2012年11月8日

アメリカ大統領選挙

4年前にヒラリー・クリントンが民主党の大統領候補の座を狙っていた時に、小額の寄附をしました。ヒラリーの力強さ、政治家としての狡猾さ、公共事業への信念に共感したからです。

たった$25位の寄附だったと思いますが、それを機会に私の名前は民主党の支持者のリストに永久に刻印されてしまったようで、事ある毎に民主党からボランティアのお誘いや寄附の要請などのメールが送られて来ます。勿論、私にはアメリカの選挙権はありません。

私の夫は政治キチガイで民主党支持者なので、ここ数日も4年前もオバマ陣営のボランティア活動をしていました。それでも夫の名前は民主党の支持者リストには入っていないようです。一度も政治ボランティアをした事がない私の所へは、一日に何度も民主党からのメールが来るのに…

選挙の数日前から、それまで拮抗していると言われていた大統領選挙なのですが、実はオバマがリードしているという情報が流れ始めました。テレビ局は臨場感を出して視聴率を上げたい為か、接戦だと報じ続けていたのですが、結果から見るとやはりオバマ有利の情報は正しかったようです。

オバマの勝利は、ハリケーン・サンディに助けられたという意見があります。サンディ対策に国家レベルでの援助が迅速に行われた事、災害時には地方自治体レベルだけの対応では到底不十分である事を国民が実感した事、またライバルの共和党であるニュージャージーのクリスティー知事はオバマ大統領の災害対応にとりわけ大きな感謝を示した事がその理由として上げられます。

でも、4年前の熱狂的なロックスター並みの支持を失ったオバマ大統領が再選されたのは、激戦区と言われる地方で現地のボランティアが早くから地道にオバマの支持活動を行っていたからでもあります。ロムニー候補にもボランティアの地方スタッフはいますが、ロムニー候補の為のボランティアではなく、共和党のボランティアだというのがオバマ陣営との大きな違いなのだそうです。

オバマ陣営が選挙民の様々なデータを持っているというのはよく言われている事です。データを駆使してよりターゲットを絞った選挙活動ができる効率の良さは、従来の選挙活動のやり方と大いに異なり、それが今回の激戦区と言われていた各州での大きな勝利に繋がったようです。

ブッシュ前大統領の選挙戦を率いたカール・ローブ(左)とオバマ大統領の選挙戦を率いたデビッド・アクセルロッド(右)はそれぞれ政治家ではないのですが、アドバイザー(顧問)として就任しており、間違いなく政権の立役者です。双方ともやり方は異なりますが、どんなに姑息な手段を使っても絶対にに成功しようとする計算高さには背筋が寒くなります。

アメリカ人もこの二人にはあまり好意的な印象を持っていないようで、それぞれ政権の影の帝王のような存在です。カール・ローブやデビッド・アクセルロッドのような存在は、選挙戦に勝つ為の必要悪なのでしょうか。

4年後の大統領選挙では、オバマの三選はないので、共和党からも民主党からも候補が多数出て来ます。今年よりも更に汚い選挙戦になるのかと思うと、早くも食傷気味になってしまいます。



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2012年11月6日

アメリカという国の勉強

ハリケーンで学校が休みの間、子供が家で退屈していたので、担任にメールで何をさせたら良いか質問をしました。色々な教育関係のウェブサイトや教材の他に、ヒストリーチャンネルで放送されたアメリカの歴史シリーズが良いという返答があったので、そのシリーズのうちの最初の3作を見ました。

アメリカで最初の植民地ジェームスタウン(バージニア州)の惨事と、それとは別にケープ・コッド(マサチューセッツ州)に入植した厳格なキリスト教を信奉するピルグリム達の歴史から始まって、アメリカ人が西へ領土を拡大してカリフォルニアに到達するまでの話でした。

多くの日本人と同様に、私はある程度の世界史の知識はあるものの、アメリカ史に関してはあまり良く知らないままです。(逆にアメリカ人はアメリカの歴史は良く知っているのに世界史の知識が殆どありません。)ヒストリーチャンネルのアメリカ史番組は、ざっと大まかにまとめてあるビデオではありますが、現在のアメリカという国を理解するために役に立つと思いました。

アメリカにヨーロッパから入植して来たのは、その宗教の厳格さ故に迫害されたキリスト教の一派と、大きな成功を手に入れようという欲望を持った人びとです。お互いに相反するような二つの移民勢力。妥協を許さない厳格なキリスト教の思想と、どんなに大きな犠牲を払っても莫大な成功を手に入れようとする現世的な欲望は、現在のアメリカにも見え隠れします。

ただ、今のアメリカ人の中で、建国当時に先祖を見いだせるのはごく僅かなエリートのみです。殆どのアメリカ人は、1776年の建国当時から今日までのいずれかの時期に世界中から様々な理由によってアメリカに来た人びとです。

人種による人口構成も、新しい移民の流入によってどんどん変化しています。建国当時の憲法をアメリカ人は神聖視し、全てを当時のままに保存したがります。でも私のような新参入者から見ると、例えば銃規制への反対や税金を全廃して全てを自己責任でまかなうというような思想は未来を見つめずに過去にしがみついているように見えてしまいます。




