2012年4月29日

ピザは二つに折って食べる

ニューヨークにはピザ屋が実に沢山あります。ドミノやウノやピザハットのようなチェーン店もある事はありますが、それはどちらかと言えば例外で、ピザ屋の殆どが個人営業のピザ屋です。ニューヨークでは、ピザ屋の一軒ぐらい、歩いて5分位の距離に必ずあるので、ちょっと小腹が空いた時にはとても便利です。味も店毎に違うので、誰でも贔屓のピザ屋の一つや二つは持っています。

大抵はイタリア系がやっているのですが、我が家の近所ではメキシコ系やギリシャ系がやっているピザ屋もあったりします。ニューヨークのピザは、トマトソースとモッツァレッラチーズのみのプレーンな薄い生地の巨大なピザが主流です(コストコのピザと同様のサイズ)。おそらく、ピザ屋の売り上げの60%以上はそのピザだろうと思います。

店頭では、焼き上がったパイを8等分にして、それを一切れずつ売っています。注文すると、できたての時以外は、オーブンに入れてチーズが溶けるまで暖めてくれます。ピザ一切れの値段は、一頃$2.75ぐらいにまで値上がりしていましたが、昨今の不況のせいで、最近では一切れ$1.00のピザもたまに見かけるようになりました。個人的に、ピザ一切れに$2.75は、ちょっと高いなと思います。

コストコのスプリームピザも二つに折って
どういうわけだかニューヨークでは、ピザを二つに折って食べる習慣があります。薄くて大きいので、そのまま持って食べようとすると、ペラっとピザの真ん中辺りで曲がってしまい食べにくいので、折ると持ちやすくなるのは確かです。また、二つに折ると、余分な油が折り目から滴り落ちるので、ペーパーナプキンにしつこく油を吸わせる手間も要りません。

帰省して、近所にピザ屋がないのを非常に不便だと思った時には、私もニューヨーク生活が長くなったのだと実感しました。やはり、一週間に一回ぐらいは、なんだかんだ言ってピザを食べているのです。

実家のある逗子に洒落たトラックで営業している移動ピザ屋があったので、帰省した際に大喜びで試してみました。注文してから焼いてくれて、それなりに美味しかったのですが、トマトソースとモッツァレッラチーズのプレーンなピザはなかったし、小さいし(アメリカ生活で大食いにもなってます)、¥500もしました。日本人とアメリカ人とでは、食生活が異なる事は勿論ですが、ピザに対しても求めるものが違うのだと実感しました。



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2012年4月24日

英語力とコミュニケーション能力

アメリカに長く住んでいると様々な日本人に出くわします。駐在員、その家族、日本食レストランで働いている人、事業をしている人… そして気がつくのは、必ずしも「英語力のある人」が成功したり、アメリカに順応したりしているわけではないという事です。それどころか、移民法が厳しくなる前は、英語が下手なのにアメリカ人の友達が多く、ちゃっかり仕事も見つけてしまうような人がちらほらいました。

何故日本人だけが、いつまでたっても英語を喋れるようにならないのか、いつも不思議に思いますが、問題は語学じゃなくてもっと内面の問題なのだろうと最近思うようになりました。私の父は中学しか卒業していない職人だったので英語の勉強などしたことがなかったのに、どういうわけか日本語が分からない私の夫ともコミュニケーションが取れるような人でした。また、言葉が通じないのに外国人と恋愛関係に入る日本人に眉をひそめる人々も多いとは思いますが、その無鉄砲にも見える行動力は、英語ができるようになる為の第一歩には役に立ちます。

英語力があるのと、コミュニケーション能力があるのとは、全く別です。どちらの方が有利かと言えば、コミュニケーション能力がある人の方が遥かに有利です。コミュニケーション能力があれば、アメリカで生活をしているうちに英語力は自然と付いて来るからです。同じ日本人でも、関西出身者はコミュニケーション能力が比較的高いようで、ニューヨークに在住している日本人で関西弁を話している人は少なくありません。

多くの日本人は、仕事でアメリカに来ても言葉の不安からか、なるべく日本人とだけ接触したがります。仕事でアメリカに来るぐらいなので、それなりの英語力のある人々なのですが、どうしても日本人社会から出たがらない人がいます。アメリカ人の知り合いからは「日本人はアメリカ人を信用しない、アメリカ人とビジネスをしたがらない」とぼやかれる事もたまにあります。

