2012年7月26日

ペンシルバニア州立大学への罰則

少し前のブログで、ペンシルバニア州立大学のアメリカン・フットボールチームでコーチをしていた人が長年に渡って10才前後の多数の少年を性的に虐待していた事が明るみに出た事に触れました。そのコーチは有罪となり、現在服役中です。

その後、大学側もアメリカン・フットボールの名門校としての名声を保ちたかった為に、コーチの一人が少年に対する性的虐待を行っているのを知っていたにも関わらず、それを止めさせるような措置を何も取らなかった事も明らかになりました。そのためNCAAは、大学側にも重大な責任があると見て、約4億7千万円の罰金、1998年からの同校のアメリカン・フットボールチームの輝かしい記録の抹消、向こう4年間の試合の禁止などの厳しい罰則をペンシルバニア州立大学に言い渡しました。4年間試合を禁止されれば、おそらくフットボールチームの再起は不可能だろうと言われています。

ペンシルバニア州立大学と有罪になったコーチの関係は、日本の学校で起るいじめとそれを隠蔽しようとする学校側の体質に良く似ています。どちらも学校側が体裁を保つ為に、校内の汚点を見て見ないふりをしていたのです。日本でもいじめによる自殺が度々あり、ようやく大津市中学生の自殺をきっかけに何かが変わろうとしているように思えます。



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2012年7月22日

次の銃撃事件

残念ながら、もはや珍しくなくなってしまったアメリカの無差別銃撃事件ですが、今回の事件は死傷者が多数出た事とバットマンの新作映画を上映中の映画館で起った為にかなり注目を集めています。テレビでの扱いを見てみると、2001年にニューヨーク市郊外の住宅地に旅客機が墜落して265人が死亡した時よりも多くの時間が割かれているように思います。それだけアメリカ人にとってもショッキングで国民の関心度も高いのでしょう。

まだ、犯人の動機や事件の背景などの詳しい事は分かっていないのですが、しばらくの間は銃規制の問題が話題になるのだろうと思います。アメリカもニューヨーク市長を含めた都市部の市長達は、銃に関する法律が比較的緩やかな南部の州から流れて来る銃によって引き起こされる様々な事件に頭を悩ませているので、かねてから何らかの銃規制が必要だと繰り返し言っています

銃規制は、例え銃による無差別殺人が何度繰り返されても、アメリカでは昔から人気のない話題です。今年末の大統領選挙でも銃規制を論点にすれば負けることが分かっているので、オバマもロムニーもわざわざ火中の栗を拾うような真似はしないはずです。

しばらく前にエコノミスト誌で興味深い記事を見ました。アメリカで一番強力なロビイストだと言われている全米ライフル協会は、実際は世間で思われている程の影響力は既にないのではないかというものです。全米ライフル協会の会員の多くは南部に住む中年白人男性なので、将来の会員数は、白人中年男性の人口減少とともに減少するだろうとエコノミスト誌は見ているからです。

ただ、全米ライフル協会に属さないアメリカ人や自分で銃を保持しようとも思わないアメリカ人でさえ、銃規制と聞くと「自由の剥奪」や「憲法違反」という言葉を自動的に連想するほど、アメリカの銃を肯定する教育は一般の市民に浸透しています。いくら全米ライフル協会の力が弱まったとしても、アメリカ人一般の銃に関する考え方を変えて行くのは容易なことではないと思います。



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2012年7月20日

鹿の首

アメリカで他人の家に呼ばれて、剥製になった鹿の首が壁にディスプレーされているのを何度か見た事があります。私は平均的な日本の庶民として育ったので、魚拓は見た事があっても、鹿の首の陳列はそれまで見た事がありませんでした。

狩猟民族ならではのトロフィーなのですが、なんだか鹿の首が壁に埋め込まれているようにも見えるし、剥製だからやけに生々しいし、昔は生きていた鹿が殺されて首から切断されたのだと想像すると、あまり清々しい気分にはなれませんでした。おそらく趣味で狩猟をする人なら「これは御自分でしとめた鹿ですか?良い形の角ですね。」などと、気の利いた会話も出来たのでしょうが。

そんな鹿の首も動物愛護団体には目の敵にされるし、テレビ番組では笑いのネタにされるし、現代的な生活のインテリアには似つかわしくありません。そのためか、または単に動物の首の剥製を悪趣味だと思う人が増えたからか、最近はあまり人気がないようです。そのかわり、様々なおしゃれなデザインの動物の首(?)が売られています。

