2012年8月27日

空腹なアメリカの子供達

豊かな国アメリカでお腹を空かせている子供達が実は沢山いるのだと書いたら、驚く人がいるかも知れませんが、2010年の統計によると1,600万人の子供達が食料確保の難しい家庭に育っているのだそうです。先日のニューヨークタイムスの記事にもアメリカの教育費の削減や食費援助プログラムの縮小によって更に多くの子供達がまともな教育が受けられないどころか食べる物にも事欠くようになれば、2030年頃には中国やインドとの競争力をさらに失うと書いてありました。

私の息子の通う学校は住宅地の中にある公立の小学校で、子供達の人種も家庭の経済状況も実に様々です。少し離れた所から通って来る比較的裕福な家庭の子供がいる一方、家庭で充分な食事がとれない子供もいます。それを現実に目の当たりにしたのはある日、何かの都合で息子を少し遅れて登校させたときでした。

学校側に直接渡したい書類もあったため、息子と供に職員室まで行った時に、もう一人遅れて来ている子供がいました。ちょうどその場に居合わせた校長がその子に朝食を食べて来たかどうか質問していました。子供が食べていないと言うと、校長は「お腹が空いていては勉強に集中できないから、カフェテリアに行きましょう。何かあると思うから。」と言ってその子の手を引いて職員室から出て行きました。

普通、子供は無理矢理にでも親に朝ご飯を食べさせられてから登校するものだと私は思っていましたが、アメリカでは事情が少し異なるようです。アメリカの小学校は、子供の食料事情にまで気を使わなければならないのかと驚いた反面、校長の行動には敬服しました。

ニューヨーク市の学校給食は一人一食$1.50でまかなっていますが、経済的に困窮していて支払いが困難な場合には、前もってそれを証明する書類を提出すれば、給食費は減額若しくは全額免除になります。朝食を家庭で食べるのが困難な子供達は、朝少しだけ早く登校すれば学校で無料の朝食を食べる事も出来ます。

アメリカの学校の給食は日本の栄養バランスにも優れた美味しい給食と比べれば本当にお粗末なものですが、そんな給食でも食べるのを楽しみにしている生徒が少なからずいます。アメリカの子供達の約5人にひとりは年収が約2百万円以下の貧困家庭に育っており、毎日夕食が食べられるとは限らないので、給食がとても重要な栄養補給の場になっています。そういう子供達の為に、ニューヨーク市では夏休みの間にも学校を開けて朝食と昼食を子供達に食べさせている所が地域にかならず一つはあります。子供がその学校に通っている必要はなく、ただ子供をそこに連れて行けば、子供は無料で食事が出来るようになっています。

色々と考えさせられます。



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