一歩踏み出せば別の可能性が広がっているのに、躊躇していたり、興味がなかったり、最初からあきらめてしまっていたり、無知だったり… そういう人々を見ると、もったいないと思います。



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2012年4月22日

イコンとアイコン

アンドレイ・ルブリョフ 聖三位一体
20代の頃、イコンにとても惹かれていた時期がありました。イコンは、キリストや使徒、聖人、聖書の中の登場人物を板の上に描いたもので、東方教会では古くから礼拝の為に使われていました。多くはテンペラという技法をつかっており、金や銀をつかって装飾してあるものも少なくありません。

何故私がイコンに惹かれたかは、イコンが私のそれまで知っていた絵画と全く異なるものだったからだろうと思います。視覚的な遠近法を使っていないので、慣れない目にはイコンの中に描かれているテーブルが不安定に見えたり、聖像の描き方が稚拙に見えたりしますが、何故そのように描かれているかには、全て理由があるのです。

イコンは制作自体が祈りの作業です。イコン画家(おそらく殆どは修道士)が細い筆を使って少しずつ行うので、かなり長い時間がかかります。絵の巧さよりも信仰の深さがイコンの出来を決めるというのも面白いところです。

私は当時、気合いが入りすぎて、千葉県にある修道院にまでイコンの制作を習いに行きました。その時に制作したパントクラトールは、今でも大切にとってあります。全て古典的な方法と画材で、有名なイコンを模写したのですが、私の描いたキリストがセクシーであるという指摘を修道女の先生から受けました。いくらイコンに興味を持っていたとは言え、修道生活に入ろうなどとは全く考えていなかったので、己の俗の部分が反影してしまったのだろうと思います。

そして今、パーソナルコンピューターが使われる時代になって、アイコンと呼ばれる小さなデスクトップ上のデザインが沢山使われるようになりました。日本語ではイコンとアイコンは異なって発音されますが、英語ではどちらも 'icon' で全く同じです。ロゴも視覚的な会社のアイコン(イコン)です。つまり、ロゴの形や色には、何故そのようになっているかの明確な意味があり、デザイナーはその会社の業務内容や特徴などを理解していなけらばならないのです。綺麗に見えるだけでは、役を果たせないのがロゴです。



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2012年4月21日

シティー・グループの株主総会

先日、シティー・バンク等の親会社であるシティー・グループの株主総会で、CEOを含める会社役員の報酬が否決されたというニュースがありました。大統領選挙やアフガニスタンでのアメリカ軍の更なる不始末など、様々な重要なニュースがありますが、これも結構重要なニュースだと思うので、ちょっと触れておきます。

株主総会ではこれからの会社の方針などの承認のために必ず投票が行われますが、役員の報酬が否定される事はまずないそうで、このような事態はかなり珍しいケースなのだそうです。事前の根回しも行われるようだし、会社がよく運営されていれば、配当も増えるので、それなりの報酬を役員に支払う事に株主はなんら異存はないのです。たとえ多くの社員を解雇しても、会社の利潤が増えればそれで良いという事です。

ところがシティー・グループはずさんな経営の為に数年前に大きな損失を出し、2008年には倒産を免れるために国が多額の資金を注入した銀行です。その記憶もまだ生々しく、充分な結果も出ていないのに、早々とCEOに対する$15Mもの報酬を出すとは納得できないと株主が意見したのです。株主総会の決定には強制能力はないものの、株主は事実上の会社の持ち主なので、経営者側が決定を全く無視する事も考えにくいのだそうです。

アメリカの株式は、裕福な個人や会社が大口の株主になっている事もありますが、退職金を運営する団体が小さな個人の株主をまとめて代表しているケースが沢山あります。今回は、カリフォルニア州教師の退職金を運営する団体が多額のCEOの報酬に意義を唱えたのが発端だったそうです。

これから、株主総会シーズンで、バンク・オブ・アメリカやウェルス・ファーゴの役員報酬も否決される可能性も出て来たようです。これで今までのような役員報酬だけ桁違いに伸びるようなやり方には、歯止めがかかるのではないかと言われています。



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2012年4月20日

スパイシーな南国の色

少し前にインドのカップ麺のデザインについて書きましたが、今回は私の大好きなタイのインスタントラーメンについてです。ニューヨークの中国系スーパーマーケットでとても安く購入できるのですが、これがなかなか美味しいのです。タイのインスタント麺は、どういうわけか、茹ですぎでも伸びないし、味もなかなか良いのです。

