2012年10月31日

ハリケーンの被害

アメリカの北東部は大きなハリケーンに見舞われました。私はニューヨーク市のクイーンズに住んでいるのですが、今回は停電や浸水などの被害に遭わずに済みました。今回はマンハッタンでもクイーンズでも南側に被害が集中したようです。

どこの文明社会でも同様だと思うのですが、被害にあった地域とあわなかった地域が隣り合わせになっていることもあり、とても奇妙です。普段の文明の利器の恩恵に預かっている生活の基盤がいかに脆弱なのもなのか思い知らされます。

ハリケーン自体が大きかった為に、被害も広大な地域に渡っており、ハリケーンが通り過ぎて一日経った今日の段階でも被害の全体像がつかめていないようです。ニューヨーク市の地下鉄の復旧の見通しも未だに立っていません。マンハッタンの南部でもかなりの被害があったようですが、経済活動の中心的な地域なので、再開発も素早いはずです。

ただ、全ての地域でマンハッタンのように多大な資材をつぎ込んだいち早く復旧が始まるという事にはならないと思います。長引く不況の中で、例えばニュージャージーのひなびた沿岸地域に再開発の投資をする事が正しい事なのか、地方自治体は苦しい選択を迫られる事になると思います。

日本で様々な自然災害が起きた時の地方自治体と国の連携がぎくしゃくしている事と比べれば、アメリカの地方自治体と連邦政府との災害対策の連携は素晴らしいと言って差し障りないと思います。ジョージ・ブッシュがハリケーン・カトリーナの対策を大いに誤り、多数の死者を出した事はまだ記憶に新しいので、行政はその後の自然災害対策にかなり神経質になっていることも大いに関係しているのでしょう。

あと数日で大統領選挙が行われます。今回のハリケーンは大番狂わせで、これが選挙にどのように影響するのかは未知数です。投票所が確保できるか、そこに人が行く交通手段があるのか、投票機を動かす為の電源を確保できるのかなど、様々な疑問があります。しかも、今は直接被害にあった人にとって、選挙など二の次です。

あと数日して被害の全貌が見えるようになって来たらもう少し色々なことも分かると思います。



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2012年10月28日

ニューヨーク市の受験

今日のニューヨークタイムスにFor Asians, School Tests Are Vital Steppingstonesという記事がありました。

ニューヨーク市には、幾つかの受験で入学できるとても優れた市立高校があるのですが、そこに入学している生徒の多くはアジア系移民です。ニューヨーク市の公立学校全体でのアジア人の比率は14%なのに、Stuyvesant Highschool や Queens High School for Science at York College に通う生徒の72%がアジア系です。

何故このようにアジア系の生徒が多いかと言うと、アジア系の親は子供に勉強をさせる(時にはかなりプレッシャーをかけても)からです。中国、韓国、日本にも受験文化があるので、受験勉強はアジア人にとっては当たり前の事です。

特に東南アジアや中国からの貧しい移民の場合、子供が優秀な学校を出て医者か弁護士になる事が一族全体の苦しい経済状況を好転させる切り札となるので、時にはどんな犠牲を払っても子供に成功して欲しいのです。

ニューヨーク市の高校受験に合格する為には、塾のような所に通うのは必須です。仕事を二つ掛け持ちしてどうにか生活しているような移民には、ひと月数百ドルの費用を出すのはかなり大変なはずですが、子供の成功のためには、アジア系の親は何とかしてそれを捻出します。

夫と台湾人である前妻との間に出来た二人の子供は、その方法でそれぞれニューヨーク市の Gifted & Talented Program から有名市立高校へ進学したので、私もその内状は少し知っています。

アメリカ人とアジア人のハーフである夫の子供は、スタイベサントに行っていましたが、完全なアジア人ではないので学校では浮いていたと言います。また、競争が激しすぎる為に、交友関係はギスギスし、カンニングが横行していたそうです。カンニングの件は最近ニュースでも話題になりましたが、今に始まった事ではありません。

高校生活は、朝から深夜までの毎日の勉強と、眠気を飛ばす為に一日に何杯も飲む強いコーヒーと、ベビーシッターのバイトで終始したようです。

そういう高校からの大学への進学率は当然高いのですが、全ての生徒が希望通りの大学へ進学できる訳ではありません。大学側はいくら成績が良くても同じ高校から大量の生徒を取るのを嫌う傾向があるので、多くの生徒が有名大学へ行けるだけの学力を持ちながら、行けないという矛盾が出て来ます。それが更に学校内での競争を熾烈にさせるのでしょう。