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2012年11月5日

洪水被害と保険ー全てを記録せよ

アメリカで浸水の被害にあった人びとは、特別に洪水被害が含まれている保険に入っていない限り、通常の家所有者が購入する災害保険ではカバーされません。住宅にかける保険は、上階からの水漏れや火災の被害の為のもので、水害に関する補償は除外されているのが通常なのだそうです。

つまり、今回のハリケーン・サンディの場合、クイーンズのBreezy Pointの火災で焼け落ちた家には保険金が下りるけれども、スタテン・アイランドで家が流されてしまったり浸水の被害にあった家屋には保険金は下りない事になります。

洪水には洪水専用の flood insurance というのがあります。フロリダのようにハリケーンの被害が多い地域では人気があるようですが、ニューヨークで洪水保険を買っている人はあまりいないと思います。それぞれの保険には何が補償されるかされないかというのは細かな決りが色々あり、日本とは異なります。

大規模な水害を含めた損害を国家レベルで補償するのが FEMA (Federal Emergency Management Agency) です。国が大規模災害と指定した災害で被害を被った人は、保険がなくても、または入っていた保険が被害をカバーしなくても国が費用を低利子で一時期肩代わりしてくれるというシステムです。

もしも、何かの保険に入っている場合には、その補償を受ける事がまず第一です。保険に入っていて支払われる保険金には返済の必要はないからです。それでカバーされなかった残りの分を FEMA は受け持ちます。

FEMA でも洪水保険でも大切なのは、被害を証明できる記録を撮る事です。浸水して使い物にならなくなってしまったソファーを捨てる前に、それを写真やビデオで記録しておくようにとシューマー上院議員もハリケーンの直後から言っていました。上階からの水漏れや空き巣に入られて家を荒らされり盗難にあった時、車の事故の際にも画像による記録は役に立ちます。



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2012年11月4日

ブルームバーグ市長

最近のブルームバーグ市長は、ニューヨークに住んでいれば嫌でも目につきます。先週から災害関係の記者会見に出ずっぱりなのに加え、個人の利益団体の設立、オバマ大統領への推薦、ニューヨークシティー・マラソンの開催に関するゴタゴタなど話題に事欠きません。

ニューヨークシティー・マラソンは、ドタキャンとなりました。このまま多数の反対を押し切って開催するよりも、中止の決断を下せた事に一様の評価はしますが、何故もっと事前にその決定を下せなかったのか、釈然としない気持ちが残ります。ハリケーン・サンディの被害が予想よりも酷いと分かった時点で中止していれば、選手もわざわざ災害でゴタゴタしているニューヨークに来る必要もなかったのに…

被災者に対する対応も、ニュージャージーのクリスティー州知事に比べてどことなく冷たいような気がします。クリスティー州知事が被害の酷かった地域に自ら出向き、悲嘆にくれる被災者を暖かくなぐさめる姿はアメリカ人の脳裏に焼き付いたに違いありません。人びとが政治家に求める姿というのは、こういうものなのだと実感しました。根っからのビジネスマンであるブルームバーグやロムニーに大きく欠けている一面です。

オバマ大統領もロムニー候補も、無所属であるブルームバーグの推薦を勝ち取れば、無所属の有権者に影響を与える事ができると計算したため、双方とも何度かブルームバーグの了解をとりつけようとしていました。今までどちらも推薦を得る事ができずにいたのですが、今回の災害の直後に、ブルームバーグ市長は突然オバマ大統領の推薦を発表して、周囲を驚かせました。

ブルームバーグ市長は、銃規制や同性愛婚だけでなく、地球温暖化に対する懸念も強く持っています。オバマ大統領への推薦は、今回の災害に対する国家レベルでの地方自治体への迅速な援助への評価と、地球温暖化を事実として認めようとする態度への評価もあるようです。

ブルームバーグの前はジュリアーニがニューヨーク市長を務めていたのですが、ジュリアーニの任期の後半はミニ独裁者のような振る舞いが目立ち、市民から大きな反発を買っていました。もしも9/11がなければ、ジュリアーニはもっと酷くこき下ろされていたに違いありません。それに比べればブルームバーグは、異様な振る舞いもないし、それなりの成果をあげたそれなりの市長なのではと思います。



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2012年11月2日

ニューヨークの優先順位ー市民の生活とマラソン

ハリケーンから数日経って、市当局の優先順位と市民の要求にズレが生じて来ています。行方不明者の捜索と電気などの生活の基盤をまず立て直して欲しいと切願している市民と、今週の日曜日にニューヨークシティー・マラソンを強行しようとしている市当局に軋轢が生じ始めたようです。

ニューヨークシティー・マラソンは、市民マラソンのなかでも最も規模の大きいものの一つで、世界中から有名招待選手も毎年参加します。市の財源の一つでもあるので、ハリケーンの被害にあった僅か一週間後にマラソンを開催できれば、それで市の復活をアピールできる事にもなると主催者側は考えているのでしょう。

