2012年4月29日

ピザは二つに折って食べる

ニューヨークにはピザ屋が実に沢山あります。ドミノやウノやピザハットのようなチェーン店もある事はありますが、それはどちらかと言えば例外で、ピザ屋の殆どが個人営業のピザ屋です。ニューヨークでは、ピザ屋の一軒ぐらい、歩いて5分位の距離に必ずあるので、ちょっと小腹が空いた時にはとても便利です。味も店毎に違うので、誰でも贔屓のピザ屋の一つや二つは持っています。

大抵はイタリア系がやっているのですが、我が家の近所ではメキシコ系やギリシャ系がやっているピザ屋もあったりします。ニューヨークのピザは、トマトソースとモッツァレッラチーズのみのプレーンな薄い生地の巨大なピザが主流です(コストコのピザと同様のサイズ)。おそらく、ピザ屋の売り上げの60%以上はそのピザだろうと思います。

店頭では、焼き上がったパイを8等分にして、それを一切れずつ売っています。注文すると、できたての時以外は、オーブンに入れてチーズが溶けるまで暖めてくれます。ピザ一切れの値段は、一頃$2.75ぐらいにまで値上がりしていましたが、昨今の不況のせいで、最近では一切れ$1.00のピザもたまに見かけるようになりました。個人的に、ピザ一切れに$2.75は、ちょっと高いなと思います。

コストコのスプリームピザも二つに折って
どういうわけだかニューヨークでは、ピザを二つに折って食べる習慣があります。薄くて大きいので、そのまま持って食べようとすると、ペラっとピザの真ん中辺りで曲がってしまい食べにくいので、折ると持ちやすくなるのは確かです。また、二つに折ると、余分な油が折り目から滴り落ちるので、ペーパーナプキンにしつこく油を吸わせる手間も要りません。

帰省して、近所にピザ屋がないのを非常に不便だと思った時には、私もニューヨーク生活が長くなったのだと実感しました。やはり、一週間に一回ぐらいは、なんだかんだ言ってピザを食べているのです。

実家のある逗子に洒落たトラックで営業している移動ピザ屋があったので、帰省した際に大喜びで試してみました。注文してから焼いてくれて、それなりに美味しかったのですが、トマトソースとモッツァレッラチーズのプレーンなピザはなかったし、小さいし(アメリカ生活で大食いにもなってます)、¥500もしました。日本人とアメリカ人とでは、食生活が異なる事は勿論ですが、ピザに対しても求めるものが違うのだと実感しました。



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2012年4月24日

英語力とコミュニケーション能力

アメリカに長く住んでいると様々な日本人に出くわします。駐在員、その家族、日本食レストランで働いている人、事業をしている人… そして気がつくのは、必ずしも「英語力のある人」が成功したり、アメリカに順応したりしているわけではないという事です。それどころか、移民法が厳しくなる前は、英語が下手なのにアメリカ人の友達が多く、ちゃっかり仕事も見つけてしまうような人がちらほらいました。

何故日本人だけが、いつまでたっても英語を喋れるようにならないのか、いつも不思議に思いますが、問題は語学じゃなくてもっと内面の問題なのだろうと最近思うようになりました。私の父は中学しか卒業していない職人だったので英語の勉強などしたことがなかったのに、どういうわけか日本語が分からない私の夫ともコミュニケーションが取れるような人でした。また、言葉が通じないのに外国人と恋愛関係に入る日本人に眉をひそめる人々も多いとは思いますが、その無鉄砲にも見える行動力は、英語ができるようになる為の第一歩には役に立ちます。

英語力があるのと、コミュニケーション能力があるのとは、全く別です。どちらの方が有利かと言えば、コミュニケーション能力がある人の方が遥かに有利です。コミュニケーション能力があれば、アメリカで生活をしているうちに英語力は自然と付いて来るからです。同じ日本人でも、関西出身者はコミュニケーション能力が比較的高いようで、ニューヨークに在住している日本人で関西弁を話している人は少なくありません。

多くの日本人は、仕事でアメリカに来ても言葉の不安からか、なるべく日本人とだけ接触したがります。仕事でアメリカに来るぐらいなので、それなりの英語力のある人々なのですが、どうしても日本人社会から出たがらない人がいます。アメリカ人の知り合いからは「日本人はアメリカ人を信用しない、アメリカ人とビジネスをしたがらない」とぼやかれる事もたまにあります。

一歩踏み出せば別の可能性が広がっているのに、躊躇していたり、興味がなかったり、最初からあきらめてしまっていたり、無知だったり… そういう人々を見ると、もったいないと思います。



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2012年4月22日

イコンとアイコン

アンドレイ・ルブリョフ 聖三位一体
20代の頃、イコンにとても惹かれていた時期がありました。イコンは、キリストや使徒、聖人、聖書の中の登場人物を板の上に描いたもので、東方教会では古くから礼拝の為に使われていました。多くはテンペラという技法をつかっており、金や銀をつかって装飾してあるものも少なくありません。