ネットで検索して出て来た写真を見てみると、この手のニセモノの首はアメリカのみでなく西欧諸国で広く人気があるようで、材質も色も大きさもまちまちです。日本では壁に釘を打つ事自体を嫌う傾向が強いので、例え本物の剥製ではなくても、壁から突き出るインテリアデコレーションはあまり見かけません。

写真の詳細は、http://pinterest.com/ynagata/taxidermy/ 




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2012年7月18日

ニューヨークの日系社会福祉団体

先日、ニューヨークの日本人社会に関するブログで無料で日本語のサービスを受けられる社会福祉団体がほとんどないと書きました。日本人は中国人や韓国人に比べて絶対数が少ないし、まとまった地域に住まない傾向にあるので、なかなかコミュニティーをベースとした居住者に対するサービスが充実しません。

90年代の初めに私がニューヨークに来て間もない頃、住んでいたアパートの大家が離婚したために、私がその被害のとばっちりを受けた事がありました。英語も今程出来なかったし、法的な事も全然分からず、日本語のガイドブックからJASSIという団体を見つけ、そこがニューヨークに住む日本人に日本語での様々なサービスを行っているという事を知りました。当時はインターネットもダイヤルアップ式でウェブもそれほど沢山ない時代だったので、ジャシーへは電話で直接問い合わせるしかありませんでした。

何年か後に私が大学を卒業しグラフィックデザイナーとして働き始めた後も、ジャシーにはまだウェブサイトがない事に気がつきました。そこでジャシーに連絡を取って以来、ウェブサイトを作らせてもらっています。私はアメリカ人と結婚して子供もいるので、将来はおそらく日本へ戻ることなく、アメリカで余生を過ごす事になると思います。自分が老齢を迎えた時にも、ジャシーのように援助の手を差し伸べてくれる日系の団体がニューヨークに存在していて欲しいのです。

最近、ジャシーのスタッフの方々の使い勝手が良いように、サイトを少々変えました。ジャシーのサイトには、アメリカ生活で必要な様々な情報が日本語でアップロードされています。ビザ、医療保険、失業保険、高齢者に関する事等、どのようなサービスが在米居住者として受けられるのかの概要をサイトを通じて知る事ができます。アメリカに住んでいなくても、将来移住や留学を考えている人は、サイトを見る事によって事前の知識を得る事ができると思います。また、時折ワークショップも行っているので、興味のある方はどうぞ。




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2012年7月15日

メリトクラシー (meritocracy)

ここ数日、メリトクラシーという言葉がアメリカメディアのキーワードになっています。言葉自体は、最近造語された物ではなく、1958年に出版されたイギリスの社会学者マイケル・ヤングの著書 『The Rise of Meritocracy』によって始めて使われたそうです。ウィキによると日本では能力主義と訳されているようですが、アメリカでは少々異なる意味合いを含んでいるように思えます。

なぜメリトクラシーがアメリカで今話題になっているのかと言えば、拡大し続ける貧富の差、融通性に欠けた階級社会、既得階級の利権の独占などが大きな問題となっているからです。アメリカン・ドリームは既に過去のものであり、本来ならば階級社会であるフランスの方が社会階級間の移動が容易だといういくつかの研究結果さえでています。

貧富の差は、既に子供の頃から受けられる教育の差として顕著に現れているという記事が今年2月のニューヨークタイムスにありました。過去数十年の間にアメリカでの人種間における教育の格差は大きく改善されたものの、収入による教育の格差は広がる一方だというのです。裕福な家庭は、子供を少人数制クラスの私立学校に入れたり、ピアノやスポーツなどの様々な習い事に行かせるだけの経済的余裕を持ち、子供と一緒に過ごす時間も比較的多く取れます。一方貧しい家庭の子供は1クラスに沢山の子供がいる公立の学校に通い、お金のかかる習い事などに通う事も容易ではありません。親は生活を支える為に仕事を掛け持ちしている事も多いので、子供と過ごす時間も簡単には作れません。そしてその生活レベルの差が子供の学力や可能性の差となり、さらなる貧富の差を産み出すという構図です。

本来ならば、実力があれば成功できるように作られた社会の仕組みが、すでに成功した人々が自分の現在持つ権利を更に拡大し、その上かつて自分達が登ったハシゴを外す事によって決定的にしようと試みているのが現在のアメリカの姿であると見ている人は少なくありません。政治家も選挙戦を勝ち抜くための多額の政治献金を得る為に、一部の特権階級と結びつき、そして特権階級はその政治家からの見返りを期待します。もはや、政治は一般の国民のためにあるものではなくなりつつあります。

