2011年11月18日

CSAの配布



私は、元々肉が好きなタイプでした。野菜は、生でも煮ても炒めても蒸してもあまり美味しいとは思わないけれど、お務めのように食べていました。だからと言って、お菓子やジャンクフードが好きだったわけではなく、どちらかと言えば食事がすきなのです。

今年の春から近所のCSA (Community Supported Agriculture の略)に加入しました。日本では提携というのだとウィキに書いてありましたが、コープとは全く異なります。近郊にある農場と季節ごとの契約を結び料金を先払いするので、農場とすれば野菜を育てる前から引き取り人が決まっているので、安定した農場経営が可能になります。消費者の立場から見れば、野菜の種類は選べませんが、新鮮な旬の野菜が毎週手に入る事になります。天候が良く豊作ならば、沢山のゴージャスな野菜が配布されますが、悪天候が続けば、野菜の量や質は落ちてしまうというリスクはあります。CSAが必ずしも有機農法を行っている農場と契約しているわけではないと思いますが、CSA契約を行っている農場は有機農法を行っている所が多いようです。

何故CSAに興味を持ったのかと言えば、Supersize Me というドキュメンタリーの映画を見た事がきっかけです。私の大好きな Mark Bitmann というニューヨークタイムスの食品評論家もCSAに関して度々紙面に書いています。どのような内容に危機を感じたかに関しては、あえてここでは書かないので、興味のある方は調べてみて下さい。

近所でCSAはないかと探してみたら、私の住むアパートのはす向かいの教会で集荷と配布を行っている事が分かったので、最初は夫に内緒で加入しました。ここ数年、私の家庭は経済的に厳しいので、22週間の野菜に350ドルを支払う事に対してかなりの抵抗があり、言えば夫は絶対に反対すると思ったからです。計算すると、一日約2ドルを野菜に費やす事になります。オーガニックなので安いと言えば安いのですが、普通に生活していて一週間に14ドルも野菜を買う人は少ないと思います。残念ながら、最低限の生活をしている家庭では、野菜は贅沢品の部類に入ってしまうのです。

興味半分、半信半疑で始めたCSAですが、配布された野菜は、新鮮だからかそれともオーガニックだからか、とてもおいしく、夫も私も完全に癖になりました。野菜には本来味があって美味しいものなのだと分かると、食生活も自然と野菜中心になって来ました。気がついてみると、野菜は満腹になるまで食べても、肉類を食べたときのような胃もたれ感がないのです。

誠に素晴らしいCSAで、多くの人が野菜本来の美味しさを知れば、ジャンクフードや過剰に加工された食品の消費も少なくなり、生活病や成人病も減ると思うのですが、大きな問題があります。他の国ではどうなのか分かりませんが、少なくともアメリカでは、健康的な食生活を送るためには、少なからずお金がかかるのです。どういうわけか、過度に加工された、いかにも体に悪い食品のほうが、そのままの野菜や肉類を買うよりも安いのです。

CSAに加入している人々は、高学歴で30代までの若くて自由業っぽい人が殆どです。ある程度金銭的な余裕があり、独身で健康に気を遣っているためか、太っている人は皆無、ベジタリアンの比率も多いと思います。でも、本当の意味で sustainability という事を考え、地域での食品の自給率を上げ、糖尿病などの生活病を少なくする事を目標とするならば、新鮮な野菜やオーガニックの食品は収入の低い人々ににこそ容易に手が届くようでなければならないはずです。

幸い多くのCSAは、近郊の農場から野菜等を買う事によって、周辺の環境を自分達で変えて行こうというモラルに基づいて活動しているので、より多くの人びとに野菜や肉等を購入してもらう為に、低所得者の枠がある所が多いようです。NYCHAのハウジング・プロジェクトがある周辺のCSAでは、フードスタンプから毎月直接費用を引き下ろせるシステムもできているようです。

以外と遠いようで近いCSA。今はインターネットという便利なものがあるので、こういう類のものも簡単に見つける事ができるようになりました。そして、さっきメールで連絡が来たのですが、今年の冬から来年の春にかけてもCSAの配布を受ける事になりました。何が来るのか今から楽しみにしています。



よかったらクリックおねがいします。 ↓こちらのクリックもおねがいします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ

0 件のコメント:

コメントを投稿