何故私がイコンに惹かれたかは、イコンが私のそれまで知っていた絵画と全く異なるものだったからだろうと思います。視覚的な遠近法を使っていないので、慣れない目にはイコンの中に描かれているテーブルが不安定に見えたり、聖像の描き方が稚拙に見えたりしますが、何故そのように描かれているかには、全て理由があるのです。

イコンは制作自体が祈りの作業です。イコン画家(おそらく殆どは修道士)が細い筆を使って少しずつ行うので、かなり長い時間がかかります。絵の巧さよりも信仰の深さがイコンの出来を決めるというのも面白いところです。

私は当時、気合いが入りすぎて、千葉県にある修道院にまでイコンの制作を習いに行きました。その時に制作したパントクラトールは、今でも大切にとってあります。全て古典的な方法と画材で、有名なイコンを模写したのですが、私の描いたキリストがセクシーであるという指摘を修道女の先生から受けました。いくらイコンに興味を持っていたとは言え、修道生活に入ろうなどとは全く考えていなかったので、己の俗の部分が反影してしまったのだろうと思います。

そして今、パーソナルコンピューターが使われる時代になって、アイコンと呼ばれる小さなデスクトップ上のデザインが沢山使われるようになりました。日本語ではイコンとアイコンは異なって発音されますが、英語ではどちらも 'icon' で全く同じです。ロゴも視覚的な会社のアイコン(イコン)です。つまり、ロゴの形や色には、何故そのようになっているかの明確な意味があり、デザイナーはその会社の業務内容や特徴などを理解していなけらばならないのです。綺麗に見えるだけでは、役を果たせないのがロゴです。



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2012年4月21日

シティー・グループの株主総会

先日、シティー・バンク等の親会社であるシティー・グループの株主総会で、CEOを含める会社役員の報酬が否決されたというニュースがありました。大統領選挙やアフガニスタンでのアメリカ軍の更なる不始末など、様々な重要なニュースがありますが、これも結構重要なニュースだと思うので、ちょっと触れておきます。

株主総会ではこれからの会社の方針などの承認のために必ず投票が行われますが、役員の報酬が否定される事はまずないそうで、このような事態はかなり珍しいケースなのだそうです。事前の根回しも行われるようだし、会社がよく運営されていれば、配当も増えるので、それなりの報酬を役員に支払う事に株主はなんら異存はないのです。たとえ多くの社員を解雇しても、会社の利潤が増えればそれで良いという事です。

ところがシティー・グループはずさんな経営の為に数年前に大きな損失を出し、2008年には倒産を免れるために国が多額の資金を注入した銀行です。その記憶もまだ生々しく、充分な結果も出ていないのに、早々とCEOに対する$15Mもの報酬を出すとは納得できないと株主が意見したのです。株主総会の決定には強制能力はないものの、株主は事実上の会社の持ち主なので、経営者側が決定を全く無視する事も考えにくいのだそうです。

アメリカの株式は、裕福な個人や会社が大口の株主になっている事もありますが、退職金を運営する団体が小さな個人の株主をまとめて代表しているケースが沢山あります。今回は、カリフォルニア州教師の退職金を運営する団体が多額のCEOの報酬に意義を唱えたのが発端だったそうです。

これから、株主総会シーズンで、バンク・オブ・アメリカやウェルス・ファーゴの役員報酬も否決される可能性も出て来たようです。これで今までのような役員報酬だけ桁違いに伸びるようなやり方には、歯止めがかかるのではないかと言われています。



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2012年4月20日

スパイシーな南国の色

少し前にインドのカップ麺のデザインについて書きましたが、今回は私の大好きなタイのインスタントラーメンについてです。ニューヨークの中国系スーパーマーケットでとても安く購入できるのですが、これがなかなか美味しいのです。タイのインスタント麺は、どういうわけか、茹ですぎでも伸びないし、味もなかなか良いのです。

南国のデザインだからか、それともスパイシーな食品のデザインだからか、強烈な色のコンビネーションになっているのは、インドのカップ麺と同様です。このような食品包装を見ると、辛い物好きは思わず手が出てしまいます。

同じ会社が米粉で作った麺のインスタント麺も販売しているのですが、包装は白が基調のさわやか系のデザインで赤系統のスパイシーな色調を全く使っていません。残念ながら、今日中国系スーパーマーケットに行った時に売っていなかったので写真がありません。でも、それもしっかりと辛いのは興味深いところです。

少し前に、べトナム人のクライアントからクッキーの箱のデザインを依頼されました。彼女は、アメリカに来る前にフランスでお菓子のシェフとして働いていたそうで、サンプルとして私にくれたクッキーは、とてもエレガントな味と形でした。ところが彼女の希望するデザインは、青と黄色を主体とした強い色の組み合わせだったので、クッキーの箱にはもっと別の色調を使った方が良いと勧めた事があります。

それぞれの文化と色の関係には、なかなか面白いものがあります。



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2012年4月17日

日米の疑心暗鬼

アメリカに住んで、早くも19年が過ぎました。まだまだ日本で生活して来た年数の方が長いけれど、19年も住んでいるとアメリカという国の様々な内状が見えて来ます。日本にニュースや映画、テレビドラマ等を通じて伝わるアメリカは、ごく一部のアメリカでしかありません。

