2011年11月27日

人間の躾、動物の躾

私が中学生だった頃は、教師が生徒に体罰を加えるのが珍しくありませんでした。戸塚ヨットスクールの死亡事故も起きる前だったし、体罰も躾のうちという風潮がまだまだ強かった時代です。私の通った久木中学校が特に荒れていたというわけではなかったと思います。普通の公立中学で、生徒の学力の差も大きかったし、親の経済力の差も大きかったと思うので、どちらかと言えば様々な生徒がいる層の厚い学校だったと思います。

私の家庭はと言えば、子供の教育に熱心だったわけでもないのですが、親が子供を叩いてしつけるという環境でもありませんでした。まだまだ和気あいあいとした雰囲気の残る小学校では体罰の類は普通はないので、中学に入った途端、竹刀を持ち歩き、体罰を加える体育教師を目にして、妙に大人になったような気がしたものです。

最近、友人が親戚の家を尋ねた時に、その家の子供達は体罰で言う事を聞く習慣が付いているので、友人が言葉で注意しても全然言う事を聞かないという事を言っていました。アメリカの学校では決して体罰を加える事はないので(体罰は傷害事件として扱われるため)子供達は先生の言う事も聞かないそうです。

私は犬を飼った事がないのですが、テレビを見ていた時に犬をしつけるエキスパートという人が出ていました。オプラの友人で Dog Wisperer と言われている人です。素行が悪い大型犬の躾のポイントは、犬に飼い主がボスである事を知らしめ、服従させるという所にあるそうです。犬には論理が通じないので、基本的には体罰で憶えさせます。それゆえ、飼い主の弱みや優柔不断な態度は決して犬に見せてはならないのだそうです。それが自然界に於ける動物集団の法則なのだそうです。もしも、犬が飼い主や飼い主の家族や友人に噛み付いた場合には、もう危険なので安楽死させるそうです。

様々な大型のペットに襲撃された悲惨な事件は、たびたびニュースになります。飼い主と大型ペットの主従関係は、飼い主の力が絶対的な間はうまく行っても、飼い主が老化したり病気になり、力のバランスが微妙になった時に、ペットが今までのボスを抹殺して自分がボスになろうとするようです。

人間の子供の体罰も犬の躾と似通った理論なのだろうと思います。子供は体罰を恐れて言う事を聞くだろうし、手っ取り早い事もあると思います。ただ、人間の世界は動物の世界よりもずっと複雑です。必ずしも体力的に優れたものが頂点に立つわけでもなければ、頭の良いものが頂点に立つわけでもありません。職業も細分化されている為に、様々なプロフェッショナルが存在し、それぞれの個人の興味や特色を生かした職業に就く事ができれば、社会に貢献できるし、集団のトップに立つ事はなくても、十分に満たされた一生を送る事ができます。このような複雑な社会構造は決して体罰で教える事ができません。

子育ては、自分がやってみて初めて分かったのですが、迷路のようです。明らかに才能があると思われる私の息子は、強い学習障害があるために、未だにその潜在的な能力を発揮できずにいます。息子との日々の戦いに疲れ果て、夫が苛立ちを募らせた結果、息子のお尻を叩いた事もあります。おそらく、あの時が最悪だったと思います。息子は更に反抗し、萎縮し、劣等感を募らせて行きました。

それから少しずつ、親も勉強し、学校との協力体制も整い始め、ようやく今まで失った分をこれから取り返そうとしている所です。このような方向転換が出来たのも、洞察力に優れた息子の担任と、息子の才能を決して疑う事のない夫の強い信念に依るところが大きいと思います。

子どもは個性を持って産まれて来ます。子どもの教育や躾は、それぞれの子どもに合わせて行われるべきで、枠からはみ出してしまった子どもを体罰で矯正しようというのは、子どもの個性を理解しようとせず、物事を手っ取り早く単純に片付けたい親や教育者の怠慢だと思います。自分の感情や状況を上手に言葉で表現する事のできない子どもを理解するのは至難の技ですが、それを行う価値は十分すぎる程にあります。



よかったらクリックおねがいします。 ↓こちらのクリックもおねがいします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ

2011年11月26日

ブラック・フライデー

今年のブラックフライデーは、ウォールマートに始まりウォールマートに終わったという感があります。昨日はウォールマートの広告に拳銃とライフルが載っていたと思い驚いていたら、今日のニュースでは9件のウォールマートでブラックフライデーにまつわる傷害事件が起きたと報道されていました。

LAでは、いち早く目玉商品のXboxを獲得しようとした女性買い物客が他の買い物客に向かって唐辛子スプレーを吹き付けたそうです。他のウォールマートでは、商品争奪戦にスタンガンを使った客、買い物が終わって帰路についた客を襲った強盗もあったそうです。どれも数ドルから十数ドルほどの値下げにまつわる事件で、しかも全てがウォールマートで起っているのだから凄いです。

ニューヨーク市には、ターゲットやKマートはあるのに、ウォールマートはありません。私の記憶が正しければ、何度かウォールマートがニューヨーク市に店舗をオープンしようとした事はあったと思いますが、いずれの時も反対運動が起きて実現しませんでした。ウォールマートは、正社員を採用せず、最低賃金のパートを使い、医療保険等も一切支給しないので有名です。そのような雇用システムに疑問を持つ人がニューヨーク市には沢山いるのです。

私はネットでショッピングをする事が多いのですが、品物検索をすると稀にウォールマートの商品が引っかかって来る事があります。確かに、品質は少々劣るかも知れませんが、値段は安いです。同じ商品が他よりも安く売っているのを見ると、私もウォールマートから物を買おうかどうか迷う事があります。それでも、未だにウォールマートからは一度も買物をした事がないのは、やはり会社の経営方針に嫌悪感を感じるからです。ウォールマートで買い物して、ウォールマートで働くと、さらに貧乏になって行くという因果関係があります。

ウォールマートは、創設者の遺族が株の多くを今でも所有している珍しい会社でもあります。創始者の遺族は、まさにアメリカの1%の裕福層に属する人々で、ついこの前も創始者の娘が新しく美術館を創設したというニュースを見ました。今が第二の Guilded Age と呼ばれる所以です。



よかったらクリックおねがいします。 ↓こちらのクリックもおねがいします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ

2011年11月25日

サンクスギビング

今年も夫の親戚の家にサンクスギビングディナーをお呼ばれして来ました。ディナーと言っても、1時頃に食べたので実質はランチでしたが。夫の親戚の人々は、食事の後に別のサンクスギビングディナーにそれぞれ散って行きました。多くのアメリカ人は、夫の家族と妻の両方の親戚に呼ばれており、両方に義理を立てる為にサンクスギビングディナーのハシゴをする場合が少なくないようです。

何はともあれ、他人様が心を込めて料理してくれた豪華な食事をいただけるのは、有り難い限りです。七面鳥もスタッフィングもコーンブレッドも全て美味しかったです。ごちそうさまでした。

先日テレビで見たのですが、ここ数年アメリカでは七面鳥を丸ごと油で揚げるというというとんでもない調理方法が注目を浴びているようです。しかも、何を考えているのか、凍ったままの七面鳥を解凍せずに煮えたぎる油に投入する人もいるようで、火災の原因にもなっているらしいのです。油で揚げた七面鳥、あまり美味しそうではありませんね。

サンクスギビングは11月の最終木曜日と決まっているのですが、その次の金曜日は、殆どの会社や学校が休日にしています。そしてその金曜日は、ブラック・フライデーとよばれるクリスマス商戦の開幕日でもあります。殆どのデパートや商店は、通常価格から値段をぐっと引き下げ、目玉商品を用意します。

今年は、経済的にもキツいので、特別に物を買う予定もないのですが、興味本位でどんな物がセールになっているのか見てみたら、ウォール・マートでピストルが$20、ライフルが$275というのを見て、仰天しました。結局、ピストルはBBガンのピストル、ライフルは狩猟用の物だったようで、胸をなで下ろしましたが、私のような素人が見ただけではオモチャか本物か全く分からないのは恐ろしいと思いました。