南国のデザインだからか、それともスパイシーな食品のデザインだからか、強烈な色のコンビネーションになっているのは、インドのカップ麺と同様です。このような食品包装を見ると、辛い物好きは思わず手が出てしまいます。

同じ会社が米粉で作った麺のインスタント麺も販売しているのですが、包装は白が基調のさわやか系のデザインで赤系統のスパイシーな色調を全く使っていません。残念ながら、今日中国系スーパーマーケットに行った時に売っていなかったので写真がありません。でも、それもしっかりと辛いのは興味深いところです。

少し前に、べトナム人のクライアントからクッキーの箱のデザインを依頼されました。彼女は、アメリカに来る前にフランスでお菓子のシェフとして働いていたそうで、サンプルとして私にくれたクッキーは、とてもエレガントな味と形でした。ところが彼女の希望するデザインは、青と黄色を主体とした強い色の組み合わせだったので、クッキーの箱にはもっと別の色調を使った方が良いと勧めた事があります。

それぞれの文化と色の関係には、なかなか面白いものがあります。



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2012年4月17日

日米の疑心暗鬼

アメリカに住んで、早くも19年が過ぎました。まだまだ日本で生活して来た年数の方が長いけれど、19年も住んでいるとアメリカという国の様々な内状が見えて来ます。日本にニュースや映画、テレビドラマ等を通じて伝わるアメリカは、ごく一部のアメリカでしかありません。

日本に関しても、あれこれかんがえます。日本のように変貌が早く激しい国は、ほんの少しいないだけであっという間に状況が変わってしまうので、私がかつて生活していた日本と今の日本は既に大きく異なっています。

日本とアメリカの関係は、どの角度から見ても、お互いになくてはならないパートナーなのですが、お互いの不信感に恒常的に悩まされているように思えます。お互いに相手の事を「抜け目のない、信用できない奴だ」と思っているのです。

日本人からしてみれば、アメリカはかつての占領国で、憲法第九条を押し付けた国、そしてその後自衛隊を作らせた国。アメリカは自国に都合がいいように日本を作り上げようとしました。ところが、アメリカ人からしてみれば、日本が経済大国になったのはアメリカのおかげなのに、日本の取り決めはいつも不透明で交渉がし辛いと思っています。

そしてお互いに自分の国の方が損しているように思っているのです。お互いに独立した国家なので、自国の利権が一番大切で、相手の国には不満や要望がいろいろあって当然なのですが。アメリカで生活している日本人としては、日米間の様々なレベルの疑心暗鬼がとても歯がゆく思われます。

日本人とアメリカ人は共通点がとても少ないのですが、だからこそお互いを知る事が大切です。ブログを通じて、これからもアメリカの現状や文化等を伝えて行きます。



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2012年4月15日

英語力

TOEICが人気であるという、焚き付けるようなニュースを見て、もしかしたらそれは日本のクライアントを獲得するのに良いかもしれないと思い、ネットにある無料の模試をしてみたら、リスニングの段階で音声が出て来ないので断念してしまいました。

そのため、最初の部分の模試しかやってないので、TOEICに関しての限られた知識しかないのですが、これで英語力の何が計れるのだろうかと少々疑問を感じました。高得点をとっても、英語クイズ王にはなれそうですが、ビジネスレベルの英語ができるかどうかは怪しいと思います。

アメリカの大学に入る際に、私もかつてTOEFLを受け、決められた以上の得点を取り、それから大学の入学許可とビザを出してもらいました。ところが、現地に行ってみると、大学では独自の英語と数学のテストを生徒に行っており、そのテストにパスするまでは、普通の授業がとれない仕組みになっていました。必要なだけのTOEFLの点数は持っているものの、実際に大学レベルの授業を理解し、論文を書くだけの英語力がない留学生が多い為にとられた対策だそうです。

私もEnglish as Second Languageのコースを1学期間取らされました。そこで、論文の書き方、討論の仕方など、大学生活で必要な一通りの事を教わり、次の学期からは、普通に大学の授業を受ける事ができました。なかには英語が普通に喋れてもTOEFLの必要な得点が取れない留学生(南米系に多い)、TOEFL高得点を持っていても大学独自の英語の試験になかなかパスできない留学生(アジア系に多い)もいました。