私の子供は今4年生で、エンジニアになりたいと言っているので、大学に行かせてあげて希望通りエンジニアになって欲しいと思っています。でも息子には、何時間も根気よく座ってやる受験勉強は無理です。かといって、私立の高校や大学に入れるだけの財力も我が家にはないし、どうしたものかと今から頭を悩ませています。



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2012年10月26日

アメリカの会社での宗教の取り扱い

最近のアメリカの政治家は、宗教などのごく個人的な信条を好んで公の場に引きずり出したがります。そして自分の考え方が「正しい」としてそれを他人にも押し付けようとします。でも一般的には、アメリカの会社で宗教に関して言及することは大きなタブーです。

アメリカ人が全てキリスト教と考えるのも誤りで、私の夫はユダヤ教だし、息子の学校には多数のイスラム教徒やヒンズー教徒がいます。キリスト教でもジョージ・ブッシュのようなボーンアゲインもいれば、カトリックもいるし、私の住むアストリアでは、ギリシャ宗教が主流です。プロテスタント系統では、教会が違えば、異なる信条を持っています。

宗教が多様化したアメリカでは、一つの職場で全く同じ教会や宗教に属する人達が複数いるというのは、どちらかと言えば珍しいはずです。そのため、職場で個人的な宗教に関して同僚に話しかけたり、教会に誘ったりするのは、軽く言えばエチケット違反、キツく言えば非常識にあたります。

極まれにボーンアゲインで歯止めが利かず、教会の話をしてしまう人がいますが、それをするとプロフェッショナルではないとみなされてしまいます。上司からも会社で宗教の話はしないようにと注意される可能性があるし「あの人は宗教懸かっている」という有り難くないレッテルも同僚から貼られてしまいます。

日本では、会社で宗教の話をしないのが当たり前だし、個人的にも友達と宗教の話をする人は殆どいないと思います。でもアメリカに来て、アメリカ人が週末に教会に通っているのを見ると、自分も宗教に興味を持ち出し、その経験を同僚につい話してしまう人がいるようです。

個人的に信仰を持つというのは、素晴らしい事だと思います。でも宗教の話を持ち出すのには、相手に不快な思いをさせないようにかなり神経を使わなければなりません。そのため、殆どの人は宗教の話題を避けて通るのです。

何故政治家だけ例外なのか、私には理解できません。アメリカの政治家が「神の意思」というような言葉を持ち出す度、私は極度に不快な思いに駆られます。



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2012年10月25日

ニューヨーク市長ブルームバーグの計画

大金持ちで無所属のブルームバーグ、ニューヨーク市長は、とてもユニークな立場にある政治家です。億万長者なので資金は全て自費でまかなえるため、選挙献金を集める必要がありません。そのため、規制の利益団体や政党に媚を売る必要もありません。そしてとうとう独自の利益団体を作ってしまいました。

ブルームバーグはかねてから、同性愛婚の許可と銃規制に強い関心を持っていますが、彼の利益団体はそのアジェンダを推進しようとしています。どの政党に属しているか関係なく、同性愛婚と銃規制を公約し、実際にそれに尽力しようとする政治家には選挙資金を与えるというものです。

アメリカの場合、同性愛婚を法的に認めさせようとする政治家は少なくありませんが、銃規制を推進しようとする政治家は政党を問わずあまりいません。ブルームバーグは、政治家は影響力の強い全米ライフル協会にビビっていると言っています。

全米ライフル協会は、協力なロビイストを抱える利益団体です。銃規制を政策としないことの代償として多くの政治家に多額の献金を行っています。ブルームバーグの利益団体は逆に、銃規制を政策とするならば、その政治家には選挙資金を与えるというものです。

今の所、オバマ大統領もロムニー候補も、銃規制に関しては全く言及していので、ブルームバーグはどちらの候補者も推薦していません。度重なる銃による無差別殺人の後も、銃に関する発言は注意深く避けて、銃規制に話題が飛ばないようにしています。銃規制を持ち出すと、全米ライフル協会からの献金がなくなるだけでなく、南部からの得票も失うからです。