よかったらクリックおねがいします。 ↓こちらのクリックもおねがいします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ

2011年11月24日

最近の食べ物ログ

Chicken Tikka Masala and Mooli Lachha
タンドーリチキンを作るつもりで、ヨーグルトのタレに前日から鶏肉を漬けておいたのですが、いきなり夫が「夕方にミーティングがある」と言い出し、二晩も鶏肉をタレに漬けっぱなしにしておくと酸っぱくなるかなと思い、焼いてしまいました。でも、次の日にただ暖めて食べるのもちょっと寂しいと思ったので、チキン・ティカ・マサラにしました。その上のは、塩をふって5分位してから水を絞った大根の千切り、水切りしたトマトの角切りカンヅメ(新鮮な完熟トマトがあれば更に良し)に細かく切った生姜と唐辛子少々、ライムジュースを混ぜた簡単なサラダです。緑色に見えるのは、香菜です。日本の千切り器は大根も人参も綺麗に素早く千切りに出来るのでとても重宝しています。




インド風の料理は、ネットで見つけたレシピを見ないと作れませんが、左の写真のようなサラダは冷蔵庫にある物を組み合わせて適当に作ります。この前のブログに載せたサラダと同様の素材ですが、これには、細かく切った人参、スライスした蕪、水菜、フェタチーズ、それにキノアという穀物が入ってます。小さい粒のように見えるのがキノアで、ウィキによるとアンデス地方原産だそうですが、日本でも手に入るようですね。知りませんでした。

キノアは、水やスープストックで煮ると、15分ぐらいで出来上がります。1カップのキノアを煮ると、3〜5倍ぐらいに増えるので、一回では使い切れません。残りは冷蔵庫に入れて保存しておきます。次にサラダを作る時に入れても良いし、上の写真のように、人参、葉もの、蕪などを細かく切ったものとキノアを油とニンニクで炒めて塩をふるだけで、結構美味しいピラフのようなものが出来上がります。根菜の使い道にも適しているし、サラダと異なり暖かいので、冬場の軽食に丁度良いと思います。ただ、本当に軽いので、2〜3時間でお腹が空いて来ます。

左の写真は、モロッコ風のレンズ豆とひよこ豆のシチューみたいなものです。レシピにターメリック13ティースプーン、シナモン13ティースプーンと書いてあったので、さすがに怖じ気づきました。何かの間違いかもしれないと思って、最初は半量のスパイスしか入れなかったのですが、やはりそれではパンチが足りないようで、結局は10ティースプーンぐらいは入れたと思います。

夫と息子が文句を言うかもしれないと思い、おそるおそる食卓に載せたのですが、ふたりとも美味しいと言って食べてくれました。でも、大量のスパイスを投入した事は、秘密にしてあります。

これは、本来はベジタリアンレシピなのですが、写真では前日の余り物のローストチキンを乗っけてあります。

右の写真は、黒いラディッシュです。ラディッシュというよりも、丁度蕪の外側が真っ黒に焦げたように見えます。CSAで配布になったものなのですが、ネットで調べたら、咳を鎮静する効果があるという事で、試してみました。真ん中をくり抜いて、そこにハチミツを垂らしてしばらく置いておくと、野菜の汁が出て来てハチミツと混ざりあいます。それを飲むと咳を抑える効果があるのだそうです。丁度風邪をひいている息子に試したら、一口舐めただけで嫌だと言って飲んでくれませんでした。



よかったらクリックおねがいします。 ↓こちらのクリックもおねがいします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ

2011年11月18日

CSAの配布



私は、元々肉が好きなタイプでした。野菜は、生でも煮ても炒めても蒸してもあまり美味しいとは思わないけれど、お務めのように食べていました。だからと言って、お菓子やジャンクフードが好きだったわけではなく、どちらかと言えば食事がすきなのです。