大学でそれなりの成績を納めるのには、それなりの努力が必要でした。アメリカ人の学生が1時間で済む予習に、留学生は何倍もの時間を費やします。全ての分からない単語を調べていると、いくら時間があっても足りないので、要領良く大抵の分からない単語の意味は憶測し、どうしても分からない単語をのみを辞書で調べていました。

地学のコースをとっていた時に、辞書を引いて日本語訳が分かっても、その日本語自体が地学の特殊な用語なので意味が全くわからないという困った事態に陥りました。私は日本で大学レベルの地学のコースをとった事がないので、事前の知識がなかったためです。日本語を調べても分からないならば、辞書を引く意味がないとようやく気がつき、それからは全てを英語で理解することにしました。

今考えると、私の論文は、かなり酷かったのではないかと思いますが、それでもどうにか卒業し、就職する事ができました。グラフィック・デザイナーという職業なので、それほど語学力が必要とされる分野ではありませんが、今になって考えれば、私のような英語もたどたどしい外国人をよくも雇ってくれたと思います。

私が本当に英語を理解するようになったのは、それからです。学生のうちは、分からない事があっても、自分の成績に響くだけなのですが、仕事をしてお金をもらっているからには、上司から言われている事、同僚との話、業者との取引の全てが理解できなければなりません。学生の時にはあまり必要なかったコミュニケーション能力、英語での理解力、表現力というのが、仕事の場では毎日要求されます。

そして、最後まで難しかったのが、仕事場での会話の横入りです。例えば同僚が3人位で盛んに話をしている時に、そこに割って入って自分の話を繰り広げるのには、かなりの語学力を必要とします。でもこれができないと、オフィスでの市民権を獲得するのはなかなか難しいのです。

長く英語で仕事に携わっていれば、いずれは英語でのコミュニケーション能力も身に付いて来ます。私が今でもできない… おそらく一生できないだろうと思うのは、日本語と英語のスイッチを瞬時に間違えずに切り替える事です。例えば、夫が日本に来ると、私は日本語の全くできない夫の通訳にならざるを得ないのですが、それをやるといつのまにか、日本の家族に英語で話し、夫に日本語で話してしまいます。幼い頃からバイリンガルとして育った人は、そのスイッチの切り替えを間違えずにできるそうです。



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2012年4月13日

電子書籍の談合訴訟和解

日本では、電子書籍の数自体がまだまだ少ないようですが、アメリカでは殆どとは言えないまでも、かなり多くの本が電子書籍として発売されており、私を含め既に利用している人は多いと思います。電子書籍は、もう10年位存在しているようですが、一般的になったのは2年程前にアマゾンがキンドルという電子書籍専門の端末を販売しだしてからです。その後、Kobo、Apple、Barnes and Noble (Nook) 等の様々な会社が市場に参入し、電子書籍はさらに一般化して行きました。

電子書籍自体は端末がないと読めない為に、最初に$100以上する端末を購入する必用がありますが、端末さえあれば、実際の本よりも格安の電子書籍を買う事ができるし、家が本でかさばる事もありません。

今日 class action law suit(複雑訴訟形態)という形をとり、アップルと5つの出版社が価格談合の疑いで民事訴訟されました。もともと電子書籍の小売り価格の設定は小売業者が行っていたのですが、アップルが市場に参入してからは、出版社が小売価格を設定するようになり、小売業者が自由に価格設定をできなくなったのだそうです。その裏には、アップルがiPadの発売に合わせ、それまで殆どアマゾンの独占状態にあった電子書籍のシェアを獲得する為に出版社に働きかけたのではないか(談合)という疑いがあります。出版社が電子書籍の価格を設定する事により、価格による市場競争がなくなれば、アップルの電子書籍の販売が容易になるからです。

数時間もたたないうちに、被告の5つの出版社のうちの3社は、既に和解に応じる声明を出しました。さらにその数時間後には、アマゾンが電子書籍の値段を下げるという声明も発表しています。より安く本が読めるようになるというのは、消費者としては喜ばしい事ですが、出版業界及び本のあり方が近い将来さらに大きく変わって行く事になりそうです。

アメリカの出版業界や書籍小売業者は、30年前と比べて既に大きく異なっています。それまでは、各地に点在していた独立した書店が今では大手の Barnes and Noble という本のチェーン店にとって変わっています。Barnes and Noble は、独立した書店よりも品揃えが良いのと広い店内にスターバックスを置いているために集客能力が高く、コーヒーを飲みながら座って本を読めるため、より長く客を店内に留めておくことで大いに成功しました。ところが Barnes and Noble は、電子書籍の販売では少々出遅れ、今では Nook という端末を販売しているものの、シェアはあまり大きくないようです。

