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2012年11月12日

オバマ陣営のデータとサイエンスとマーケティング

Pew Social & Demographic Trends
大統領選挙に関しては既に色々と書いたのですが、最後にもう一つだけ特筆すべき事があります。今回のオバマ陣営の勝利は大統領自身の勝利よりもデータとサイエンスと多様化の勝利と言えると思います。

オバマチームは2010年の国勢調査のデータと過去のデータを元に、2012年の人種別人口分布をより正確に把握したと言われています。一方ロムニーチームは、南米系やアジア系アメリカ人の人口増加率を実際よりも低く見積もっていた所に大きな敗因があったようです。

そのために、最後の最後まで、ロムニーチームは勝利を疑わなかったようで、実際に負けたと分かったときの狼狽ぶりはテレビでも放送されていました。

私は、数学もまともに出来ない完全な文系人間なのですが、データとサイエンスの重要さは最近痛切に感じます。自分の主義主張やイデオロギーに反するデータやサイエンスを「嘘である」と決めつけるようになったらおしまいです。それをしないオープンな物の見方を出来る人達が科学者であり、その探究心を私自身も見習うべきだと思っています。

一つのデータが怪しいと思ったら、同じ内容を調査している別のグループが発表しているデータを入手して比べるべきです。いくら自分が正しいと思う事でも、データによるバックアップがなければ、事実とは証明されないのです。探求もせずに、嘘だとわめき散らしているだけでは、メッキが剥がれるのも時間の問題です。

マイノリティーのデータを正しく把握できなかったというのは、今の共和党にとって象徴的な敗因だったと思います。ダーウィンの進化論を信じない、レイプされた女性は妊娠しないと主張する… これらは私には全て現実逃避という同じ問題の根源があるように思えます。



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2012年11月9日

何故ロムニーが負けたか

大統領選挙が終わってから、各メディアではロムニー陣営の参謀が揃って「我々は白人だけの支持ベースでは勝利できない事に気がついた。もっとマイノリティーを取り込む努力をしなければならない。」というような分析を行っています。

「は???」というのが私の率直な意見です。本当に今頃共和党はそんな事に気がついたのでしょうか。白人票のみで選挙を乗り切れると思っていたロムニー陣営は、幻想を追っていたのでしょうか。アメリカの人種構成で白人の割合が毎年着実に減っているのは今更ニュースにもならない古いネタです。

白人の高齢者層は投票率が非常に高いグループです。おそらくロムニー陣営は、将来はともかく今回は白人票のみで乗り切れると思っていたのでしょう。ところが、オバマ陣営のデータを駆使してターゲットを絞った選挙戦は、白人以外の投票率を激戦区で伸ばすことに成功しました。

共和党の政策は、社会的な保守と経済的な保守の二本柱です。経済的な保守には、多くの日本人が共感しているように思います。財政赤字をなくし、税金を撤廃し、できるだけ政府を小さくする事が経済の発展に繋がるという考え方です。年金や失業保険、生活保護などの社会補償は労働意欲のない個人を助長することになるので好ましくないと考えています。また、仕事を産み出す企業は高所得者層には、税制の優遇措置を取るべきであるとも言っています。

社会的な保守とは、アメリカ的な生活や考え方を重要視し、受精卵は人格を持つので人工妊娠中絶は全廃し、避妊は神の意思に反するので禁止し、強制的な健康保健制度は自由の剥奪であり、同性愛も神の意思に反するので禁止し、学校ではダーウィンの進化論ではなく、聖書の創世記を教えるというような考え方です。おそらく、日本人が共感できる部分は少ないはずです。

現在のアメリカ共和党は、この二つの財政的な保守と社会的な保守をストイックなまでに押し進めようとしています。それに心から共感できるのは、裕福なキリスト教の白人ぐらいのものでしょう。選挙活動中に演説を聞きに集った人びと、また共和党と民主党の大統領選挙の開票パーティーに集った人びとの写真を比べてみれば、一目瞭然です。

一切の妥協を許さない態度は、少数の熱狂的な支持者を喜ばせることは出来ますが、それ以外の人びとからは敬遠されます。共和党の支持者の中にも、「共和党は国民の寝室から退出すべきである。」と考える人はいますが、そういう人びとは徐々に共和党と距離を取り始めました。