今年の春から近所のCSA (Community Supported Agriculture の略)に加入しました。日本では提携というのだとウィキに書いてありましたが、コープとは全く異なります。近郊にある農場と季節ごとの契約を結び料金を先払いするので、農場とすれば野菜を育てる前から引き取り人が決まっているので、安定した農場経営が可能になります。消費者の立場から見れば、野菜の種類は選べませんが、新鮮な旬の野菜が毎週手に入る事になります。天候が良く豊作ならば、沢山のゴージャスな野菜が配布されますが、悪天候が続けば、野菜の量や質は落ちてしまうというリスクはあります。CSAが必ずしも有機農法を行っている農場と契約しているわけではないと思いますが、CSA契約を行っている農場は有機農法を行っている所が多いようです。

何故CSAに興味を持ったのかと言えば、Supersize Me というドキュメンタリーの映画を見た事がきっかけです。私の大好きな Mark Bitmann というニューヨークタイムスの食品評論家もCSAに関して度々紙面に書いています。どのような内容に危機を感じたかに関しては、あえてここでは書かないので、興味のある方は調べてみて下さい。

近所でCSAはないかと探してみたら、私の住むアパートのはす向かいの教会で集荷と配布を行っている事が分かったので、最初は夫に内緒で加入しました。ここ数年、私の家庭は経済的に厳しいので、22週間の野菜に350ドルを支払う事に対してかなりの抵抗があり、言えば夫は絶対に反対すると思ったからです。計算すると、一日約2ドルを野菜に費やす事になります。オーガニックなので安いと言えば安いのですが、普通に生活していて一週間に14ドルも野菜を買う人は少ないと思います。残念ながら、最低限の生活をしている家庭では、野菜は贅沢品の部類に入ってしまうのです。

興味半分、半信半疑で始めたCSAですが、配布された野菜は、新鮮だからかそれともオーガニックだからか、とてもおいしく、夫も私も完全に癖になりました。野菜には本来味があって美味しいものなのだと分かると、食生活も自然と野菜中心になって来ました。気がついてみると、野菜は満腹になるまで食べても、肉類を食べたときのような胃もたれ感がないのです。

誠に素晴らしいCSAで、多くの人が野菜本来の美味しさを知れば、ジャンクフードや過剰に加工された食品の消費も少なくなり、生活病や成人病も減ると思うのですが、大きな問題があります。他の国ではどうなのか分かりませんが、少なくともアメリカでは、健康的な食生活を送るためには、少なからずお金がかかるのです。どういうわけか、過度に加工された、いかにも体に悪い食品のほうが、そのままの野菜や肉類を買うよりも安いのです。

CSAに加入している人々は、高学歴で30代までの若くて自由業っぽい人が殆どです。ある程度金銭的な余裕があり、独身で健康に気を遣っているためか、太っている人は皆無、ベジタリアンの比率も多いと思います。でも、本当の意味で sustainability という事を考え、地域での食品の自給率を上げ、糖尿病などの生活病を少なくする事を目標とするならば、新鮮な野菜やオーガニックの食品は収入の低い人々ににこそ容易に手が届くようでなければならないはずです。

幸い多くのCSAは、近郊の農場から野菜等を買う事によって、周辺の環境を自分達で変えて行こうというモラルに基づいて活動しているので、より多くの人びとに野菜や肉等を購入してもらう為に、低所得者の枠がある所が多いようです。NYCHAのハウジング・プロジェクトがある周辺のCSAでは、フードスタンプから毎月直接費用を引き下ろせるシステムもできているようです。

以外と遠いようで近いCSA。今はインターネットという便利なものがあるので、こういう類のものも簡単に見つける事ができるようになりました。そして、さっきメールで連絡が来たのですが、今年の冬から来年の春にかけてもCSAの配布を受ける事になりました。何が来るのか今から楽しみにしています。



よかったらクリックおねがいします。 ↓こちらのクリックもおねがいします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ

2011年11月15日

いつもの昼食 ー フェタチーズのサラダ

CSAの野菜がある時には、お昼は決まってギリシャ風サラダにします。手元にある野菜とフェタチーズとオリーブオイルと酢を混ぜるだけの簡単なサラダですが、毎日食べても飽きません。レストランで食べるどんなサラダよりもずっと美味しいと思います。勿論、野菜のおいしさがあるからこそなのですが。