これから電子書籍がさらに一般的になると、書店が姿を消すのではないかという懸念を持つ人もいるようです。今まで小さな書店を駆逐し続けた Barnes and Noble も今度はアマゾンに駆逐される日が来るのかも知れません。

本当に本屋が無くなるのかどうかは、私には予測しかねますが、このような経済の変化は恒常的なもので、良い悪いに関わらず決して止める事のできない流れだと思います。技術が進み新しい何かが出て来る度に、古いものは徐々に姿を消して行くものなのでしょう。インターネットに代わる媒体が近い将来出て来たとしても、全く驚くに値しません。

町工場への大手企業からの発注が全て中国へ流れてしまったり、会社がそれまでの従業員を解雇してあらたに契約社員ばかりを雇うようになったのも全て同様の事が違う業界で起っているだけです。生活が便利になった、物が安くなったと喜んでいると、今度は自分の足元をすくわれてしまうのです。

だからと言って、田舎で農業を始めて自給自足の生活に入ろうという気持ちはありません。農業も魅力的ではありますが、私の天職ではなさそうです。ただ、自分の回りや世界で何が起きているのかを知り、どうやったらこれからの世の中を生き残る事ができるのかを考えるのは、かつてないほど大切になってきたと思います。



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2012年4月9日

パスオーバー(過超祭)2012

夫の親戚の家で大変素晴らしいパスオーバーを過ごして来ました。日本人でありながら、しかもユダヤ教に改宗してもいないのに、このような体験をさせてもらえるとは、本当に有り難い限りです。夫の親戚の好意に感謝するばかりです。夫の親戚は、もともとリフォーム(一番戒律の緩やかなユダヤ人のグループ)だったのに、オーソドックス(一番戒律の厳しいユダヤ人のグループ)に改宗した人々です。そのために、パスオーバーのセイダー(晩餐)も昔からのしきたりに則ってすべてコーシャーで行われました。

今年のパスオーバーは、4月6日(金)の日没から8日間です。最初の2日間にセイダーという儀式的な3時間以上にも及ぶ長い晩餐が行われます。セイダーは、モーゼに率いられて、奴隷として住んでいたエジプトから導きだされ、ユダヤの神から十戒を授けられるまでのいきさつの追体験をするようにデザインされており、ユダヤ人にユダヤ人であることの自覚を促します。

食事の前にパスオーバーの意味についての朗読を(写真の青い小冊子に手順や朗読する内容が英語と古ヘブライ語の両方で書いてある)参加者が一人一人交代で行いますが、その時に写真にあるマッツァ(大きなクラッカーのように見えるもの)や皿の上に乗った6つの物に関する説明が行われ、それを実際に食べます。

ホースラディッシュ(西洋わさび)は、エジプトで奴隷だった時の辛さを意味し、細かく切ったリンゴ、胡桃、シナモンとワインを混ぜた物は奴隷が建造物を作るときに使ったモルタルを意味し、塩水に浸して食べるパセリは奴隷時代の涙を意味し、羊のモモの骨(これだけは食べない)は、神に捧げる羊を意味し、固ゆで卵はもう一つの神への捧げものを意味します。

クラッカーのようなマッツァは、イーストの入っていないパンで、エジプトを出る時に急いでいたので、パンのイーストが膨らむ時間がなかったという言い伝えから、パスオーバーの間の一週間は、イーストの入ったものを一切食べずにパンの代わりにマッツァを食べます。

その後にようやく晩餐となるのですが、最初のコースはゲフィルト・フィッシュ、次にマッツァ・ボール・スープ、それから七面鳥と付け合わせのジャガイモ、マッシュポテト、様々な種類のクーグル、野菜類、そしてチョコレートや果物、マカロン、ケーキ等のデザートでした。奴隷から自由の身になった事を祝う儀式なので、贅沢に沢山食べるのがポイントなようで、夫の親戚の家ではいつも食べきれない程の沢山のおいしい料理を用意してくれて、本当にお腹が一杯になります。食事の後にも更にセイダーを締めくくる儀式があり、夜の10時を過ぎて全ては終了します。