将来のアメリカは、一部の特権階級が大多数の貧しい市民を支配するような国になってしまうのか、今から5年後にはその答えが既に出ているはずです。



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2012年7月13日

名刺

個人事業をしていると、名刺が知らないうちに山のように溜まってしまいます。こんな事ではいけないと思いつつも、いつも整理を後回しにしてしまいます。5月の末から6月の初旬に日本から持ち帰った名刺も、今日ようやくスキャナーで読み込んで全てファイルし終わりました。

名刺を一つ一つじっくりと見ていて、いくつか気がついた事があります。アメリカの名刺ばかり見慣れた私の目には殆どの日本の名刺の文字がとても小さく感じました。名前と会社名、役職などはどの名刺もそれなりの大きさになっている事が多いのですが、電話番号やメールアドレスにかなり小さな号数のフォントを使ってあったり、その上さらに薄い色のインクを使ってあるとスキャナーのOCRも文字を拾いにくいようです。最近は片面英語の名刺も少なくありませんが、英字のフォントも日本字のフォントと同様にかなり小さめです。

小さな文字を名刺に使用する事が、日本人の美意識に基づいたデザインなのだというのは分かりますが、読み辛いのは事実です。実務的である事を最優先するアメリカ人にとって、なんだか綺麗に見えるけれど文字が小さくて読み辛い名刺は、あまり好感を持たれません。私が企業でデザイナーとして働き始めた頃、私がデザインしたものの文字が小さい、線が細いと何度か上司に言われました。私は自然と日本人としての美観に沿ったデザインをしていたのですが、その美観は多くのアメリカ人と共有のものではなかったのです。

日本で日本人同士名刺交換をしている分には、そのままの名刺で問題はないと思います。ただ外国に事業展開する時に、名刺のデザインはそのままにしておき、内容を外国語に訳しただけでは不十分です。その国の文化や習慣に沿った名刺や会社案内などを用意することは、相手に対して「私達は本格的にその国で稼働する用意ができている」という態度の表示でもあるのです。



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2012年7月11日

ニューヨークの日本人社会

多くの日本人が行う小規模なアメリカでのビジネスは、在米日本人を対象としています。それはそれで需要があるし、在米日本人も日本の物やサービスが必要なので、私達からすれば有り難い事ではあります。でも在米日本人の絶対数が少ない為に、全体的なパイの大きさは当然小さくなります。その中で、多くの日本人が小さいパイの一切れを得ようと必死になっているのが、ニューヨークの日本人社会だろうと思います。

在米の日系の会社の給料はかなり安い所が多く(日本でも同程度なのかは知りません)デザイナーなどは時給にして15ドル程のようです。日系の雑誌のエディターでも2万ドル程度の給料しかもらえないと聞いた事もあります。日系の会社なので、残業があるのは当然のようで、問い合わせをすると必ず残業が可能かどうか聞かれます。そんな程度の時給では到底生活して行けないのですが、それでもビザ欲しさと日本語が使える環境で働きたい気持ちから、応募者は絶えません。会社もその事情を熟知しており、応募者の足元を見ているのです。

せっかくニューヨークに住んでいるのなら、ちょっと視点を変えてみれば、もっと大きな世界が広がっているのです。在米日本人を対象にしたビジネスではなく、一般のアメリカ人を対象にできれば、パイの大きさはそれまでと比べ物にならないくらい遥かに大きくなります。ビザに関しても、現在はかなり厳しい状況ですが、求める物には与えられるのがニューヨークです。求めれば、必ず手を差し伸べてくれる人が出て来るのです。英語だって、コミュニケーション能力の高い人は、英語力があまりなくてもそれほど不自由しないというのは、いままでに何度も見て来ました。

ニューヨークに長年住んでいて困った事の一つに、日本人には中国人や韓国人のような在米日本人を対象としてサービスを行う援助団体が殆どないという事です。日系のビジネス団体や、有料のグループ、近所の日本人の主婦の集りならばいくらでもあるのですが、そうではなくて、居住者に無料で様々なアメリカのサービスを日本語で行う団体がもっと必要なのです。

おそらく、かつてのニューヨークに住んでいた日本人が裕福で援助が必要なかったため、日本人の絶対数が少ないため、(実際は日本は大きな社会福祉国家であるにも関わらず)多くの日本人は社会福祉を悪とみなしがちなために、なかなか日本語を話す日系人に対するサービスが発展しないのだろうと思います。様々な年齢や社会階級の日本人がニューヨークに来ることによって、そういう現状も変わって行くのではないかと思います。

アメリカには嫌な所も沢山あるけれど、一番良い所はだれでも受入れる懐の深さだと思います。そして、求めればかならず何かが見つかります。



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