今日は、水菜のような葉もの、蕪、赤ピーマン、サンドライドトマトを使いました。フェタチーズは、近所のスーパーで買うブルガリアンフェタを使っています。フェタチーズはアストリアに住んでギリシャレストランでギリシャサラダを食べるようになってから、自分でも買うようになりました。さすがにこの辺は、ギリシャ人や東ヨーロッパ人、中東人が沢山住んでいるだけあって、普通のスーパーのデリにも数種類のフェタチーズが売っています。ギリシャ食品専門店に行けば、10種類以上のフェタチーズが売っています。どれも全く同じように見えるので、最初はどれを買っていいのか分からず、色々なフェタチーズを試してみましたが、塩味が薄くて比較的マイルドでクリーミーなブルガリアンフェタを使うようになりました。

今度の水曜日で今期の野菜の配布も最後となるわけですが、ここ数週間の葉ものは水菜のようなものが配布されています。「のようなもの」と書く理由は、私が知っている水菜は普通薄めの緑色なのですが、この葉っぱには紫色の部分があります。今は水菜の季節だし、味も少し辛味があって水菜っぽいので、水菜の一種なんだろうと思うのですが、良く分かりません。

この水菜を私の実家では京菜と呼んでいました。関東地方だけの呼び方でしょうか。寒くなると塩だけをふりかけて重石をして浅漬けにしたものを父が食べていたのを憶えています。









よかったらクリックおねがいします。 ↓こちらのクリックもおねがいします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ

2011年11月13日

完全に癖になっているインド料理

ヒンズー寺院の地下食堂に行った事を皮切りに、インド料理に完全にハマっています。今日は、paneer というインドのチーズを作ってしまいました。インド料理屋に行くと、ほうれん草のカレーに入っているサイコロ状の白いヤツ、アレです。日本語ではパニールと言うようです。実は、食の細い私の子供があのチーズが好きで、インド料理を食べにいくと、あればかり拾って食べるのです。ただ、ほうれん草のカレー自体は、辛いと言って食べないので、家で辛くないカレーにパニールを入れて食べさせようかと思いました。

チーズと言っても、インドのチーズは発酵なしのチーズなので、作り方は至って簡単です。半ガロンぐらいの牛乳を鍋に入れて煮立て、そこにレモン汁かライム汁を大さじ2〜3杯入れた後、さらに弱火でかき混ぜながら5分位煮ると、牛乳が凝固した部分と、清乳とに別れて来ます。それを布巾などで濾し、布巾ごとチーズのボールのような物を作って吊るします。水分を1時間位かけて切った後に重しを乗っけて冷蔵庫に入れて2〜3時間して出来上がりです。

通常チーズを作る時に使う塩も保存料も動物性の酵素も使わないので、冷蔵庫で2〜3日しか日持ちしないのですが、シンプルな味で美味しいので、すぐに食べられてしまいます。

熱を加えても全然溶けないチーズなので、カレーには勿論の事、炒め物にも使えます。今回私は、冷蔵庫で冷やして固めるまで待てず、1時間ぐらい水切りをしたチーズをすぐに切ってフライパンで焼いて食べてしまいました。

自分で作れば保存料無し、オーガニックの自家製チーズにもなるのですが、半ガロンの牛乳を使ってもあまり沢山出来ないので、今度は市販品を試してみて、自家製の方がずっと美味しかったら、又自分で作ってみようと思います。幸い、私の住んでいる辺りは、パキスタン人やバングラデシュ人の人口が結構あるので、インドのチーズも見つかるはずです。



よかったらクリックおねがいします。 ↓こちらのクリックもおねがいします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ

2011年11月11日

お供え

先日、蕪と油揚げのみそ汁を作ったところ、子供が油揚げばかりを拾って食べていました。そこで息子に、
「蕪も食べてよ、美味しいんだから。そういえば、日本に行った時に、狐の神社があったでしょう?あの狐は、お稲荷さんっていって、油揚げが好きだから、お供えする事もあるんだよ。」
と言ったら、
「お供えすると、見返りがあるの?」
という鋭い質問が帰って来ました。