ブルームバーグが同性愛婚の実現と銃規制を目的とする利益団体を作った事は、大変好ましい事だとおもうのですが、正直言って「やはりここでも金が物を言うのか」という感想を持ちました。今のアメリカは、ロックフェラー、バンダービルト、カーネギー、グッゲンハイムらの一族が巨額の富を築いた時代と匹敵するほど、貧富の差が開いています。

財力を持つもののみが政治に影響を与える事ができ、世論も民意も資金さえあれば合法的に操作できるのです。一般人の声が政治に反影されないのは無理もありません。



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アメリカで健康保健がない場合の医療

アメリカ人でも若い人は健康保健なしで生活している人はかなりいます。若いと病気にかかる気がしないし、例え病気になっても年に一度風邪をひくぐらいのものなので、高い保険料を毎月支払うくらいなら、保険はなくてもどうにかなると思うのでしょう。

雇用のコストを下げる為に、被雇用者に保険を提供しない雇用主も増加し続けています。健康保健にかかるコストが高すぎるために、規模の小さい雇用主では支払いきれないという事実もあります。

またアメリカでは、もしも糖尿病や喘息、高血圧、癌などの既往症がある場合、保険会社は個人や小さな雇用主には健康保健を売ってもくれません。そういう人は今の所、比較的規模の大きな会社で働いてそこから健康保健を入手するか、メディケイドという低所得者向けの政府が一括している保険に加入するしか方法がありません。

ただしメディケイドは、永住権保持者かアメリカ国民でないと支給されないし、所得の規定もかなり厳しく決まっています。

学生ならば、渡米前に日本でアメリカ留学用の健康保健を買うか、渡米してからもしも学校で健康保健を買うオプションがあればそれを買うことをすすめます。学生ではなく、雇用者からの健康保健の支給のない日本人がアメリカで健康保健を入手するのは、残念ながらとても難しいのが現状です。

ただ風邪などのちょっとした病気にかかって、内科での診療が必要な場合は、保険無しでも費用を全額支払えば診てくれます。大抵は120ドルぐらいだと思います。

それだけ支払えないばあいには、HHCオプションというのがあります。幾つかの指定された診療所に行けば、保険がなくてもその人の収入に応じた額で診療を受けられるのですが事前の審査が必要だそうです。

また避妊や婦人科系の診療は、プランド・ペアレントフッドという所へ行けば、低額で診てもらえます。健康は交換できるものではありません。移民のステータスがどうであれ、年に一回の子宮頸癌の検査は必ず受けるべきです。

HHCオプションが使える診療所もプランド・ペアレントフッドも、低所得者用の診療所なので快適な環境ではないかも知れません。それでも体の調子が少しおかしいとおもったら、悪化させる前に医者に診てもらうべきだと思います。

本当に高熱が下がらないとか、骨折したとかの緊急の場合には、最寄りの病院へ行くしかありません。アメリカでは救急車も利用者が費用を支払うシステムなので、よほどの事がない限りタクシーなどで行きます。アメリカでは、緊急患者の診療拒否は法律で禁じられているので、保険の有無や収入の有無、移民のステータスに関わらず診てもらえます。

ただし、保険を持たない場合の病院での治療は高額です。後日、自宅まで請求書が送付されて来るはずです。アメリカの病院の未回収の医療費は莫大な額に登るようですが、それもまた医療を高額にしている一つの原因です。

もしもアメリカで健康保健がないのに大病にかかってしまったら、日本人ならば日本へ帰るというオプションもあります。でもそこまで行き着く前に、保険がある無しに関わらず普段から定期的に検診へ行って、健康の管理をしておく事がアメリカでは特に重要です。



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2012年10月22日

チャリティーイベント

アメリカ癌協会が主宰する、乳がんの治療を支援するチャリティーイベントに行って来ました。私と夫と息子とでセントラル・パークを4マイル歩いて来ました。朝方は少し風が冷たかったので、私達は色々着込んで出かけたら、11時位までにはかなり暖かくなっていて、タンクトップ姿の人も見かけた程です。

私の内科医はかつて乳がんを患った事があるそうで、毎年10月になるとそのイベントにグループ参加しているのです。私自身歩くのは好きだし、毎年声がかかるので特別な用事がない限りは参加しています。

私の友人と夫の義理の姉も乳がん経験者で、それぞれ苦しい闘病生活を一時期送っていた事があります。幸い3人とも早期発見だったので、乳がんは完治しています。今では普通に働いて生活しているのを見ると、乳がんの宣告は必ずしも死刑宣告ではなくなったのだと実感します。