コーシャー(ユダヤ教の食事に関する法)では、肉と乳製品を一緒に食べてはいけない事になっており、デザートに出されたチョコレートにもケーキ類にも乳製品は使用されていません。また、特にパスオーバー期間中の食べ物は特別にパスオーバー用に聖別されたものでなければならず、小麦を入れた食品は18分以上調理してはいけない事になっているので、果物野菜類以外の全ての食べ物はパスオーバーの為に特別に購入しなければなりません。

親戚の家にいた二日間は、オーソドックスの習慣に則って、一切の労働をしませんでした。ユダヤ教で言う労働とは火をおこさない事なので、文字通り働く事のみが労働ではありません。車の運転もしないし、料理もしないし(全ての料理は当日の日没以前に作ってある)電話も取らないし、テレビもみないし、電気をつけたり消したりもしません。電気は、火をおこして作られているものなので、電化製品の使用も労働とみなされるようです。私はオーソドックスのユダヤ人ではないので、そのしきたりを強制される事はありませんが、いつも大変暖かく迎えてくれる親戚に敬意を示すために同様に行動しました。

労働が禁止されているだけに、写真をとる事も少々はばかられたのですが、儀式の様子を撮らずに、セイダーの始まる前のテーブルや七面鳥とグレービー(タレ)の写真ぐらいならば、差し障りないだろうと思い、撮ったのが上の写真です。



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2012年4月6日

アメリカの肉(鶏胸肉、ピンクスライム)

アメリカ人は一般的に鶏の胸肉をもも肉よりも好みます。脂肪分が少なくタンパク質が豊富であるという理由です。スーパーでも胸肉はもも肉の倍位の値段がします。日本では胸肉の人気があまりないせいか、もも肉の方が高く売られているのは、興味深いところです。

ある時にふと「アメリカの胸肉は、やたらと大きい」という事に気がつきました。個体差はありますが、日本で売っている胸肉のおよそ2~3倍ぐらいはあるでしょうか。それをあまり気にも留めず、得したぐらいに最初は思っていたのです。

そのうちにニュースや Food Inc.等のドキュメンタリー映画を見て、アメリカの鶏の胸肉が大きいのは偶然ではなく、より高く売れる胸肉を沢山作る為に、様々な方法で意図的に大きな胸を持つ鶏を育てているのだと知りました。鶏に運動制限を課して歩けない程に太らせたり、病気にならないようにあらかじめ抗生物質や精神安定剤をエサに混ぜたりと、全部は書きませんが、かなり劣悪な生育環境です。鶏が可哀想というよりも、その肉を食べて体に良いわけがないと思いました。

これが私がオーガニックを買う事になったきっかけです。ただ、オーガニックは高いのです。より効率的に生産された一般の肉や野菜と比べて、手間もかかるし生産量も少ないオーガニックの値段が高くなるのは理解できるのですが、いくら健康のためだとは言え、オーガニック食品だけを食べ続けるのは我が家では無理です。最近は、どの野菜や果物に残留農薬が多いか、どの野菜や果物は一般的な農法でも殆ど農薬を使わないで生産できるかを見て、買い分けています。

仕事のミーティングの際、ふとした事で肉の値段が話題に上った事があります。あるアメリカ人は「70年代頃までは、肉の値段がもっと高かったんだよね。」と言っていました。より多くの人により安いタンパク質を提供して、より効率的に農業をしようとした結果、肉の値段はかなり下げる事ができたけれど、その過程で巨大農業ビジネスが業界を殆ど独占する形になってしまったようです。

ピンクスライムというものが、最近アメリカで話題になりました。ピンクスライムとは、牛肉のスジや隙間の部分から作られた食品添加物で、脂肪分を取り去り、細菌を殺すためにアンモニア等で処理してあります。それだけでは市販されないものの、市販の牛挽肉には15%まで混入することが許されていて、ピンクスライムの有無を商品に明記する必用はありません。ABC ニュースの調査によると、一般のスーパーで売られている牛挽肉の70%にピンクスライムが何%か混入していたそうです。

これが、学校給食にも使われていたらしく、かなりの物議を醸し出しました。勿論、マクドナルドやバーガーキングでもピンクスライム入りの牛肉が使われていました。ところが、報道によって人々の関心が集まって来ると、バーガーチェーン店も学校も、ピンクスライムの使用を取りやめるという声明を出さざるを得なくなってきたようです。