お供えというのは、この前子供と行ったチベット仏教の瞑想のクラスでも実はテーマとなっていました。そこでのお供えは、幾つものグラスに並々と注がれた水なのですが、確かに日々の生活の中でお供えをする、例え水だけでも食べ物でも何でも良いから、自分の生活の中の一部を別に取っておく。そしてそれは自分の為には使わないという習慣をつけるのは大切な事だと思いました。



よかったらクリックおねがいします。 ↓こちらのクリックもおねがいします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ

2011年11月10日

お腹が空いている人は…

私が初めてニューヨークで就職した頃、訳あってリッチモンドヒルという所に住んでいました。地下鉄のAラインの終点です。Aラインは、ニューヨークの地下鉄の中でも一番長い路線で、ブロンクス、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズの4つのボローをまたいで走っています。

マンハッタンで仕事が終わると、Aラインのダウンタウン行きに乗って延々と約1時間半ぐらいかけてブルックリンを通って、地下鉄は最後にクイーンズに入ります。途中にあまり良くない地域、つまり貧困のはびこる地域を通り抜けて行くわけですが、物乞いをする人やホームレスに食べ物を配るボランティアの人が社内を回ります。

そんな人々の中で、一人だけ、特に強く印象に残った人がいます。彼は、多分30代ぐらいの背の高い黒人でした。隣の車両からドアを開けて入って来ると、お決まりの文句を言いました。
「貧しい人々の為に、寄附をお願いします。少しの金額でもいいです。」
そう言って、お金を無心する人の殆どは、他人の為に使うのではなく、集めたお金を自分で使ってしまうのです。ところが、彼は続けて、
「もしも、食べないサンドイッチやリンゴなどを持っている人がいたら、寄附して下さい。お腹が空いている人には、バッグの中に食べ物を持っているので、あげられます。貧乏じゃなくても、ご飯を食べ忘れたとかでも良いですよ。」
と言って社内を見回しながらゆっくりと歩いていました。そして何気なく、車両の隅の方に一人で座っていた多分10代後半か20代前半ぐらいの若い黒人の女性の隣に座りました。丁度私が座っていた斜め前辺りだったので、会話が聞こえました。
"Hey, Sis. Where are you going?"
とにこやかに、気さくに話しかけました。身なりなどから、もしかしたらその女性がホームレスではないかと気にかかったのでしょう。ただ、相手の自尊心を傷つけないために、"Do you want something to eat?"とは、最初から切り出さないのですが、もしもお腹が空いているようなら、何か置いて行こうと思ったのだろうと思います。その女性は、背の高いハンサムに声をかけられて、まんざらでもないような表情を浮かべて会話していました。

女性のホームレスは、男性のホームレスに比べて、レイプなどの被害にあう率が高いので、安全を確保する為に地下鉄の社内で寝ると聞いた事があります。また、若い女性のホームレスは身なりも普通なので、パッと見ただけでは分からないのだそうです。

ホームレスの全てが物乞いをしているわけではありません。たとえお金がなくても、多くの人は自尊心が邪魔して、スープキッチンやフードパントリーに行けなかったりします。ここ数年の不況で、数年前までは働いていて家も買ったけれど、今はその家のローンを支払うだけで精一杯で、食べ物があまり買えないという家庭は少なくないと思います。

最近ジョン・ボン・ジョビが作った任意の金額を支払うレストランというのも、素晴らしいアイデアです。うまく表現できないのですが、相手の自尊心を傷つけない、相手の立場を尊重する、自己申請をあえて信用するというのは、とても大切な事だと思いました。



よかったらクリックおねがいします。 ↓こちらのクリックもおねがいします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ

2011年11月7日

ヒンズー寺院の地下食堂

友人でB級グルメにハマっている人がいて、私もそれに影響され、安くて美味しくて珍しい料理を求めてさまよっています。ニューヨークのクイーンズは、特に新しい移民人口の多い地域なので、本格的な各国の料理が手頃な値段でみつかる、世界でも稀に見る地域です。

ヒンズー寺院の地下にあるカフェテリアで南インド料理が安く食べられるという情報を得たので、友人と息子と連れ立って行って来ました。場所は、フラッシングというクイーンズにある大きな中華街の外れです。

