2012年8月31日

ご当地ピザ

アメリカ人がピザに持つ感覚というのは、日本人がラーメンに持つ感覚と似ていると思います。元々は外国から来た食べ物なのに、国民に圧倒的な支持を受け、独自の発展を遂げ、数々のご当地版や名物店まで出現しています。どちらも手軽に食べられて、安くて美味しいからでしょうか。

どんな辺鄙な田舎へ行っても、街があればピザ屋の一つや二つは必ずあります。それくらいアメリカ人はピザが好きなのです。誕生日にピザ、アメリカン・フットボールを見ながらピザ、ボーリング場でピザ、引っ越しが一段落してピザ、小腹が空いたらピザ… と何時でも何処でもピザタイムと言って過言ではありません。

シカゴスタイルのピザ
それだけ人気があるピザですが、場所によって生地の具合や味にかなりの差が見られます。おそらく、一番の圧巻がシカゴスタイルのピザだと思います。

日本にもUNOというピザ屋のチェーンがあると思いますが、UNOで出すのがシカゴスタイルのピザです。生地が厚くてタルトの皿のような鉄製の丸い容器に入れて焼きます。

油を生地の下にも入れるし上からもたっぷりかけるので、焼くというよりも生地を実質揚げているのです。トマトソースもチーズもたっぷりなので、かなりコッテリとしています。具もどっさり乗っかっている事が多いようです。

シカゴスタイルのピザはスナックというよりも食事のようで、厚くて具沢山のピザを食べる時には、当然ながらナイフとフォークが必要です。

シカゴの空港で「普通のピザ」を食べようとしたら、シカゴではこのタイプのピザが「普通のピザ」なのだと知りました。シカゴの人は「これが本当のピザだ」と自信満々に言います。シカゴ以外ではUNOに行けば食べられます。

ニューヨークスタイルのピザ
私にとっての「普通のピザ」はニューヨークスタイルのピザです。ニューヨーク中に無数にあるピザ屋では、一つの巨大なパイを8等分した大きな一切れが売られています。生地が薄くて柔らかいので、そのまま手に持って食べようとするとペラッと垂れてしまって上手く行かないために、縦に二つに折って食べる人が多いのです。

ニューヨークのピザの良い所は、味もさることながら、急いでいるけれどちょっと小腹の空いた時に、一切れ買ってその場で立ったまま食べて、すぐに次ぎの目的地に行けるという手軽さだと思います。まさに忙しいニューヨーカーにぴったりの軽食なのです。ピザ一切れ食べただけでは(アメリカ人は)満腹にならないのも良い所です。

色々とトッピングしてあるピザもありますが、殆どの人がピザ屋で食べるのは、トマトソースとモッツァレッラチーズのみのシンプルなピザ。それでも各店によって味の違いがあるので、人気のある美味しい店はいつも混んでいます。

カリフォルニアスタイルのピザ
そして、最近聞くようになったのがカリフォルニアスタイルのピザです。ウィキによると、1980年頃から出て来たそうで、1人用の小さいサイズのパイが殆どだと思います。

トマトソースを使わない事が多く、具も山羊のチーズ、チキン、ズッキーニ、卵など、従来のピザの具にとらわれない独創的なものが多いようです。私のイメージでは、軽めでおしゃれな感じがするのがカリフォルニアスタイルです。

他にもハワイアンスタイル、セント・ルイススタイルなどあるらしいのですが、私はまだ残念ながら食べた事がありません。





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2012年8月29日

アメリカの刺青人口


以前から、アメリカ人は日本人よりもカジュアルに刺青を入れる傾向があったと思うのですが、最近はそれが更に加速してニューヨークにいる人の1/3に刺青が入っているのではないかと思うくらいに刺青の人ばかり巷でみかけます。首の後ろに入った漢字の刺青、腕にバンド状に入っている刺青、ジーンズとシャツの間からチラッと見える背中の下の方に入った刺青、シャツかと思うくらいにみっしりと腕から肩にかけて掘られた色鮮やかな刺青、手の甲に入った刺青など、実に様々です。