栄養価は高く、安価で安全なタンパク源なので、動物やペットのエサに使うには最適でしょうが、人間の食べる物ではないような気がします。



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2012年4月4日

ユダヤ人の結束

今週金曜日の日没から、今年のパスオーバーが始まります。日本語では過越祭と訳されており、キリストが死の直前に祝ったとされているのも過越祭です(最後の晩餐)。チャールトン・ヘストン主演の十戒を見た事のある人やキリスト教徒は、知っていると思いますが、旧約聖書の出エジプト記に記載があります。

大まかに説明すると、エジプトで奴隷だったユダヤ人がモーゼに率いられてエジプトを脱出する際に、ユダヤ教の神は自分がエジプトを通り過ぎる時にエジプト人を殺すので、それを避ける為にユダヤ人は屋内に籠り、家の入り口にはユダヤ人の住居である印をつけておくように命じました。神がエジプトを通り過ぎている間にユダヤ人が急いで家庭毎に集まってとった食事が過腰祭です。

この宗教的行事をユダヤ人の家庭は何千年もの間ずっと守り続けています。このようにユダヤ教の行事は、生活のあちこちにちりばめられているために、世俗的なユダヤ人でさえ基本的に自分がユダヤ人であるという意識は強く持っています。

だからと言って、ユダヤ人の結束が一枚岩のように固いかというとそうでもなく、特にパレスチナ問題が複雑化している近年では、ユダヤ人の間に大きな溝ができています。同じ家族や親戚の間でもウェストバンク(ヨルダン川西岸地区)に対する考え方は大きく異なるので、この話題を親戚一同が集まった際に持ち出すと、必ずといって良い程、後味の悪い感情的な論争に発展してしまいます。

ウェストバンクは、国連でパレスチナ領と認められていますが、近年、かなり保守的なユダヤ人の入植者が急増している地域です。このユダヤ人の入植について、ユダヤ人の間でも奨励もしくは黙認する人と反対する人がいるのです。

アメリカに於けるユダヤ教も、一番世俗的なリフォーム、もう少し突っ込んだコンサバティブ、そして保守的なオーソドックスの3種類に別れています。3つのグループが対立しているわけではないのですが、それぞれに異なる習慣ががあるので、お互いが混じりあう事はまずありません。同じリフォーム同士でも他のアメリカのユダヤ人との連帯感は、ないように見えます。

また、かなり保守的なユダヤ人(ウルトラ・オーソドックス)の間にも溝があるようです。アメリカからイスラエルに移民した保守的なグループに属するユダヤ人が、既にイスラエルに住んでいる更に保守的なグループのユダヤ人から差別を受けているというのも最近報道されて知られるようになりました。

パレスチナ問題に関しては、皆とても強い意見を持っています。個人的な私の意見もありますが、それを持ち出すと夫を含め、親戚の人とも、他の全ての人とも収拾がつかない不毛の言い争いになってしまうので、一切を口にしない事が最善の策であるというのを苦い経験から学びました。



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2012年4月2日

サマーキャンプの憂鬱

今頃の時期になると、アメリカの長い夏休みに子どもをどうするかという事に頭を悩ませます。去年一昨年と日本に連れて帰ったのですが、実家に帰っても子どもをちょっとの間だけ見てくれる人達も既になく、実質私一人で子どもと夜も昼も一緒に過ごす事になってしまい、疲労困憊してしまいました。

今年は、息子をサマーキャンプに入れて、もう少し社会性をつけさせたいという事で、夏には帰省しない予定なのですが、サマーキャンプの値段を見て、余りの高さに途方に暮れています。無料や低料金のサマーキャンプもあるのですが、そういうのは概して人気が高く、とても入れそうにありません。"Affordable" お手頃な… と紹介してあるサマーキャンプも$3,000~$4,000 位します。

サマーキャンプと言っても、本当に泊まり込みのキャンプに行かせるわけではなく、学校が休みの間に子どもを日中に預けるデイ・サービスです。地域や学校によって異なりますが、今年のニューヨークの公立学校の夏休みは11週間もあるので、一人で仕事をしながら子どもを育てている親、共稼ぎの家庭では、どこかに子どもを預ける以外に選択肢はありません。

無料や低料金で人気の高いサマーキャンプは、3月末の時点で既に閉め切りも抽選も終わっている所もあり、夏に近づくにつれ、まだサマーキャンプの行き先が決まらない我が家の焦燥感は募るばかりです。



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