無機質な裏口から入って、Temple Canteen(お寺のカフェテリアというような意味)と書いてある矢印の方向に進むと、質素な食堂がありました。丁度、チャイニーズのテイクアウトレストランみたいに、注文カウンターの上にいくつかのサンプル写真が掲示してあるのですが、それ以外のメニューも横に貼ってありました。

当然の事ながら、お寺での礼拝が終わったヒンズー教徒の家族連れや夫婦などが、そこで食事をしていました。ガネーシャの大きな像があるのと2台設置してあるテレビからインドのドラマが流れている以外には、全く飾り気のない質素な所です。テーブルや椅子も折りたたみ式で素っ気ないのですが、綺麗に掃除してあります。礼拝場所だからか、雰囲気もとても和んでいて良いのです。明らかに部外者と思われる私達も違和感なく受入れてくれているようでした。

でも、南インド料理など食べた事がないので、正直言って何がなんだかわけが分からないのです。アメリカのレストランで食べるインド料理は、ナン、チャパティ、ご飯などをカレー味のシチューのようなものや、タンドーリチキンなどと一緒に食べるのですが、どうもそれはパンジャブ地方(インド北部のパキスタンと国境を接した州)の料理のようです。そこのお寺のカフェテリアで供しているのは、南インド料理です。インドは広いのです。お米は見かけたものの、ナンやチャパティはもちろんの事、タンドーリチキンもありませんでした。実は、そこはベジタリアンのカフェテリアなのです。

あれこれ質問してはみたものの、食べた事がないのだから、説明してもらってもあまりピンと来ません。当てずっぽで息子と私の分を注文しました。息子には、Idli という白米から出来たパンのようなものと付け合わせ、私には Masala Dosa というクレープのような薄い生地にジャガイモと玉ねぎのカレー炒めが入っているものと付け合わせ、それにヨーグルトライスとマンゴーラッシーも一つずつ買って、全部で$9という安さです。

Idli という白米で出来たふわふわの蒸しパンのようなものは、それ自体には味はついていないので、どのようにしても食べられると思うのですが、インド人は辛いタレを付けて食べます。辛さは、私にはマイルドでも子供にはかなり辛かったようで、可哀想に殆ど食べられませんでした。もしも Idli だけを買って、それにジャムを付けたら、喜んで食べると思いますが、そういうのは邪道ですね。右の写真は、カフェテリアの物ではなく、ネットで見つけたものです。

左の写真は、友人が注文した実物のカフェテリアの Masala Dosa です。コーラの缶の右横奥に見えるのは Tamarind Rice です。クレープのようなのが Dosa です。写真では見えませんが、Dosa の中に入っているマサラで味付けされたジャガイモと玉ねぎの炒め物がとても美味しかったです。菜食だからだと思うのですが、お腹いっぱいに食べても、満腹感が肉類を食べたときのように重たくないのが良いです。

夫にお土産に買って行った Pondicherry Dosa の写真を撮るのを忘れてしまったので、ネットで見つけた写真をアップロードします。ちょっとだけ食べましたが、これもかなり美味しかったです。他にも、沢山のメニューがありました。お好み焼きみたいなもの、ホットケーキみたいなものもありました。全て質素な料理ですが、心と体を養う良い食べ物だという感じがしました。一人で密かにフラッシングの外れまでわざわざ行って、食べてしまいそうです。








よかったらクリックおねがいします。 ↓こちらのクリックもおねがいします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ

2011年11月2日

庶民の怒り

アメリカにはNetflixという、映画のストリーミング配信と郵便によるDVDレンタルを行っている会社があります。私もそこの会員です。今年の夏頃、今まで一つのサービスだったストリーミング配信とレンタルを分けて別会社、別料金にするという告知がありました。値段も今までの倍近くなります。

会員は、怒ってNetflixをボイコットし始めました。わたしは、DVDレンタルをあきらめ、ストリーミング配信のみの会員に変更しました。それでも、Netflixはやって行けると読んだのでしょう。社長の謝罪ビデオをネットで公表したものの、実際の計画は変更せずに強気でした。ところが会員数は減少し続け、10月の末には、株価がそれまでの最高株価の1/3にまで下落してしまいました。