このように乳がんが早期発見され完治できるようになったのは、大勢の人の寄附により多額の研究費用が注ぎ込まれるようになったり、マモグラムを保険を持たない人にも行う努力をしてきたからです。

乳がん関係のイベントの先頭に立ち、寄附を多額に集め、乳がん治療に大きく貢献してきたのがコーメン乳がん基金という団体です。アメリカで最も信頼されている非営利団体と言われるそうですが、2012年1月にはその信頼に大きな傷がつきました。その後は方向修正したようで、これからも沢山の支持を受けて行く事は間違いないと思います。

アメリカ人が寄附を頻繁に行うのは、アメリカ人の気質というのもあるかも知れませんが、日本と異なり非営利団体に寄附した金額は税金の控除になるという事実もあります。全ての寄附した金額が控除として扱われるのではなく、細かい規定が色々とあるのですが、不動産を持つ人、家のローンを支払っている人、多額の寄附がある人は、この控除を受けるのに有利です。つまり、この控除はある程度の資産を持っている人にしか当てはまらず、借家に住んでいる人が100ドルの寄附をしたところで、その額は税金の控除にはなりません。

チャリティーは、とても意味がある事で私も自分の考えと同様のチャリティーは支援したいと思っています。でも貧しい人が国のシステムによってでなく、チャリティーによってしか援助を受けるられない国家は、先進国とは言えないと思います。



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2012年10月21日

そば粉

子供の頃に、祖母はたまに蕎麦掻きを作って食べていました。祖母は醤油とネギ、七味をつけて、私は醤油だけをつけて食べていた記憶があります。蕎麦について書いていたら、蕎麦掻きが無性に懐かしくなって来ました。

日本でもそば粉はそれほど出回っている商品ではないので、アメリカではいくら日本食料品店に行っても、そば粉なんて売ってないだろうと思っていたのですが、普通のアメリカのスーパーでそば粉は売っていました。

Buckwheat flourといって、蕎麦を作るのではなく、パンケーキに入れたりするのです。表示を見ると、そば粉100%でオーガニックらしいので、正真正銘混じりけ無しのそば粉に違いないと思い、購入して蕎麦掻きを作ってみました。

最後に蕎麦掻きを食べたのはもう何十年も前の事になるので、記憶も定かではないのですが、蕎麦の香りがとても強かった記憶があります。でもアメリカのそば粉は、なんだか味も香りも欠けているように感じました。やはり、パンケーキ用なのでしょうか。

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上白糖とグラニュー糖

学生の頃に、北海道では「てんさい」とか「サトウダイコン」とか「ビート」とかいう砂糖の原料となるもの生産していると習ったのを記憶しています。砂糖の原料はサトウキビではないのかと少々怪訝には思いました。でも当時はネット社会でもなかったので特別に調べる訳でもなく、そのままになっていました。

何十年か経ち日本の家庭料理のサイトを作っていて、その疑問がやっととけました。何故日本の砂糖(上白糖)とアメリカの砂糖(グラニュー糖)は違うのだろうと思ったのです。

アメリカに来たばかりの頃、スーパーで買う普通の砂糖がコーヒーに入れる砂糖みたいにサラサラなのに驚きました。日本でも、お菓子の原料にはグラニュー糖を使えとレシピには書いてありました。でも、私の実家はグラニュー糖なんて洒落た物を常備しているような家庭ではなかったので、コーヒーにもお菓子にも何にでもベタベタの上白糖のみを使っていました。

日本で普通に手に入るお砂糖(上白糖)は、日本でのみ使われていて、グラニュー糖の回りに「てんさい」から出来る糖液を吹き付けてあるのだそうです。グラニュー糖よりも水分を含んでいるのでしっとりとしていて、グラニュー糖よりもコクと甘みが強いということです。また「てんさい」から出来る糖分は、焦げやすい性質を持っている為に、焦げ目が欲しい場合には上白糖は重宝するのだそうです。

そもそも何故日本だけ、こんな面倒くさい事をして砂糖を作っているのか、私が読んだサイトには、良く分からないと書いてありましたが、おそらく日本の生産者を保護する為だろうと思います。

ウィキには、上白糖はグラニュー糖を更に細かくした caster sugar だと書いてありますが(それよりも更に細かい砂糖がパウダーシュガー)日本の砂糖生産者の話からすると、上白糖とアメリカの caster sugar は全く別物のようです。