今回のロンドンオリンピックでも、刺青の入った選手が結構目につきました。日本のヤクザみたいな体中に広がる倶利伽羅紋紋やエセ観音様もたまにみかけますが、殆どが腕や肩、足首にちょこっと入っているようなワンポイントの西洋風の刺青です。女子ビーチバレーの選手は、確か腰にも刺青が入ってました。それに関して解説者があれこれ言う事もなかったので、アメリカ社会に於いて刺青はかなり市民権を得ているように思いました。

そして刺青の色や柄にも流行があるようで、昔ながらのハートやバラは最近姿をひそめ、その代わりに上の写真のようなどこかの部族が入れてるような文様を最近は多くみかけます。色も墨色一色で渋く行くか、そうでなければ様々な色を沢山使ったとてもカラフルなシャツのようにするのが人気のようです。勿論、謎の漢字を使った刺青も時々見ます。

一体、どのくらいの人が刺青を入れているんだろうと不思議に思って調べてみたら、ネットに統計がありました。こんな事の統計を取る人もいるんだなと驚いたら、Pew Research Center という大まじめなアメリカのシンクタンクが行った調査でした。今年の7月23日の日付なので、かなり最近のデータです。

統計によると、アメリカ人全体の14%が少なくとも刺青を一ついれているそうです。子供を除外すると(アメリカでは子供に刺青を入れようとしたら、間違いなく児童虐待で逮捕されると思います。)、やはりかなりの数の大人が刺青を入れている事になります。18才から25才までで刺青を入れているのは36%、26才から40才に至っては40%もの人が刺青をいれていると言うのだから、私が思っていたようにニューヨークに住む大人の人口の1/3ぐらいには刺青が入っているのかもしれません。全ての刺青が見える所に入っているわけではないので、会社でスーツを着て固い仕事をしている人の中にも、密かに刺青を入れている人はいるのだろうと思います。

これだけアメリカ人に人気のある刺青でも社会的な保守派にはまだまだ抵抗があるようで、夫の親戚の人などは「鼻のピアスはまだいいけれど、刺青は品位にかける。自分の子供達には入れさせない。」と言っていました。ユダヤ人にも刺青はタブーのようで、刺青があるとユダヤ教の墓には入れないのだそうです。

日本では極道のイメージが刺青にはつきまとうし、スーパー銭湯や温泉に行くと「刺青の方お断り」と書いてあるので、躊躇する人も多いのでしょうが、そのどちらの懸念も必要ないアメリカでは、刺青を気軽に入れる人が沢山いるようです。




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2012年8月28日

えっ?スニーカーに $300?


夏休みも終わりに近づき、新学期の為に新しい文房具やバックパックを買い揃える季節です。子供に新しい服を買ってやる親も多く、新学期セールが至る所で見られます。それを狙って各メーカーが新製品や新しいモデルを出す季節でもあります。そしてついに$300台のスニーカーが出たという事で、9月に発売予定の LeBron X Nike Plus というバスケットボールシューズは話題になっています。高いナイキやアディダスのスニーカーでも$200を超える事は稀なので、この不景気の中$300台のスニーカーが発売されるというのは少々ショッキングです。

バスケットボールシューズと言っても、これは本当にバスケットボールをしている人が競技用に履くような代物ではなく、要は街で履くようなおしゃれスニーカーなのですが、金色に輝く特大ナイキロゴの他にもあれこれ機能が付いているようです。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、
The basketball shoes come with built-in electronics that measure how high wearers jump and how far they run. Analysts say they expect Nike to issue a relatively small number—about 50,000—of the $300 shoes, with a less-expensive version of the shoe, without the electronics, likely to cost $180, or $10 more than the previous edition, the LeBron 9.
このバスケットボールシューズは、電子工学技術を用いており、どれだけ高くジャンプしたか、どれだけ遠くまで走ったか分かるようになっています。アナリストによると、ナイキは$300代のスニーカーは5万足程度と比較的少数の発売になるけれど、電子工学技術なしのそれよりも安いバージョンの靴は約$180程度、もしくは一つ前のモデルの LeBron 9 よりも$10高い値段で発売されるだろうと見ています。
と言う事なのですが、機能を読んでも分かるように、これは子供やティーン用のスニーカーです。しかも販売ターゲットは明らかに黒人です。写真を見る限りでは歩くと底が電気で光るようになっているようで、まさかいい大人が歩く度にピカピカ光るスニーカーを$300も出して喜んで履くとは思えません。