でも現実には、木曜日の夜の時点で、未だにマンハッタンの34丁目より南側は停電したままだし、幾つかのトンネルと地下鉄も水没したままです。特に被害の大きかったスタテン・アイランドやクイーンズの一部では、未だに崩壊した家やその付近での行方不明者の捜索活動が続いているような状況です。

いくらニューヨークの不屈の精神を内外に表明する意図があるにしても、まだ半壊した家から寝たきり老人が救出されているような段階でのマラソンの開催は、優先順位をはき違えているように感じる人は大勢いると思います。

ニューヨークシティー・マラソンのコースは、ニューヨークの5つの区の全てを回ります。マラソンの解説は、それぞれの区を通過する時にその区の紹介をするのでしょうが、たった1週間前に襲ったハリケーンの被害は、マラソンのバックグラウンドとするには余りにも生々しいのではないでしょうか。

ブルームバーグのハリケーン対応は、今の所迅速で素晴らしいと言われていますが、ニューヨークシティー・マラソンの開催は、その評判に大きな傷をつける事になると思います。

追記:開催二日前にマラソンは中止になりました。やはり被災者を含めた市民の反発が大きかったからのようです。400戸分の発電をまかなえる超大型発電機を2台も使って準備をしていたのがニュースで報じられていましたが、そういう物は非常時には停電している地域に回すべきですよね。



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2012年11月1日

温暖化による気候の変化

ニューヨークのダウンタウンが温暖化によって水没するという話はずいぶん以前からありました。イーストリバー沿いに住んでいる人も「もうかなり長く住んでいるけれど、年々水位が上がって来ている」と8年位前に言っていました。

証券取引所があり、ウォール・ストリートもあるアメリカの経済活動の中心地であるニューヨークのダウンタウン地区が今回のように水没し、地下鉄も動かせなくなってしまうというのはかつてなかった事です。

気象学者によると、海水の表面温度が高くなっているので、これからも巨大化したハリケーン、季節外れのハリケーン、ブリザードがアメリカの東北部を襲う事は考えられると言う事です。今回のような「前代未聞」の被害は、また起るという可能性が十分にあるのです。

ハリケーン・サンディによる被害で、アメリカ人はいよいよ温暖化は本当に起っているという想定の元に都市計画を立てなければならなくなりました。地球温暖化に関しては、その真否を疑う人も多いようですが、運を天に任せて温暖化が起っていないと仮定する方がリスクが大きくなって来たようです。

オバマ大統領もロムニー候補も、地球温暖化に関しては一言も触れていません。環境保護のようなエネルギー業界を敵に回す事になりかねない話題は、選挙では命取りになる可能性が高いからです。しかも沿岸地域に住まない多くのアメリカ人にとって、地球温暖化は未だに他人事でしかありません。

今日の記者会見で、ニューヨーク州知事のクオモも市長のブルームバーグも、それぞれ地球温暖化に関して言及していたのは大変興味深いと思いました。サンディの被害状況が一段落したら、将来に向けて何らかの対策を立てなければいけないと言っていました。



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2012年10月31日

ハリケーンの被害

アメリカの北東部は大きなハリケーンに見舞われました。私はニューヨーク市のクイーンズに住んでいるのですが、今回は停電や浸水などの被害に遭わずに済みました。今回はマンハッタンでもクイーンズでも南側に被害が集中したようです。

どこの文明社会でも同様だと思うのですが、被害にあった地域とあわなかった地域が隣り合わせになっていることもあり、とても奇妙です。普段の文明の利器の恩恵に預かっている生活の基盤がいかに脆弱なのもなのか思い知らされます。

ハリケーン自体が大きかった為に、被害も広大な地域に渡っており、ハリケーンが通り過ぎて一日経った今日の段階でも被害の全体像がつかめていないようです。ニューヨーク市の地下鉄の復旧の見通しも未だに立っていません。マンハッタンの南部でもかなりの被害があったようですが、経済活動の中心的な地域なので、再開発も素早いはずです。

ただ、全ての地域でマンハッタンのように多大な資材をつぎ込んだいち早く復旧が始まるという事にはならないと思います。長引く不況の中で、例えばニュージャージーのひなびた沿岸地域に再開発の投資をする事が正しい事なのか、地方自治体は苦しい選択を迫られる事になると思います。

日本で様々な自然災害が起きた時の地方自治体と国の連携がぎくしゃくしている事と比べれば、アメリカの地方自治体と連邦政府との災害対策の連携は素晴らしいと言って差し障りないと思います。ジョージ・ブッシュがハリケーン・カトリーナの対策を大いに誤り、多数の死者を出した事はまだ記憶に新しいので、行政はその後の自然災害対策にかなり神経質になっていることも大いに関係しているのでしょう。

あと数日で大統領選挙が行われます。今回のハリケーンは大番狂わせで、これが選挙にどのように影響するのかは未知数です。投票所が確保できるか、そこに人が行く交通手段があるのか、投票機を動かす為の電源を確保できるのかなど、様々な疑問があります。しかも、今は直接被害にあった人にとって、選挙など二の次です。

あと数日して被害の全貌が見えるようになって来たらもう少し色々なことも分かると思います。



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