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2012年10月18日

人種による分離


ニューヨークは様々な人種が混在している大都会ですが、人種による住み分けが進んでいる事は以前ブログで触れた事があります。実は住み分けだけでなく、仕事分けもニューヨークには存在します。

ニューヨークに来たばかりの頃、何故ダンキン・ドーナツの店員はインド人ばかりなのか、マクドナルドの店員は黒人と南米人が多いのか、八百屋は韓国人がやっているのか、ドライクリーナーは中国人がやっているのか、ダイナーはギリシャ人がやっているのかなど、不思議に思っていました。

例えば、イタリア人がピザ屋をやっていても変だとは思わないのですが、ダンキン・ドーナツに行って、何処の店も必ず店員がインド人だと、何故だろうと思います。

他のアメリカの都市で同様の仕事分けが存在するのかどうか、ニューヨークしか知らない私には充分な知識がありません。でも人種によるステレオタイプを面白おかしく描くシンプソンズなどを見ると、セブン・イレブンはインド人がやっていたりするので、ある程度のお決まりの構図はあるように思います。

これは、商売を始めるにあたっての権利や必要なライセンスの売買が同じ人種間で行われがちだという事に由来するようです。例えば、韓国人移民が何か商売を始めたいと思った時に、一番手っ取り早いのは同じ韓国人移民が売りに出している商売を居抜きで買う事です。

同じ人種の移民同士ならば、既に確立しているルートを使って、市からの営業許可を早く下ろしてもらったり、顧客や取引業者を受け継ぐのも比較的簡単です。

必ず一番最初にある特定の業種に参入した第一号の移民がいるわけですが、多くの移民はある程度の成功をアメリカで納めると、それまでの商売を次の世代の新しい移民に譲って、自分は引退したり別のもっと大きな事業に乗り出す傾向があります。そうやって、徐々に一つの人種が一つの業種を占有していくようです。

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学生の頃、ニューヨークの墓地を回った事があります。ニューヨークでは死んでからも人種による住み分けが存在しているようで、ユダヤ人はユダヤ人の墓地、カトリックはカトリックの墓地に入っている事はもちろんの事、同じキリスト教系でもそれぞれの人種によって埋葬区域がしっかりと別れているのを見て驚きました。

ニューヨークはメルティングポットではなく、モザイクだと言う人がいますが、全くその通りです。ニューヨーカーは混じりあって均一化するのではなく、それぞれ別個の存在でありながら、社会の一端を担っているのです。



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朝食

日本人には少し考え難いのですが、アメリカ人の朝食はかなりあっさりしていて、火を使わないのが一般的です。つまり調理を一切しないのです。暖かいものは、スイッチを入れて作るコーヒーぐらいのもので、大抵はコーンフレークのようなシリアルに牛乳をかけるか、出来合いの冷凍ワッフルをトーストする程度です。

家で全く朝食を取らずに、出勤途中にベーグル等を買い、会社の机でそれを勤務中に食べるという人もかなりいます。これを初めて見た時には、少々カルチャーショックを受けました。

アメリカでも1950年代ぐらいまでは、家庭の専業主婦が毎朝目玉焼きとベーコンやホットケーキ(パンケーキ)等をせっせと作っていたようですが、家庭の形態や雇用形態が変化するとともに、女性も働きに出る事が多くなり、朝食はどんどん簡素化されて行きました。

健康に対する懸念から、豚の脂肪から出来ているベーコンや、卵の黄身のコレステロールを毎朝食べないように気をつける人が増加した事とも関係していると思います。夫によると、1970年代頃までは、ベーコンを調理した際に出る油は体に良いと言ってそれを使って卵を焼いたりしていたそうです。

日本で最近話題になっているような、アメリカスタイルのパンケーキやオムレツを実際に家庭で作って食べる人はかなり少ないはずです。あれは、ゆっくり起きた休みの日にブランチとしてごくたまに外で食べるもので、一般のアメリカ人が日常的に食べている朝食ではありません。



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2012年10月15日

世界最大のビューティーコンテスト

しばしば言われる事ですが、アメリカの大統領選挙は、ビューティーコンテストです。候補者のイデオロギーや政策は、評論家達によってあれこれ細かく吟味されますが、一般の有権者にとって、実はそんな事はどうでもいいのです。

オバマが4年前に勝ったのも、対戦相手のマッケイン候補よりも遥かにイメージが良かったからです。そのイメージの良さやスター性にダシュル上院議員はいち早く注目して、オバマを大統領にまで仕立て上げたのです。