アメリカに於いて将来、裕福な白人層が増加する見込みはありません。今のままの支持層では共和党は次の選挙を戦って行けないと、共和党は言っているのですが、私にはそんな事を今更のように言い出す思考回路が全く理解できないでいます。



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2012年10月28日

ニューヨーク市の受験

今日のニューヨークタイムスにFor Asians, School Tests Are Vital Steppingstonesという記事がありました。

ニューヨーク市には、幾つかの受験で入学できるとても優れた市立高校があるのですが、そこに入学している生徒の多くはアジア系移民です。ニューヨーク市の公立学校全体でのアジア人の比率は14%なのに、Stuyvesant Highschool や Queens High School for Science at York College に通う生徒の72%がアジア系です。

何故このようにアジア系の生徒が多いかと言うと、アジア系の親は子供に勉強をさせる(時にはかなりプレッシャーをかけても)からです。中国、韓国、日本にも受験文化があるので、受験勉強はアジア人にとっては当たり前の事です。

特に東南アジアや中国からの貧しい移民の場合、子供が優秀な学校を出て医者か弁護士になる事が一族全体の苦しい経済状況を好転させる切り札となるので、時にはどんな犠牲を払っても子供に成功して欲しいのです。

ニューヨーク市の高校受験に合格する為には、塾のような所に通うのは必須です。仕事を二つ掛け持ちしてどうにか生活しているような移民には、ひと月数百ドルの費用を出すのはかなり大変なはずですが、子供の成功のためには、アジア系の親は何とかしてそれを捻出します。

夫と台湾人である前妻との間に出来た二人の子供は、その方法でそれぞれニューヨーク市の Gifted & Talented Program から有名市立高校へ進学したので、私もその内状は少し知っています。

アメリカ人とアジア人のハーフである夫の子供は、スタイベサントに行っていましたが、完全なアジア人ではないので学校では浮いていたと言います。また、競争が激しすぎる為に、交友関係はギスギスし、カンニングが横行していたそうです。カンニングの件は最近ニュースでも話題になりましたが、今に始まった事ではありません。

高校生活は、朝から深夜までの毎日の勉強と、眠気を飛ばす為に一日に何杯も飲む強いコーヒーと、ベビーシッターのバイトで終始したようです。

そういう高校からの大学への進学率は当然高いのですが、全ての生徒が希望通りの大学へ進学できる訳ではありません。大学側はいくら成績が良くても同じ高校から大量の生徒を取るのを嫌う傾向があるので、多くの生徒が有名大学へ行けるだけの学力を持ちながら、行けないという矛盾が出て来ます。それが更に学校内での競争を熾烈にさせるのでしょう。

私の子供は今4年生で、エンジニアになりたいと言っているので、大学に行かせてあげて希望通りエンジニアになって欲しいと思っています。でも息子には、何時間も根気よく座ってやる受験勉強は無理です。かといって、私立の高校や大学に入れるだけの財力も我が家にはないし、どうしたものかと今から頭を悩ませています。



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2012年10月18日

人種による分離


ニューヨークは様々な人種が混在している大都会ですが、人種による住み分けが進んでいる事は以前ブログで触れた事があります。実は住み分けだけでなく、仕事分けもニューヨークには存在します。

ニューヨークに来たばかりの頃、何故ダンキン・ドーナツの店員はインド人ばかりなのか、マクドナルドの店員は黒人と南米人が多いのか、八百屋は韓国人がやっているのか、ドライクリーナーは中国人がやっているのか、ダイナーはギリシャ人がやっているのかなど、不思議に思っていました。

例えば、イタリア人がピザ屋をやっていても変だとは思わないのですが、ダンキン・ドーナツに行って、何処の店も必ず店員がインド人だと、何故だろうと思います。

他のアメリカの都市で同様の仕事分けが存在するのかどうか、ニューヨークしか知らない私には充分な知識がありません。でも人種によるステレオタイプを面白おかしく描くシンプソンズなどを見ると、セブン・イレブンはインド人がやっていたりするので、ある程度のお決まりの構図はあるように思います。

これは、商売を始めるにあたっての権利や必要なライセンスの売買が同じ人種間で行われがちだという事に由来するようです。例えば、韓国人移民が何か商売を始めたいと思った時に、一番手っ取り早いのは同じ韓国人移民が売りに出している商売を居抜きで買う事です。