スニーカー(靴)にお金をかけるというのは、ヒップホップ系の文化です。例え貧乏でも、スニーカーだけはピカピカなのが誇りなのだそうです。以前コメディアンが「ニューヨークに始めて来た頃は、ハーレムやブロンクスに行くと黒人が多くて怖いと思ったんだけど、黒人の友達も出来てその文化も少し分かるようになると、スニーカーで見分けられるというのが分かったね。汚い格好をしても綺麗なスニーカーを履いてる奴は安心だけど、スニーカーまでボロボロの奴は本当に危ない。」と言って笑いを取っていた事を思い出します。

GlobalGrind というヒップホップ系のサイトにも、ナイキの$300スニーカーに関する面白い記事がありました。グッチやルイ・ヴィトンの靴に$500も支払う用意があるならば、スポーツシューズに$300支払ってもいいのではないか、というのがナイキ側にはあるようです。ナイキは、$300でスニーカーが本当に売れるのかどうか、市場を試しているのであって、特殊技術にお金がかかるとか工賃が上がっているとかというのは言いわけに過ぎなのだそうです。もしも売れなければ、ナイキも他のメーカーも$300台のスニーカーはしばらく発売しないのでしょう。ところが記事のライターは、おそらく$300のスニーカーは、より高価で希少な物に引きつけられる子供達とそれを買ってやる親達に飛ぶように売れて、更に高いスニーカーの前例を作るだろうと予測しています。

つまり、この記録的な不景気の中、裕福でもない黒人層の子供を狙って高額なスニーカーを売り莫大な儲けを得ようとしているナイキのやり方はひんしゅくを買って当然だけれど、需要があるからこそ供給も産まれるのだと GlobalGrind の記事は締めくくっていました。

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2012年8月27日

空腹なアメリカの子供達

豊かな国アメリカでお腹を空かせている子供達が実は沢山いるのだと書いたら、驚く人がいるかも知れませんが、2010年の統計によると1,600万人の子供達が食料確保の難しい家庭に育っているのだそうです。先日のニューヨークタイムスの記事にもアメリカの教育費の削減や食費援助プログラムの縮小によって更に多くの子供達がまともな教育が受けられないどころか食べる物にも事欠くようになれば、2030年頃には中国やインドとの競争力をさらに失うと書いてありました。

私の息子の通う学校は住宅地の中にある公立の小学校で、子供達の人種も家庭の経済状況も実に様々です。少し離れた所から通って来る比較的裕福な家庭の子供がいる一方、家庭で充分な食事がとれない子供もいます。それを現実に目の当たりにしたのはある日、何かの都合で息子を少し遅れて登校させたときでした。

学校側に直接渡したい書類もあったため、息子と供に職員室まで行った時に、もう一人遅れて来ている子供がいました。ちょうどその場に居合わせた校長がその子に朝食を食べて来たかどうか質問していました。子供が食べていないと言うと、校長は「お腹が空いていては勉強に集中できないから、カフェテリアに行きましょう。何かあると思うから。」と言ってその子の手を引いて職員室から出て行きました。

普通、子供は無理矢理にでも親に朝ご飯を食べさせられてから登校するものだと私は思っていましたが、アメリカでは事情が少し異なるようです。アメリカの小学校は、子供の食料事情にまで気を使わなければならないのかと驚いた反面、校長の行動には敬服しました。

ニューヨーク市の学校給食は一人一食$1.50でまかなっていますが、経済的に困窮していて支払いが困難な場合には、前もってそれを証明する書類を提出すれば、給食費は減額若しくは全額免除になります。朝食を家庭で食べるのが困難な子供達は、朝少しだけ早く登校すれば学校で無料の朝食を食べる事も出来ます。