私はオバマ大統領が外見だけの無能な大統領だと示唆しているのではありません。オバマ大統領は、アメリカの歴史の中でも一番問題が山積している時に就任して、その任務を果たしているとても有能な大統領だと思います。

でも殆どの有権者が見るのは、候補者の表面的なイメージで、自分の投票がどのように将来の自分の生活を変えるかに関してあまり考えないようです。そして結局は、保守的な考え方を自認する人は、候補者がどのような政策を持っていようと共和党を支持し、革新的な考え方を自認する人は民主党を支持します。

たった1回の討論会で支持率に違いが出て来たり、大統領候補の婦人や子供達が選挙戦で大きな役割を担うのも、アメリカの大統領選挙が政策の戦いではなく、イメージの戦いだという証拠です。

理想的な大統領のイメージは、白人男性でプロテスタント、専業主婦の妻と子供がいて、良き家庭人であり(離婚経験などがない)、それまでに行政の実務経験がある人です。今更そんなイメージをアメリカの大統領に求めるのはバカバカしいと思う人もいるかも知れません。私もそう思います。

オバマ大統領もロムニー候補もそれから外れているし、副大統領候補は二人ともカトリックです。でも、オバマ大統領が黒人であるということとロムニー候補がモルモン教徒であるということは、2012年の現在でも決して利点にはなっていないのです。



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2012年10月14日

アメリカと南アフリカ

4年前、私はオバマ候補にそれほど熱狂的ではありませんでした。ヒラリー・クリントンの力強さが好きだったし、彼女ならばやってくれると思っていたからです。ところが、多くのアメリカ人はオバマが大統領になれば、あたかも世界が変わるかのように振舞っていました。

黒人がオバマ候補に熱狂的になったのは、十分理解できます。いくらアファーマティブ・アクションというものが法律で決まっていても、黒人が社会のトップまで登り詰めるのはかなり珍しい事なのです。大学生や若い世代も人種に関わらずオバマを熱狂的に支持していた人は多く、ボランティアはかなりの数に登ったようです。

でも、若くてハンサムで雄弁な黒人が大統領になったからと言って、すぐにアメリカの黒人全体の地位が上がったり、生活が良くなると期待するのは危険だとも思いました。急降下し続けていた経済を安定させ、新しいシステムを構築して雇用を産み出すのには時間がかかるからです。

それと全く同じ事をアメリカ人は1994年に南アフリカがアパルトヘイトを撤廃して、デ・クラーク大統領が退く時に言っていました。「いくらアパルトヘイトが撤廃されたからと言って、国家が一晩にして変わって、次の日から生活が楽になると考えるなら、国民は自分を欺く事になる。社会が変わって行くのには、それなりの年月が必要だ。南アフリカ人が、果してそれを辛抱強く待つ事ができるのか、疑問だ。」

南アフリカは、今でも問題こそ山積しているものの、それなりに持ちこたえていると思います。アパルトヘイト時代に行われた人種差別犯罪を明るみに出すために設定されたけれども、罰しない事が条件のTruth and Reconciliation Commissionには、関心させられました。

オバマ大統領が就任して4年後の今、再選をかけた戦いが続いています。4年前の熱狂は嘘のように冷めていて、人びとが口にするのは「オバマ大統領に裏切られた気がする…」という言葉です。

オバマ大統領は、無謀な二つの戦争と記録的な財政赤字を相続しました。それを4年間で奇麗さっぱり清算して、国民に豊かな生活を提供しないと言ってアメリカ人は「裏切られた」と言っているのです。

今アメリカ人は、1994年に南アフリカに対して言っていた言葉をそっくりそのまま自問すべきです。



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2012年10月11日

マスコミのロムニー叩き

ロムニー候補が先週の討論会で好調だった事から、ロムニー候補の支持率がグンと上がっています。それまでは瀕死状態だったのが、数字ではオバマ大統領とキッチリ肩を並べています。

共和党支持者は大喜びで、大変盛り上がっているようで、このままあと一ヶ月足らずを乗り切りたいと考えているようです。一方オバマ陣営は顔面蒼白で、あと2回の討論会と明日行われる副大統領候補同士の討論会でどうにか挽回したいと必死になっているのが目に見えます。

