2012年11月9日

何故ロムニーが負けたか

大統領選挙が終わってから、各メディアではロムニー陣営の参謀が揃って「我々は白人だけの支持ベースでは勝利できない事に気がついた。もっとマイノリティーを取り込む努力をしなければならない。」というような分析を行っています。

「は???」というのが私の率直な意見です。本当に今頃共和党はそんな事に気がついたのでしょうか。白人票のみで選挙を乗り切れると思っていたロムニー陣営は、幻想を追っていたのでしょうか。アメリカの人種構成で白人の割合が毎年着実に減っているのは今更ニュースにもならない古いネタです。

白人の高齢者層は投票率が非常に高いグループです。おそらくロムニー陣営は、将来はともかく今回は白人票のみで乗り切れると思っていたのでしょう。ところが、オバマ陣営のデータを駆使してターゲットを絞った選挙戦は、白人以外の投票率を激戦区で伸ばすことに成功しました。

共和党の政策は、社会的な保守と経済的な保守の二本柱です。経済的な保守には、多くの日本人が共感しているように思います。財政赤字をなくし、税金を撤廃し、できるだけ政府を小さくする事が経済の発展に繋がるという考え方です。年金や失業保険、生活保護などの社会補償は労働意欲のない個人を助長することになるので好ましくないと考えています。また、仕事を産み出す企業は高所得者層には、税制の優遇措置を取るべきであるとも言っています。

社会的な保守とは、アメリカ的な生活や考え方を重要視し、受精卵は人格を持つので人工妊娠中絶は全廃し、避妊は神の意思に反するので禁止し、強制的な健康保健制度は自由の剥奪であり、同性愛も神の意思に反するので禁止し、学校ではダーウィンの進化論ではなく、聖書の創世記を教えるというような考え方です。おそらく、日本人が共感できる部分は少ないはずです。

現在のアメリカ共和党は、この二つの財政的な保守と社会的な保守をストイックなまでに押し進めようとしています。それに心から共感できるのは、裕福なキリスト教の白人ぐらいのものでしょう。選挙活動中に演説を聞きに集った人びと、また共和党と民主党の大統領選挙の開票パーティーに集った人びとの写真を比べてみれば、一目瞭然です。

一切の妥協を許さない態度は、少数の熱狂的な支持者を喜ばせることは出来ますが、それ以外の人びとからは敬遠されます。共和党の支持者の中にも、「共和党は国民の寝室から退出すべきである。」と考える人はいますが、そういう人びとは徐々に共和党と距離を取り始めました。

アメリカに於いて将来、裕福な白人層が増加する見込みはありません。今のままの支持層では共和党は次の選挙を戦って行けないと、共和党は言っているのですが、私にはそんな事を今更のように言い出す思考回路が全く理解できないでいます。



よかったらクリックおねがいします。 ↓こちらのクリックもおねがいします。
人気ブログランキングへ

にほんブログ村 海外生活ブログ ニューヨーク情報へ

0 件のコメント:

コメントを投稿