アメリカの学校の給食は日本の栄養バランスにも優れた美味しい給食と比べれば本当にお粗末なものですが、そんな給食でも食べるのを楽しみにしている生徒が少なからずいます。アメリカの子供達の約5人にひとりは年収が約2百万円以下の貧困家庭に育っており、毎日夕食が食べられるとは限らないので、給食がとても重要な栄養補給の場になっています。そういう子供達の為に、ニューヨーク市では夏休みの間にも学校を開けて朝食と昼食を子供達に食べさせている所が地域にかならず一つはあります。子供がその学校に通っている必要はなく、ただ子供をそこに連れて行けば、子供は無料で食事が出来るようになっています。

色々と考えさせられます。



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2012年8月25日

大雑把にまとめたアメリカ政治と大統領選挙

アメリカの政治にあまり馴染みがない方の為に、簡単に説明すると、オバマ大統領は民主党 (Democrats) 選出の大統領です。今年末で4年間の一期目の任期を終え、二期目で最後の再選を目指します。それを阻もうとしているのが来週の共和党大会で正式に共和党 (Republicans) の大統領候補として選出される予定のロムニー前マサチューセッツ州知事です。アメリカは二大政党制が定着している為に、ロス・ペロー氏のように全くの無所属 (Independent) で立候補する人もいますが、いくらお金があっても巨大な政党の後ろ盾なしに大統領に選ばれる事はまず不可能なようです。

政党が二つしかないと、その中でも異なる意見を持つ議員が出てくる事は当たり前のようで、民主党も共和党も右派から中道、左派まで様々です。オバマ大統領は民主党中道、ジョー・バイデン副大統領は民主党左派よりの中道、ヒラリー・クリントン外務大臣は民主党左派のタカ派、そしてポール・ライアン共和党副大統領候補は極右というのが一般的な認識だろうと思います。問題はロムニー共和党大統領候補で、マサチューセッツ州知事をしていた時には明らかに左派だったのですが、最近は党内の右派からの支持を求めてどんどん右傾化した意見を述べています。結局いったいどれが本当のロムニーなのかはっきりせず、それが彼の弱点の一つともなっています。

それでも民主党と共和党の基本的なものの見方の差異というのははっきりとしていて、有権者はその指針に従って自分を共和党であるとか民主党であるとか認識するのですが、なかなか決められない人も当然います。大雑把に箇条書きすると、民主党と共和党の違いは以下のようになります。

民主党
  • アメリカに住む全ての人は医療保険を持つべきである
  • 金融業界、証券業界には規制が必要である
  • 年収が極端に高い裕福層にはもっと税率を高くして税収をあげるべきである(現在、投資による所得にかかる税金は15%程なのに対し、賃金にかかる税金は35%程なので、アメリカの税金は日本のような累進式にはなっていない)
  • 景気回復の為には公的資金注入を積極的に行う
  • 国の発展のためには社会福祉(教育、年金、失業保険、医療、生活保護その他を含む)の充実は欠かせない
  • 財政再建の為には所得税増税はやむを得ない(特に高所得層への課税率は中所得者層よりも低くなっているのが現実なので、是正すべきである)
  • 避妊薬の費用は医療保険でまかなわれるべきである

共和党
  • 医療保険を全ての人に課するのは憲法で補償された自由に反する
  • 金融業界、証券業界の規制はさらに撤廃すべきである
  • 雇用を作り出す為には、高所得層への税率は低くすべきである
  • どんな事があっても増税をしてはならない(税金はできれば撤廃したほうがいい)
  • 公的資金注入は税金の無駄使いである
  • 社会福祉は国民は怠けさせるので極力なくす
  • 軍事費は国の安全保障の為に増加させる
  • 妊娠は病気ではなく、避妊はそれを意図的に回避する手段なので、その費用は医療保険が支払うべきではない
  • 政府は自由な経済活動の妨げとなるので、出来るだけ小さい方が良い


民主党と共和党を支持する人びとの数は男女比年齢グループによる内訳の差こそありますが、大体五分五分です。今年は浮動票が例年よりも少ないようで有権者の6%前後だと言われており、選挙戦に使われる1,600億円は実にこの数少ない浮動票の為にあるのだそうです。



