統一されていません。

例えば我が家の洗面所の蛇口は、右側が冷水で左側が温水が出るようになっていますが、水を出す時に冷水は反時計回りに、温水は時計回りにひねるのです。時には、冷水温水両方時計回りにひねるように取り付けられている場合もあり、それが一軒の家の中でもバラバラです。大した事ではないのですが、他人の家やホテル等で顔に洗顔料が目一杯付いている時に、水温を調節しようと思っても、どちら側に回せば暖かくなるのか冷たくなるのか分からないというのは、ちょっと不便です。

どうして蛇口をひねる方向が統一されていないのか、日本で生まれ育った私には理解し難いのですが、これにはアメリカ国民の合意性のなさ、良く言えば多様性、悪く言えばルーズな一面が現れているのだろうと思います。

日本人は、粒ぞろいです。おそらくこれは、標準教育レベルの高さと義務感や責任感の強さから来るのだろうと思います。電車も時間通りに来るし、テレビで音声が一時途絶えるような放送事故が合った場合には、ニュースにさえなるし、全てがとてもキッチリとしています。でも、日本以外で同様な事が期待できる国というのは、まずないと思います。

多民族国家であるアメリカには、実に様々な人がいます。言葉も宗教もそれぞれの常識も違うアメリカで、お互いの意思疎通をする為にはありとあらゆるコミュニケーションの方法を取ってだめ押しをするしかありません。大切な事柄は、お互いに会って口頭で意思を確認しあうのはもちろんの事、それをメールで送って文章としての痕跡を残し、更には電話も一本いれて念を押すようにしています。面倒くさいですが、それを怠って痛い目に合った事も何回かあるので、注意するようにしています。それでもたまに失敗はします。

ところで私の住んでいるアパートは、全ての鍵が逆さに取り付けられています。つまり、鍵の切り込みを上にしないと鍵穴に入らないのです。さすがに、これはアメリカでも特異なようで、他の家では見た事がありません。何か呪術的な意味合いでもあるのか、勘ぐってしまいます。

自分では普通だと思う事は、実は普通ではないのです。世の中には様々な人がいて、常識なんていうものは、自分の中だけにしか存在しないのかも知れません。



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2012年3月2日

先を走る日本

日本とアメリカは全く別の国なのですが、最近日本はアメリカの先を走っていると思う事がよくあります。例を出せば、高齢化と教育費の高騰と経済不況。どちらもあまり喜ばしい事ではありませんが、この件に関して日本は確実に世界のトップを走っており、アメリカも日本がとった(とっている)対策を研究しているようです。

日本のぬかるみのようにいまいち抜けきれない不況は一種独特ですが、日本はアメリカの銀行が怪しい証券等を売りまくっていた間に既に不況の真っただ中で、充分な資金がなかった為に、ヨーロッパ各国のような被害者にならずに済んでいます。この不幸中の幸いのおかげで、日本は一足早く回復の道を歩んでいます。

教育費の高騰も、日本ではなじみ深い問題ですが、アメリカでは新しい問題です。1993年に私がニューヨーク市立のクイーンズカレッジに入学した時には、州外の生徒や外国人の1学期の学費は $1,600 位だったと記憶しています(州内の生徒はその半額)。今学期の学費をネットで調べたら、州内の生徒で $2,565 という事で、インフレ率を考慮したとしてもその高騰ぶりに驚きました。それでもまだニューヨーク市立の大学は学費がかなり安い方で、私立のNYUの今学期の学費は $20,000 にもなります。普通の家庭では支払いきれませんね。

日本では既に前人未到の域に達している高齢化問題も、アメリカでは最近いろいろと騒がれるようになりました。赤字の年金システムに加え、ベビーブーマーが大量に退職する時代を迎えるので、医療と年金をどうするのか、新しい道を摸索しているようです。アメリカでは、成人した親子が同居するというのは、今の不況が始まるまであまりなかったので、子どもが同居の親の面倒を自宅で見るというのも稀なケースでした。多くの老人は、自力で生活ができなくなると、それまで住んでいた家を売り払い、その資金で老人ホームのような所に移るというのが一般的だったと思います。

ただ日本と同様に、大量の高齢者を全て施設に収容するのは無理なので、アメリカもフルタイムのデイケア付きの自宅介護という事になって行きそうです。今の所は、新聞等でも自宅介護の素晴らしさばかりが描かれている記事が目立ちますが、これが将来どうなるのか、自分の将来も考えあわせると気になる所です。



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2012年2月26日

ブリロ

先日、99¢ストアーのショーウィンドーに置いてあったブリロ (Brillo) の箱を見て、思わず足が止まりました。ブリロのウェブサイトには、発売100年を迎えると書いてありますが、かつてのデザインは、かのアンディー・ウォーホールがポップアートの題材として使って世界的に有名になりました。現在のデザインは、当時のデザインとは異なりますが、今のデザインもポップに輝いています。実はここまでポップなデザインは、アメリカのコンシューマーグッズのなかでも稀な存在です。

アメリカ人は、国旗から来るのでしょうか、デザインに使う色では赤と青を基本的に好むようです。ブリロの場合は、赤というよりもオレンジっぽいですが、一般企業のロゴの色も、赤と青に集中しています。どちらかと言えば、強い、シャープなイメージが好まれるようです。

スチールウールにクレンザーが含まれたブリロは、使い捨てが多いアメリカならではの商品です。それでも中には、一つのブリロを二つに分けて使う人、「一回使っただけじゃまだ使えるのに、捨てちゃうのもったいないわ。」と思うアメリカ人もいるのでしょう。最近は、無駄が少なく便利な小さな使い切りサイズのブリロも発売されています。



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