2012年4月15日

英語力

TOEICが人気であるという、焚き付けるようなニュースを見て、もしかしたらそれは日本のクライアントを獲得するのに良いかもしれないと思い、ネットにある無料の模試をしてみたら、リスニングの段階で音声が出て来ないので断念してしまいました。

そのため、最初の部分の模試しかやってないので、TOEICに関しての限られた知識しかないのですが、これで英語力の何が計れるのだろうかと少々疑問を感じました。高得点をとっても、英語クイズ王にはなれそうですが、ビジネスレベルの英語ができるかどうかは怪しいと思います。

アメリカの大学に入る際に、私もかつてTOEFLを受け、決められた以上の得点を取り、それから大学の入学許可とビザを出してもらいました。ところが、現地に行ってみると、大学では独自の英語と数学のテストを生徒に行っており、そのテストにパスするまでは、普通の授業がとれない仕組みになっていました。必要なだけのTOEFLの点数は持っているものの、実際に大学レベルの授業を理解し、論文を書くだけの英語力がない留学生が多い為にとられた対策だそうです。

私もEnglish as Second Languageのコースを1学期間取らされました。そこで、論文の書き方、討論の仕方など、大学生活で必要な一通りの事を教わり、次の学期からは、普通に大学の授業を受ける事ができました。なかには英語が普通に喋れてもTOEFLの必要な得点が取れない留学生(南米系に多い)、TOEFL高得点を持っていても大学独自の英語の試験になかなかパスできない留学生(アジア系に多い)もいました。

大学でそれなりの成績を納めるのには、それなりの努力が必要でした。アメリカ人の学生が1時間で済む予習に、留学生は何倍もの時間を費やします。全ての分からない単語を調べていると、いくら時間があっても足りないので、要領良く大抵の分からない単語の意味は憶測し、どうしても分からない単語をのみを辞書で調べていました。

地学のコースをとっていた時に、辞書を引いて日本語訳が分かっても、その日本語自体が地学の特殊な用語なので意味が全くわからないという困った事態に陥りました。私は日本で大学レベルの地学のコースをとった事がないので、事前の知識がなかったためです。日本語を調べても分からないならば、辞書を引く意味がないとようやく気がつき、それからは全てを英語で理解することにしました。

今考えると、私の論文は、かなり酷かったのではないかと思いますが、それでもどうにか卒業し、就職する事ができました。グラフィック・デザイナーという職業なので、それほど語学力が必要とされる分野ではありませんが、今になって考えれば、私のような英語もたどたどしい外国人をよくも雇ってくれたと思います。

私が本当に英語を理解するようになったのは、それからです。学生のうちは、分からない事があっても、自分の成績に響くだけなのですが、仕事をしてお金をもらっているからには、上司から言われている事、同僚との話、業者との取引の全てが理解できなければなりません。学生の時にはあまり必要なかったコミュニケーション能力、英語での理解力、表現力というのが、仕事の場では毎日要求されます。

そして、最後まで難しかったのが、仕事場での会話の横入りです。例えば同僚が3人位で盛んに話をしている時に、そこに割って入って自分の話を繰り広げるのには、かなりの語学力を必要とします。でもこれができないと、オフィスでの市民権を獲得するのはなかなか難しいのです。

長く英語で仕事に携わっていれば、いずれは英語でのコミュニケーション能力も身に付いて来ます。私が今でもできない… おそらく一生できないだろうと思うのは、日本語と英語のスイッチを瞬時に間違えずに切り替える事です。例えば、夫が日本に来ると、私は日本語の全くできない夫の通訳にならざるを得ないのですが、それをやるといつのまにか、日本の家族に英語で話し、夫に日本語で話してしまいます。幼い頃からバイリンガルとして育った人は、そのスイッチの切り替えを間違えずにできるそうです。



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2 件のコメント:

  1. こんにちは、今TOEFLに苦戦している留学生です。
    記事を日本語&英語バージョンにして頂けますと、「N.Yで英語を話せて活躍出来る日本人」の目安になります、たいへんお忙しいと存じ上げますが、語学に関する記事に一部でも英訳を着けて頂けますと参考になります。

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  2. 私自身の英語力は、私の英語のブログを見ていただければ、だいたいの所は分かると思います(http://blog.japanwatcher.com)。日本人読者を対象に書くアメリカの話題は日本語で、アメリカ人読者を対象に書く日本の話題は英語にしているので、日本語と英語のブログの内容は全く異なっていますが。

    アメリカ人で文章が書ける人でも細かい文法的な間違いを結構します。殆どの印刷される文章やネットに掲載される文章(コメント等は除く)は、出版される前にproof readerを使って文法的な間違いがないようにするのが普通です。わたしも、英語のブログはアップロードするまえに、夫に目を通してもらっています。

    もしも、日本語と英語の両方を比べながら勉強したいなら、聖書を使うのが一番良いと思います。なるべく普通の現代語に近い英語の聖書と日本語の聖書をそれぞれ買って一節ずつ比べてみると、たっぷりと長い本だし、読み物としても面白い箇所も多いし、Judeo-Christianの世界を知る良い勉強になると思います。

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