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2012年8月24日

アメリカの修道女達

ここ数年アメリカのキリスト教右派グループがダーウィンの進化論を学校で教える事に反対したり、人工妊娠中絶や避妊を法的に禁止しようとしていますが、それとは異なる方向に進んでいる聖職者達がいます。カトリックの修道女達です。

ここ数十年の間、アメリカで神に一生を捧げたいと思う女性は少なく、修道女達の平均年齢はかなり高くなっています。それでも、精力的に学校で教鞭を取ったり、貧しい人々に仕えたりと、彼女達の多くは一般の人々の中で神の慈しみを体現しています。マザーテレサのような活動をしている人は、実は世の中に沢山いるのです。

ところが、彼女達の精力的な社会福祉活動をバチカンは快く思わないようで、アメリカに於ける修道女の最大グループ Leadership Conference of Women Religious は過激なフェミニズムを提唱しているとして今年の4月からその方向修正を迫られています。堕胎禁止や同性愛婚禁止を唱える司教の後押しをすることよりも社会福祉により熱心であるというのが罪状のようです。

多くのアメリカ人は修道女達に同情しています。修道女の優しさや誠実さに触れた経験のある人は多いし、毎週教会に通う人々の中にも、例外を許さない厳しい堕胎禁止や避妊禁止は行き過ぎであると感じる人が多いからです。

昔イコンを教えてくれたシスターから、歴史が移り変わるにつれて、イコンに描かれるキリストの顔の表情が大きく変化するという興味深い話を聞いた事があります。イコンの作者が、神は堕落した時代に怒りを感じていると思えばキリストの顔は怒りを帯びた厳しいものとなり、逆に苦しい時代には人の心をなぐさめるように慈悲の表情をもったキリストの顔が描かれるのだそうです。

おそらく、バチカンや司教にとってのアメリカは快楽に満ちて堕落した社会なのだろうと思います。でも人々の中で活動する修道女達はアメリカ社会の低辺で苦渋に満ちた生活を送る人々を沢山見ています。アメリカ社会で貧富の差が大きくなればなるほど、現状の把握に関する認識も人によって大きく異なって来るのだろうかと思います。

いままでに何度かバチカンからの公式質問状にどうやって返答するかをまとめる会議が開かれましたが、今のところ修道女達は大人しく引き下がる様子を見せていません。



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2012年8月22日

アメリカの争点ー人工妊娠中絶

先週末に、ミズーリ州の共和党上院議員候補が「正当な強姦では、女性は妊娠しないようにできている。」という驚くべき発言をして全米を驚かせました。強姦に正当や不当があるのか、強姦では妊娠しないというのはどういう事なのかとマスコミからかなり突っ込まれていましたが、本当に上院議員候補が言いたかったのは、人工妊娠中絶は全面的に禁止されるべきであるという事です。

アメリカで使われるabortionという言葉は、人工妊娠中絶ではなく堕胎と訳されるそうです。中絶は「女性が妊娠を途中で中断する」という意味であるのに対して、堕胎は文字通り「胎児を堕とす」という意味です。医学的にみれば、産婦人科で行われるのはどちらも全く同じ事なのに、日本語では女性からの視点、英語では胎児からの視点である事に気づきます。

日本でも人工妊娠中絶にまつわる様々な罪悪感や非難が水子霊に代表されるような民間の言い伝えに現れていますが、アメリカで中絶に反対する人々の主張の殆どは生命を神聖視する強いキリスト教の思想を反映しています。人命は尊いものであり、それを故意に取り上げる事はどんな理由があっても(強姦や近親相姦の場合も)許されないと考える人々もいます。たとえ不幸な出来事が妊娠につながっても、その時点で新しい命は神に祝福されたのだから生まれてくるべきであると考えられるからです。

勿論アメリカ人のすべてが熱烈なキリスト教信者という訳でもなく、女性や都市部に住むアメリカ人には、日本人と似たような考え方をする人も沢山います。最近の世論調査を見ると、堕胎を法的に禁止すべきであると考える人々と、妊娠を継続するか中断するかは妊娠している女性本人のみに最終決定する権利があると考える人々の割合は五分五分です。