ニュースはどちらの候補もかなり公平に扱っていると思いますが、トークショーやお笑い番組系統では、先週の討論会以降ロムニー候補がかなり叩かれているのが大変興味深いと思いました。やはりこれは、若年層と女性にはオバマ大統領支持者が多い事を裏付けしているのだろうと思います。

オバマ大統領を笑いのネタにしにくいというのは既によく知られています。いつも完璧でスキがあまりない様子は、格好良くは見えても面白味に欠けるのです。そのかわり、バイデン副大統領は、失言も多い平民キャラクターなので、コメディアンには重宝されています。

ロムニー候補は、いくつかある自宅に車専用のエレベーターをつけたり、カナダへ家族旅行へ行った際に、車の屋根の上に犬が入ったスーツケースをくくりつけたという逸話があったりと、一般の人とはかなり異なる生活感覚を持つあたりがいじくりやすい要因となっているのだろうと思います。

明日は、副大統領候補同士の討論会です。大統領候補の討論会よりも面白いやり取りがあるのではないかと心密かに期待しているのですが、どうなるでしょうか。



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2012年10月10日

中国人街へ

今日は、主治医に新しい処方箋を出してもらうついでにインフルエンザの予防注射もしてもらおうと、ニューヨークの中国人街の一つ、フラッシングへ行って来ました。私の主治医も産婦人科医も両方台湾人なので、フラッシングで開業しているのです。

ニューヨークは人種による住み分けが高度に進んでいるところで、フラッシングは、台湾人の中国人街です。私のような素人には、フラッシングとマンハッタンのチャイナタウンの区別など付きませんが、中国人はちゃんと区別しているようです。

私の住んでいる近所にも内科医や産婦人科医は沢山いるのですが、私の内科医は夫が20年以上も通い続けているかかりつけの医師で、診察にたっぷりと時間を取ってくれるのが特徴です。そのため、待ち時間も長くなってしまう事が度々あるのですが、このような医師は滅多にいないので、わざわざ地下鉄で1時間かけてもそこに行くのです。

フラッシングに行くついでに、中国系のスーパーマーケットで買物をして来ようと、買物リストを片手に和食材料も買って来ました。私の住む近所にも日系のコンビニがあるのですが、やはり少々高いのです。日系のコンビニでしか手に入らない素材以外は、やはり中国系のスーパーで買物してしまいます。

新聞では、中国人が日本人を攻撃とかビジネスをボイコットとか、色々書いてありますが、ニューヨークではそんな事は全く感じません。中国人の主治医も、診療所の受付の人も、スーパーの店員も、以前と全く変わりありません。

駐在員でもなければ、自分の生まれ育った国を自ら離れて他国に住むというのは、かなり大変な作業です。それをあえて行わせるだけの強い動機が、それぞれの在米中国人にも在米日本人にもあったはずです。やはり、私を含めた在米外国人は自分の祖国を少々斜に構えた態度で見ているのでしょうか。それとも報道は、わざと事実よりもセンセーショナルに仕立ててあるのでしょうか。

このままあのちっぽけな島への人びとの関心が薄れて、もっと本当に重要な事にそれぞれの国民が情熱を注いでくれたらと密かに願っています。



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2012年10月3日

演説を見る観客の人種

大統領選挙もあと一ヶ月余りとなり、第一回目の候補者討論会も明日行われる予定で、テレビのニュースでも候補者のニュースを毎日のようにやっています。今日は、1〜2ヶ月前から気になっていた演説を見る観客の人種について書こうと思います。

ニュースを見ていると分かるのですが、オバマ大統領の観客の人種が入り交じっているのに対して、ロムニー候補の観客は見事に白人のみなのです。観客と言っても、演説をしている候補者の後ろに座っていてしっかりとテレビカメラに収まる人達なので、勿論全員サクラではあるのです。でも過去の大統領選挙では、どんな候補者も必ず要所にちらほらと黒人や南米系を配置して、幅広い人種からの支持があるように見せていました。

そういう努力までしていないと言う事は、もはやロムニー候補には白人以外の票を集めようなどという気持ちすらないように見えます。いくら白人の中高齢者は投票にいく傾向が高いと言っても、果たしてそれで勝てるのか疑問です。

選挙演説を見る観客の人種別人数集計みたいなのを、誰かやってないかと思って少し前に探した事があるのですが、見つかりませんでした。結局はサクラだし、カメラが何処まで観客を映すかにもよるので、実際に統計をとっても役に立たないのかもしれません。