同じ人種の移民同士ならば、既に確立しているルートを使って、市からの営業許可を早く下ろしてもらったり、顧客や取引業者を受け継ぐのも比較的簡単です。

必ず一番最初にある特定の業種に参入した第一号の移民がいるわけですが、多くの移民はある程度の成功をアメリカで納めると、それまでの商売を次の世代の新しい移民に譲って、自分は引退したり別のもっと大きな事業に乗り出す傾向があります。そうやって、徐々に一つの人種が一つの業種を占有していくようです。

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学生の頃、ニューヨークの墓地を回った事があります。ニューヨークでは死んでからも人種による住み分けが存在しているようで、ユダヤ人はユダヤ人の墓地、カトリックはカトリックの墓地に入っている事はもちろんの事、同じキリスト教系でもそれぞれの人種によって埋葬区域がしっかりと別れているのを見て驚きました。

ニューヨークはメルティングポットではなく、モザイクだと言う人がいますが、全くその通りです。ニューヨーカーは混じりあって均一化するのではなく、それぞれ別個の存在でありながら、社会の一端を担っているのです。



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2012年10月3日

演説を見る観客の人種

大統領選挙もあと一ヶ月余りとなり、第一回目の候補者討論会も明日行われる予定で、テレビのニュースでも候補者のニュースを毎日のようにやっています。今日は、1〜2ヶ月前から気になっていた演説を見る観客の人種について書こうと思います。

ニュースを見ていると分かるのですが、オバマ大統領の観客の人種が入り交じっているのに対して、ロムニー候補の観客は見事に白人のみなのです。観客と言っても、演説をしている候補者の後ろに座っていてしっかりとテレビカメラに収まる人達なので、勿論全員サクラではあるのです。でも過去の大統領選挙では、どんな候補者も必ず要所にちらほらと黒人や南米系を配置して、幅広い人種からの支持があるように見せていました。

そういう努力までしていないと言う事は、もはやロムニー候補には白人以外の票を集めようなどという気持ちすらないように見えます。いくら白人の中高齢者は投票にいく傾向が高いと言っても、果たしてそれで勝てるのか疑問です。

選挙演説を見る観客の人種別人数集計みたいなのを、誰かやってないかと思って少し前に探した事があるのですが、見つかりませんでした。結局はサクラだし、カメラが何処まで観客を映すかにもよるので、実際に統計をとっても役に立たないのかもしれません。



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2012年6月20日

アジア系移民の増加

アメリカでは、今移民に関する2つのニュースが関心を集めています。一つはオバマ大統領が発表した勅令です。両親によって子供の頃に違法にアメリカに連れて来られた、現在30才以下の移民に労働許可を与えるというもの。もう一つは、アジア系移民がヒスパニック系にとって変わって、アメリカの新移民の最多数派になったというニュースです。

一つ目の大統領の勅令のニュースは、多くの若いヒスパニック系違法移民に当てはまります。より良い生活と子供の将来の為に、違法にアメリカへ入国したメキシコや南米からの移民は多く、そのアメリカで育った子供達が大学を出て就職しようとしても、ソーシャルセキュリティー番号がない為に仕事につけないでいます。大統領選挙が年末に控えている為、この勅令はヒスパニック系の票集めではないかとの批判もあります。

ヒスパニック系移民は以前程増加していません。移民法が厳しくなった事と、アメリカの景気が悪いために自国へ自発的に帰る移民も多く、メキシコとの国境を超える人の出入りは、去年同数になったというニュースもしばらく前にありました。

一方、アジア系移民の増加は、アメリカにいれば誰でも感じます。アジア系移民は、英語が話せない人もいて労賃も安く、2〜3の仕事を掛け持ちしなければならない人も多いのですが、子供に勉強を強く奨励するのが特徴で、奨学金で有名大学に入れてしまう事も珍しくありません。ニューヨーク市立の優秀な子ばかりが受験で入るような高校には、アジア系学生の割合がかなり高くなっています。英語が話せない親達の為に、通訳のサービスを設けている高校さえあります。

ただアジア系移民と言っても、日本人は少数派で、殆どが中国人、韓国人、べトナム人などです。私もアメリカ人の目から見れば完璧な中国人で(おそらく、一部の移民の中にも、日本人も中国人の一種だと思っている人もいるはずです。)それを茶化された事も何度かあります。今までは、差別と言えば黒人とヒスパニック系のみが当てはまるような風潮がありましたが、これからはアジア系の移民への差別も差別として認識されるようになるのだろうと思います。



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