プロライフ(胎児の人権を主張する)派とプロチョイス(女性の選択権を主張する)派の違いを箇条書きにすると次のようになります。
プロライフ
  • 受精卵は人間なので、人権をもつ
  • 堕胎は法的に禁止すべきである
  • 強姦や近親相姦で妊娠した場合の堕胎に関してはプロライフ派でも意見がわかれる
  • 不妊治療で使われずに残った受精卵も人間なので、幹細胞の研究に使ってはならない(ブッシュ大統領はその理由で国費の幹細胞研究を禁止しました)
  • 避妊は神の教えに反する 
プロチョイス
  • 受精卵は人間ではない
  • 人工妊娠中絶は、胎児が体外に出て生き延びる事ができない期間は合法的に行われるべきである
  • 積極的に避妊を行い、望まない妊娠は極力避けるべきである
  • 避妊と人工妊娠中絶の費用は保険でまかなわれるべきである 

今年末の大統領選挙は、経済、医療保険の他に人工妊娠中絶も争点の一つとなるようです。



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2012年8月21日

アメリカの新聞

白状すると、日本では殆ど新聞を読んだ事がありませんでした。読みにくいと感じていたし、例え読んでも分かり辛かったからです。ところが、アメリカに来てから新聞を頻繁に読むようになりました。はっきり言って、日本の新聞よりも遥かに読みやすいし、面白いのです。新聞と言っても紙に印刷されたものではなく、ネットでの電子版の閲覧です。ページをめくって読みたい所を探さなければならない新聞紙と比べて、ネットではクリックすればその記事に飛んで行けるので便利だし、家に新聞紙が積み重なってイライラする事もありません。記事の内容も、質も、ボリュームも日本の新聞に比べてアメリカの新聞は遥かに優れていると思います。

アメリカの新聞は、日本と異なり全国版ではなく(USA Today という薄い内容の全国版の新聞がありますが、ホテルの部屋に毎朝デリバリーされる意外に読んでいる人を見た事がありません。)、それぞれの地方都市にそれぞれの新聞があるので、内容にもその土地の特徴が色濃く出ます。私が普段読んでいるのは、ニューヨークタイムスワシントンポストです。

ニューヨークタイムスの読者には都市部に住む高学歴のリベラル層が多いために、内容もリベラルです。新聞のカバーする内容の範囲も、政治、経済、教育、不動産、ファッション、映画、美術、等々とかなり広く、記事の量も質も大変高いものとなっています。また、読者の知識や教育レベルの高さは電子版のコメントを見ると明らかです。

ワシントンポストは、首都ワシントンD.C.を中心に出回っている保守系の新聞ですが、首都の新聞だけに全国的な読者が多い新聞でもあります。新聞の購読をしなくても電子版が全く無料で読めるのがワシントンポストの素晴らしいところです。コラム欄には、どのコラムが保守の見解か、またはリベラルの見解か、はっきりと振り分けられているので、アメリカの政治にあまり詳しくない人が読んでもどれが保守的な考え方なのか、若しくはリベラルな考え方なのか、分かりやすくなっています。読者の質はニューヨークタイムスよりも劣るようで、電子版のコメントには、一行のみの誹りも見られます。

それともう一つ、新聞ではないのですが、エコノミストをたまにかいつまんで読みます。エコノミストは、イギリスの保守的な週刊誌ですが、記事の内容が深く掘り下げられており、アメリカからではなくイギリスからの物の見方を知る事ができ、アメリカの新聞からはあまり知る事ができない世界の事も詳しく書いてあります。ただ、アメリカに関する記事は的外れの内容だったりする事がたまにあります。

日本の新聞の記事は、一つの話題に関する何処の新聞社の記事を見ても、とても短く判を押したように同様である事が多いように思います。それがよく言われる日本記者クラブの産物なのかなと思うと、日本の新聞からまともな情報を得るのは難しいような気がして、海外に住む私には残念でなりません。