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2012年10月2日

中高齢者の若返り整形

最近アメリカのテレビを見ていると、芸能関係者ではなく、解説者や弁護士、医者という比較的社会的地位の高い専門の職業に就いている中高齢の女性が異様なまでの若返り整形をしているのが目につきます。

初めてこの現象に気がついたのは、数年前にとある医師が行った血圧に関するワークショップに行った時でした。彼女は経歴からすると、かなりのベテランのはずですが、顔にシワがなく、最初は20代後半か30代前半ぐらいに見えました。でも、喋っている顔に表情が無いし、長いストレートの髪もどうも嘘くさいのです。声のトーンも弱くて一定ではなく、歩き方も少し前屈みで弱々しく、ペンを持つ手も小刻みに震えていて、半袖から出ている腕は70代ぐらいに見えました。

プレゼンテーションの内容はすっかり忘れてしまいましたが、一体その女性は何歳だったんだろうという余計な疑問は今でも心に鮮明に残っています。

以前会社で働いていた時に、何人かの面接を行った事があります。そのうちの一人のブラジャーの端がシャツの首の部分から少しはみ出ていたのですが、その時もそればかりが気になって、その候補者がどんなポートフォリオを持って来たかなどは全く記憶に残りませんでした。

プロフェッショナルとして、顔や服装が話の内容よりも目立ってしまうのは明らかに失敗です。

男性の場合は、後退する生え際が気になるようで、テレビに出ている人の髪の毛がカツラか植毛か、夫はしばしば私にどう思うか聞いて来ます。

私は整形に反対というわけではありません。自分自身もも40才を過ぎた頃から、まだ気持ちとしては30代前半ぐらいなのに、肉体だけが勝手に衰えて行くような妙な感覚を憶え始めました。鏡を見ると、自分が思っている自分のイメージよりも老化した自分がいるのです。

若返りたいという率直な気持ちよりも、毎日運動で体を鍛えて体型を維持し、競争の激しい社会のトップとして活躍する人びとは、老化がイメージダウンに繋がると判断するのだろうと思います。テレビのように視覚的なメディアには、若くて見た目も良くて才能も溢れる人材が次々と出て来ます。立派なキャリアがあっても見た目が老化して来ると焦ってしまう気持ちは十分に理解できます。

それでもやはり、既に40代に入っているはずの白人女性の目尻が極端に上がっていたりすると、どうしても不自然に見えるし、その努力が痛々しいとも思ってしまいます。上手に老化して行くというのは結構難しいものなのです。



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2012年10月1日

持てる者と持たざる者

何ヶ月か前、まだ共和党が大統領指名候補争いをしていた頃、車を運転しながらラジオから誰かが次のような事を言っているのを聞きました。
次のアメリカ大統領選挙の本当の焦点は、イデオロギーの違いでも、中絶問題でも、同性愛問題でも、外交問題でも、経済再建問題でも何でもなく、ただ単に持てる者と持たざる者の争いになる…
その時にはそうかしれないと思って聞いていましたが、いまではそうだと確信しています。1980年頃から、アメリカの中間層の所得は伸び悩み、最近では90年中頃の所得まで落ち込んでいます。失業者も相変わらず多く、不景気が長引けば長引く程持ちこたえられなくなる家庭も増えています。

それに比べて裕福層は、所得を倍増させています。アメリカの最も裕福な1%は、1979年から2011年までに所得を275%増やしています。同時期に中間層の所得の倍増は僅か18%です。

成功した人が評価されて、高い報酬を得る事に対して、アメリカ人はとても寛容なのですが、果してこれほどまで差をつけるべきなのかと思う人が増えています。

富の再分配という考え方さえアメリカ人は嫌います。一生懸命働いた高所得者の報酬を働かない人びとに分配するのは倫理的にも正しくないと考えるからです。でも、過去20年程の間、アメリカでは中間層の富が裕福層に再分配される結果となっています。

今まで雇用されていた会社から解雇された後、同じ会社から契約社員としてのオファーをもらい、今までの半分程の給料で医療保険も付いていないのに、以前と全く同じ仕事をしている人は増えているようです。損だとは分かっていても、それしかオファーがなければ甘んじて受けるしかないのです。

来週に大統領候補の討論があるので、それによって世論が少し動く事はあるとは思いますが、ロムニー候補が「持たざるものの生活を向上させてくれる」とアメリカ国民が感じる確立はかなり低いのではないかと思います。



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