Netflixの料金増加には、事業コストの増加と世界に事業を拡大させる目論みがあったのですが、ここまで状況が悪化してしまうと、事業の継続自体難しくなって来るだろうし、当然の事ながら、世界進出の計画も変更せざるを得ないだろうと思います。

Bank of America、アメリカで二番目に大きな銀行が、デビットカードの使用毎に5ドルの手数料を取る事を一月程前に発表しました。カードの一回の使用毎に5ドル、日本円にして約500円の手数料というのは、かなりぼったくりのような気がします。日本でのデビットカードの浸透がどのくらいなのかは分かりませんが、アメリカでは、クレジットカードが使える所では、大抵デビットカードも使えるようになっており、スーパーで牛乳を買う時にもデビットカードを使う人が大勢います。

私はBank of Americaに口座を持っていないのですが、発表を知った顧客はかなり怒ったようで、カードを使う度に5ドルの手数料を支払いたくない為に、口座をBank of Americaから他の銀行へ移した人が少なくなかったようです。Bank of Americaのデビットカード手数料徴収の告知の後、他の銀行も足並みを揃えたようにデビットカードの手数料を発表していたのですが、10月終わりの時点で他の銀行からは手数料徴収は白紙に戻すという決定が既に出ていました。結局Bank of Americaのみが最後に取り残された形となり、Bank of Americaもとうとう11月1日に手数料を取らないという発表を出しました。

Bank of Americaは、元々アメリカ西海岸を本拠地とする銀行ですが、ここ数年の吸収合併によって急速に巨大化した銀行です。サブプライムローンの焦げ付きによって出た損失をおぎなうために多額の税金が2009年にはつぎ込まれました。その上での今回の料金増加と30,000人の大量解雇発表、銀行はBank of Americaだけではないのだから、他に乗り換えようとする人が出て当然です。

この二つの企業の例は、最近のアメリカ経済を如実に現す興味深い例だと思いました。企業は収益を増やし事業を拡大する為に、国民の収入が減少しているにも関わらず強気で料金の増加を進めようとするのですが、アメリカ国民の経済的体力は企業が分析するよりもずっと低下しているのです。企業の理事会に出席する人々は、Occupy Wall Streetの参加者が叫んでいるように、もしかしたら本当に一般人の生活の苦しさが全然分かっていないのではないかと疑ってしまいます。



よかったらクリックおねがいします。 ↓こちらのクリックもおねがいします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ

2011年11月1日

伴侶

友人が、大きな仕事の契約をする直前になって、契約内容に釈然としない所があったので、弁護士や親しい人々に聞いてみたら、その契約は胡散臭いので止めた方が良いという事になったという話を聞きました。ところが、その契約が怪しいかも知れないと最初に警鐘を鳴らしたのは、御主人だったのだそうです。

私も夫に仕事に関してあれこれ話を聞いてもらう事は、よくあります。夫は同業者ではないので、細かい仕事の事は話しても理解してもらえませんが、契約段階でのあれこれ、問題がこじれたときの対処の仕方など、一人で考え込んでいるよりも、誰かに話をするだけで、自分の気持ちの持ち様が変わって来る事もあります。夫は、私にとっては世の中で一番信頼できる人物だし、夫婦なだけに私と利害関係もほぼ一致しているし、いつも側にいるから話をしやすいし、私の一番醜悪な部分さえもよく承知しています。のろけるわけではありませんが、夫は片付けが下手で手際が悪いけれども、稀に見るモラルの高い人物だと思っているので、夫の意見を参考にする事はよくあります。

結婚する前は、夫婦というのがこんなに奥が深いものだとは、想像も出来ませんでした。結婚した時に「信頼できる人が側にいるというのは、とても良い事。おめでとう。」と言われた事があるのを今回思い出しました。こういう深い信頼関係が夫婦の核となる部分なんでしょうね。



よかったらクリックおねがいします。 ↓こちらのクリックもおねがいします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