2012年11月2日

ニューヨークの優先順位ー市民の生活とマラソン

ハリケーンから数日経って、市当局の優先順位と市民の要求にズレが生じて来ています。行方不明者の捜索と電気などの生活の基盤をまず立て直して欲しいと切願している市民と、今週の日曜日にニューヨークシティー・マラソンを強行しようとしている市当局に軋轢が生じ始めたようです。

ニューヨークシティー・マラソンは、市民マラソンのなかでも最も規模の大きいものの一つで、世界中から有名招待選手も毎年参加します。市の財源の一つでもあるので、ハリケーンの被害にあった僅か一週間後にマラソンを開催できれば、それで市の復活をアピールできる事にもなると主催者側は考えているのでしょう。

でも現実には、木曜日の夜の時点で、未だにマンハッタンの34丁目より南側は停電したままだし、幾つかのトンネルと地下鉄も水没したままです。特に被害の大きかったスタテン・アイランドやクイーンズの一部では、未だに崩壊した家やその付近での行方不明者の捜索活動が続いているような状況です。

いくらニューヨークの不屈の精神を内外に表明する意図があるにしても、まだ半壊した家から寝たきり老人が救出されているような段階でのマラソンの開催は、優先順位をはき違えているように感じる人は大勢いると思います。

ニューヨークシティー・マラソンのコースは、ニューヨークの5つの区の全てを回ります。マラソンの解説は、それぞれの区を通過する時にその区の紹介をするのでしょうが、たった1週間前に襲ったハリケーンの被害は、マラソンのバックグラウンドとするには余りにも生々しいのではないでしょうか。

ブルームバーグのハリケーン対応は、今の所迅速で素晴らしいと言われていますが、ニューヨークシティー・マラソンの開催は、その評判に大きな傷をつける事になると思います。

追記:開催二日前にマラソンは中止になりました。やはり被災者を含めた市民の反発が大きかったからのようです。400戸分の発電をまかなえる超大型発電機を2台も使って準備をしていたのがニュースで報じられていましたが、そういう物は非常時には停電している地域に回すべきですよね。



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