2012年4月9日

パスオーバー(過超祭)2012

夫の親戚の家で大変素晴らしいパスオーバーを過ごして来ました。日本人でありながら、しかもユダヤ教に改宗してもいないのに、このような体験をさせてもらえるとは、本当に有り難い限りです。夫の親戚の好意に感謝するばかりです。夫の親戚は、もともとリフォーム(一番戒律の緩やかなユダヤ人のグループ)だったのに、オーソドックス(一番戒律の厳しいユダヤ人のグループ)に改宗した人々です。そのために、パスオーバーのセイダー(晩餐)も昔からのしきたりに則ってすべてコーシャーで行われました。

今年のパスオーバーは、4月6日(金)の日没から8日間です。最初の2日間にセイダーという儀式的な3時間以上にも及ぶ長い晩餐が行われます。セイダーは、モーゼに率いられて、奴隷として住んでいたエジプトから導きだされ、ユダヤの神から十戒を授けられるまでのいきさつの追体験をするようにデザインされており、ユダヤ人にユダヤ人であることの自覚を促します。

食事の前にパスオーバーの意味についての朗読を(写真の青い小冊子に手順や朗読する内容が英語と古ヘブライ語の両方で書いてある)参加者が一人一人交代で行いますが、その時に写真にあるマッツァ(大きなクラッカーのように見えるもの)や皿の上に乗った6つの物に関する説明が行われ、それを実際に食べます。

ホースラディッシュ(西洋わさび)は、エジプトで奴隷だった時の辛さを意味し、細かく切ったリンゴ、胡桃、シナモンとワインを混ぜた物は奴隷が建造物を作るときに使ったモルタルを意味し、塩水に浸して食べるパセリは奴隷時代の涙を意味し、羊のモモの骨(これだけは食べない)は、神に捧げる羊を意味し、固ゆで卵はもう一つの神への捧げものを意味します。

クラッカーのようなマッツァは、イーストの入っていないパンで、エジプトを出る時に急いでいたので、パンのイーストが膨らむ時間がなかったという言い伝えから、パスオーバーの間の一週間は、イーストの入ったものを一切食べずにパンの代わりにマッツァを食べます。

その後にようやく晩餐となるのですが、最初のコースはゲフィルト・フィッシュ、次にマッツァ・ボール・スープ、それから七面鳥と付け合わせのジャガイモ、マッシュポテト、様々な種類のクーグル、野菜類、そしてチョコレートや果物、マカロン、ケーキ等のデザートでした。奴隷から自由の身になった事を祝う儀式なので、贅沢に沢山食べるのがポイントなようで、夫の親戚の家ではいつも食べきれない程の沢山のおいしい料理を用意してくれて、本当にお腹が一杯になります。食事の後にも更にセイダーを締めくくる儀式があり、夜の10時を過ぎて全ては終了します。

コーシャー(ユダヤ教の食事に関する法)では、肉と乳製品を一緒に食べてはいけない事になっており、デザートに出されたチョコレートにもケーキ類にも乳製品は使用されていません。また、特にパスオーバー期間中の食べ物は特別にパスオーバー用に聖別されたものでなければならず、小麦を入れた食品は18分以上調理してはいけない事になっているので、果物野菜類以外の全ての食べ物はパスオーバーの為に特別に購入しなければなりません。

親戚の家にいた二日間は、オーソドックスの習慣に則って、一切の労働をしませんでした。ユダヤ教で言う労働とは火をおこさない事なので、文字通り働く事のみが労働ではありません。車の運転もしないし、料理もしないし(全ての料理は当日の日没以前に作ってある)電話も取らないし、テレビもみないし、電気をつけたり消したりもしません。電気は、火をおこして作られているものなので、電化製品の使用も労働とみなされるようです。私はオーソドックスのユダヤ人ではないので、そのしきたりを強制される事はありませんが、いつも大変暖かく迎えてくれる親戚に敬意を示すために同様に行動しました。

労働が禁止されているだけに、写真をとる事も少々はばかられたのですが、儀式の様子を撮らずに、セイダーの始まる前のテーブルや七面鳥とグレービー(タレ)の写真ぐらいならば、差し障りないだろうと思い、撮ったのが上の写真です。



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