黒人がオバマ候補に熱狂的になったのは、十分理解できます。いくらアファーマティブ・アクションというものが法律で決まっていても、黒人が社会のトップまで登り詰めるのはかなり珍しい事なのです。大学生や若い世代も人種に関わらずオバマを熱狂的に支持していた人は多く、ボランティアはかなりの数に登ったようです。
でも、若くてハンサムで雄弁な黒人が大統領になったからと言って、すぐにアメリカの黒人全体の地位が上がったり、生活が良くなると期待するのは危険だとも思いました。急降下し続けていた経済を安定させ、新しいシステムを構築して雇用を産み出すのには時間がかかるからです。
それと全く同じ事をアメリカ人は1994年に南アフリカがアパルトヘイトを撤廃して、デ・クラーク大統領が退く時に言っていました。「いくらアパルトヘイトが撤廃されたからと言って、国家が一晩にして変わって、次の日から生活が楽になると考えるなら、国民は自分を欺く事になる。社会が変わって行くのには、それなりの年月が必要だ。南アフリカ人が、果してそれを辛抱強く待つ事ができるのか、疑問だ。」
南アフリカは、今でも問題こそ山積しているものの、それなりに持ちこたえていると思います。アパルトヘイト時代に行われた人種差別犯罪を明るみに出すために設定されたけれども、罰しない事が条件のTruth and Reconciliation Commissionには、関心させられました。
オバマ大統領が就任して4年後の今、再選をかけた戦いが続いています。4年前の熱狂は嘘のように冷めていて、人びとが口にするのは「オバマ大統領に裏切られた気がする…」という言葉です。
オバマ大統領は、無謀な二つの戦争と記録的な財政赤字を相続しました。それを4年間で奇麗さっぱり清算して、国民に豊かな生活を提供しないと言ってアメリカ人は「裏切られた」と言っているのです。
今アメリカ人は、1994年に南アフリカに対して言っていた言葉をそっくりそのまま自問すべきです。
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