日本に関しても、あれこれかんがえます。日本のように変貌が早く激しい国は、ほんの少しいないだけであっという間に状況が変わってしまうので、私がかつて生活していた日本と今の日本は既に大きく異なっています。

日本とアメリカの関係は、どの角度から見ても、お互いになくてはならないパートナーなのですが、お互いの不信感に恒常的に悩まされているように思えます。お互いに相手の事を「抜け目のない、信用できない奴だ」と思っているのです。

日本人からしてみれば、アメリカはかつての占領国で、憲法第九条を押し付けた国、そしてその後自衛隊を作らせた国。アメリカは自国に都合がいいように日本を作り上げようとしました。ところが、アメリカ人からしてみれば、日本が経済大国になったのはアメリカのおかげなのに、日本の取り決めはいつも不透明で交渉がし辛いと思っています。

そしてお互いに自分の国の方が損しているように思っているのです。お互いに独立した国家なので、自国の利権が一番大切で、相手の国には不満や要望がいろいろあって当然なのですが。アメリカで生活している日本人としては、日米間の様々なレベルの疑心暗鬼がとても歯がゆく思われます。

日本人とアメリカ人は共通点がとても少ないのですが、だからこそお互いを知る事が大切です。ブログを通じて、これからもアメリカの現状や文化等を伝えて行きます。



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2012年4月15日

英語力

TOEICが人気であるという、焚き付けるようなニュースを見て、もしかしたらそれは日本のクライアントを獲得するのに良いかもしれないと思い、ネットにある無料の模試をしてみたら、リスニングの段階で音声が出て来ないので断念してしまいました。

そのため、最初の部分の模試しかやってないので、TOEICに関しての限られた知識しかないのですが、これで英語力の何が計れるのだろうかと少々疑問を感じました。高得点をとっても、英語クイズ王にはなれそうですが、ビジネスレベルの英語ができるかどうかは怪しいと思います。

アメリカの大学に入る際に、私もかつてTOEFLを受け、決められた以上の得点を取り、それから大学の入学許可とビザを出してもらいました。ところが、現地に行ってみると、大学では独自の英語と数学のテストを生徒に行っており、そのテストにパスするまでは、普通の授業がとれない仕組みになっていました。必要なだけのTOEFLの点数は持っているものの、実際に大学レベルの授業を理解し、論文を書くだけの英語力がない留学生が多い為にとられた対策だそうです。

私もEnglish as Second Languageのコースを1学期間取らされました。そこで、論文の書き方、討論の仕方など、大学生活で必要な一通りの事を教わり、次の学期からは、普通に大学の授業を受ける事ができました。なかには英語が普通に喋れてもTOEFLの必要な得点が取れない留学生(南米系に多い)、TOEFL高得点を持っていても大学独自の英語の試験になかなかパスできない留学生(アジア系に多い)もいました。

大学でそれなりの成績を納めるのには、それなりの努力が必要でした。アメリカ人の学生が1時間で済む予習に、留学生は何倍もの時間を費やします。全ての分からない単語を調べていると、いくら時間があっても足りないので、要領良く大抵の分からない単語の意味は憶測し、どうしても分からない単語をのみを辞書で調べていました。

地学のコースをとっていた時に、辞書を引いて日本語訳が分かっても、その日本語自体が地学の特殊な用語なので意味が全くわからないという困った事態に陥りました。私は日本で大学レベルの地学のコースをとった事がないので、事前の知識がなかったためです。日本語を調べても分からないならば、辞書を引く意味がないとようやく気がつき、それからは全てを英語で理解することにしました。

今考えると、私の論文は、かなり酷かったのではないかと思いますが、それでもどうにか卒業し、就職する事ができました。グラフィック・デザイナーという職業なので、それほど語学力が必要とされる分野ではありませんが、今になって考えれば、私のような英語もたどたどしい外国人をよくも雇ってくれたと思います。

私が本当に英語を理解するようになったのは、それからです。学生のうちは、分からない事があっても、自分の成績に響くだけなのですが、仕事をしてお金をもらっているからには、上司から言われている事、同僚との話、業者との取引の全てが理解できなければなりません。学生の時にはあまり必要なかったコミュニケーション能力、英語での理解力、表現力というのが、仕事の場では毎日要求されます。

そして、最後まで難しかったのが、仕事場での会話の横入りです。例えば同僚が3人位で盛んに話をしている時に、そこに割って入って自分の話を繰り広げるのには、かなりの語学力を必要とします。でもこれができないと、オフィスでの市民権を獲得するのはなかなか難しいのです。

長く英語で仕事に携わっていれば、いずれは英語でのコミュニケーション能力も身に付いて来ます。私が今でもできない… おそらく一生できないだろうと思うのは、日本語と英語のスイッチを瞬時に間違えずに切り替える事です。例えば、夫が日本に来ると、私は日本語の全くできない夫の通訳にならざるを得ないのですが、それをやるといつのまにか、日本の家族に英語で話し、夫に日本語で話してしまいます。幼い頃からバイリンガルとして育った人は、そのスイッチの切り替えを間違えずにできるそうです。



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