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2012年8月13日

ロムニーの副大統領候補

資金だけはオバマ陣営よりも遥かに多く握っているにも関わらず、最近支持率が低下気味で困っていた為か、ロムニー候補はポール・ライアン下院議員を副大統領候補に選ぶという大博打に出て来ました。ポール・ライアン議員は、ここ数年頭角をあらわして来て、更なる減税と極端な緊縮財政を進めようとしているとても野心的な若手議員です。将来的には、年金も高齢者の医療保険への出費も大幅に削除する計画をもっています。

ロムニー候補は、前マサチューセッツ知事でその前には実業家として大いに成功した人です。CEOとしての成功を国の政策に当てはめる事ができる優れた指導者であるという触れ込みとは逆に、いままではオバマ大統領の政策を批判するのみで、自ら打ち出した具体的な経済再建案を示す事が出来なかったためにいまいち説得力に欠けていました。これからはライアンの減税及び超緊縮財政案をロムニー陣営の経済再建案として使って行くようです。

ただアメリカ大統領候補自身が、具体的な経済再建案を提示する事ができず、他の議員からの借り物を使用しなければならなかったのは、やはりお粗末に見えます。何故ライアンを副大統領候補に据えるずっと以前に独自の案を提示する事ができなかったのか、疑問に思います。ライアンの副大統領候補発表以降に彼の超緊縮財政案を提示すれば、行政の最も重要な部分である財政問題の取り組みをライアンに大きく負う形になり、自身の大統領としての影を薄くする結果にもなりかねません。

ポール・ライアン議員は、ティーパーティーと共和党極右勢力に熱烈な支持を受けています。本来、共和党中道で比較的マイルドな印象のロムニーはティーパーティーとは一線を画していると思えたのですが、ライアンを選んだという事は、よほど内状が苦しいのでしょう。ただ、ティーパーティーが共和党の足元をすくう形になったのと同様に、ティーパーティー候補とも言えるライアンがロムニー陣営を乗っ取ってしまう可能性もあるような気がします。ロムニーは例え大統領選挙で勝ったとしてもティーパーティーの強力な影響下に苦しめられる事になりそうです。

いずれにしても、今度のアメリカ大統領選挙は、今後のアメリカの長期的な経済政策を決定する重要な選挙になる模様です。



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2012年8月12日

オリンピック放送

もうすぐロンドンオリンピックも終わるのですが、アメリカのオリンピック放送は、一つの放送局が放送権を独占する形で例年行われています。私が知る限り、NBCが毎回独占放送権を取得しています。

最近は、NBCも従来の地上波放送に加え、幾つかのケーブルチャンネルを所有しているので、それぞれのチャンネルに種目を分けて放送しているようですが、我が家のようにケーブルのない家庭は見られる種目がビーチバレー、バレーボール、水泳、飛び込み、水球、体操、陸上数種目に限られてしまいます。

アメリカ対日本の女子サッカーの決勝の時間帯には、オーストラリア対ハンガリーの女子水球3位決定戦を延々と放送していました。アメリカではオリンピックのサッカーはケーブルでしか見ることができません。ケーブルの契約がなければ、ネットでもゲームを見る事ができないようになっています。中国の人々が検閲をくぐって外国のネットを閲覧するように、アメリカでも同様の方法でケーブルの契約無しにオリンピックのゲームを見ている人が結構いるようですが、そこまでしなければオリンピックのゲームを見る事ができない、言い換えればそこまでして徹底的にオリンピックで金儲けをしようとしているNBCの根性に嫌気がさしました。

ニューヨークとロンドンでは5時間の時差はあるものの、開会式を含めて全ての種目は録画だし、プールサイドで競技直後の水泳選手にインタビューしていた女性アナウンサーは下らない質問ばかりしていたし、編集の仕方も競技の途中に選手の背景紹介を延々と入れて却ってつまらなく出来上がっています。

ケーブルを入れてまでオリンピックを見たいという気持ちもないし、ケーブルを入れても普段テレビを家で見る時間がそもそもないので、無駄になるだけです。数日前から、テレビをつけて、オリンピックだとチャンネルを変えたりテレビを消したりするようになってしまいました。



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2012年8月3日

ひとつの比較

私はこの日本語のブログの他にも、英語でブログを書いています。英語のブログには、日本の文化や習慣、社会に関する事を書いているので、要するにアメリカについて書いている日本語のブログと正反対の事をしています。

日本語のブログと同様、英語のブログはアイデアから執筆まで全て私自身が行っていますが、英語のブログは必ずプルーフ・リーダーを通して文法の誤りを直してから、一般公開するようにしています。私はアメリカに18年間住んでいて、ニューヨークのアメリカ企業とも長年ビジネスをしているため、英語力はかなりあると自負していますが、それでも元々帰国子女ではなくバイリンガルとして育てられた訳でもないので、英語を母国語のように扱える訳ではないからです。

そのため、英語のブログを更新するためには日本語のブログよりも長い時間がかかるので、日本語のブログの数に比べると英語のブログの数自体もアクセス数も少ないのですが、興味深い事に不特定の読者から入るコメントの数は英語のブログの方が多いのです。英語のブログに入るコメントの殆どは、とても短いもので「良い内容ですね」とか、「面白い内容ですね」などの、ちょっとした励ましです。でも、そういうちょっとした励ましが時には前へ進む原動力を与えてくれます。

少し話題がずれますが、私は健康の為に競歩をしています。近所を歩いていると「頑張れ」というような意味の励ましの言葉を往来の人がかけてくれる事がたまにあります。私の夫もジョギングをしていた男性に声援を送っているのを見た事があります。その時夫に何故声をかけるのか聞きました。すると夫から返って来た答えが、
He looked like almost ready to give up. He really could use encouragement.
でした。その男性はかなり肥満で、ようやくジョギングをしていたような状態でした。夫が言うには、その男性がギブアップしそうに見えたので、運動をつづけるように励ましたかったのだそうです。

アメリカ人は、ほんのちょっとした事でも自分の中にだけしまっておかないで、相手に伝えたい人達が多いようです。



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2012年8月2日

ニューヨーク訛り

ニューヨークのマンハッタン以外の地域に住んでいると、強いニューヨーク訛りのある人に時々出くわします。マンハッタンに強いニューヨーク訛りの人がいないのは、マンハッタンの住人の殆どがニューヨークの外から移り住んで来たからなのだそうです。ブロンクスでも私の住むクイーンズでも、スタテン・アイランドでも隣の州のニュージャージーでもニューヨーク訛りを聞く事があります。

テレビや映画で面白おかしく誇張した表現がされるニューヨーク訛りですが、有名な所では、ロージー・ペレス、ダニー・アエロ、ウッディー・アレン、アル・パチーノ、ジョー・ペッシ、クリストファー・ウォーケン、テレビドラマ「ソプラノ」の俳優達が劇中でニューヨーク訛りを喋っています。

イタリア移民にニューヨーク訛りを話す人が多いようにも見えますが、それはイタリア移民がニューヨーク近郊に多かったからで、他の地域に住むイタリア移民に同様のアクセントはないようだし、ユダヤ系のウッディー・アレンにも南米系のロージー・ペレスにもニューヨーク訛りがある事から、やはりこれは地域的なもののようです。

ずいぶん以前に、息子の通う小学校の側にあるピザ屋に入った時、多分10代後半から20代前半の若い女性が
Whakkinda sowp do you have? (What kind of soup do you have? −スープというよりもスウップと言っているように聞こえる)
と言っているのを聞いて、思わず聞き耳を立ててしまいました。ニューヨーク訛りを話すのは大抵中年以上の人々なので、若い女の子からベタなニューヨーク訛りを聞くとは思っていなかったからです。

ニューヨークにはスノッブなイメージがつきまとい、実際にそういう鼻持ちならない人々は沢山ニューヨークに住んでいるのですが、それとは裏腹に、ニューヨーク訛りには暖かくて素朴な庶民のイメージがあります。

具体的にニューヨーク訛がとても強いロージー・ペレスのユーチューブビデオを貼ってあるので時間がある方は見てみて下さい。





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