スタンフォード大学の研究によると、有機農法で育てられた野菜と普通の野菜との栄養価の差は殆ど見られない事が分かったというニュースが昨日の新聞やテレビで報じられていました。(
ワシントンポストと
ニューヨークタイムスで読めます。)
有機農法で育てられた野菜は残留農薬の量が普通の野菜よりも30%程少なかったとそうですが、そもそも普通の野菜から検出される残留農薬の量自体微量なので、人体に与える影響は変わらないと言っても差しさわりないのだそうです。
かといって、有機農法で育った野菜と普通の野菜と全く同じかと言われれば、そうでもないようで、それぞれの野菜や果物で微妙な差はあるようです。でもどれも取り立ててオーガニックを選んだ方が体に良いと言える程でもないというのが研究結果です。
有機農法かどうか、無農薬かどうかを気にするよりも、なるべく近郊の農場で出来た野菜や果物を買って食べる方が、例えば外国から輸入されて来る物を食べるよりも、より少ない仲介を経ている事になるので、それだけ鮮度も失われず栄養価も高いという事です。
私は CSA (Community Supported Agrigulture) のオーガニック野菜を季節毎に購買契約を結んでいます。毎週1回、野菜を近所の集配所まで取りに行くと、家族3人が毎日数種類の野菜をたっぷり食べても時々食べきれない程の量が来ます。計算してみると、1日あたり約2ドル程です。美味しいし、かなり特だと思うので続けています。
オーガニックはそれ自体かなり大きなプレミアムマーケットに成長しました。特に30代以下の若い世代がオーガニック食品を好んで買う傾向にあるようです。その利潤を見込んでアメリカの巨大食品メーカーは、積極的に小さなオーガニック食品メーカーを買収しました。オーガニックを買う為ならば、消費者は何割増かのお金を喜んで支払う点に注目したのです。
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アメリカのオーガニック食品メーカーの系統図
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その結果、アメリカのオーガニック食品メーカーの殆どは、ハインツ(ケチャップの会社)、ケロッグ、クラフトなどの巨大食品メーカーの傘下にあります。
巨大食品メーカーが親会社だからダメだというのではないのですが、どんな添加物をオーガニック食品に加えても良いかという決定を下す USDA (United Statets Department of Agriculture) の
オーガニックプログラムの基準を決めるメンバーの役員が巨大食品メーカーから出ている為に、アメリカのオーガニック食品に使用できる添加物はここ十数年で劇的に増えたのだそうです。
また、オーガニックだから必ずしも体に良いとも限りません。例えば、Kashi というシリアルがアメリカにあります。箱のデザイン自体や広告はいかにも健康食品っぽく作ってあり、オーガニックの店でも買える商品です。でも原材料リストを見ても分かる通り、結局は少し質の良いジャンクフードでしかないのです。オーガニックでもスナックやお菓子ばかりを食べているくらいなら、オーガニックではない普通の野菜を食べる方が体には良いのです。
また、各国によってオーガニックの基準も違うし、気候によっても果物や野菜を育てる為に必要な農薬に差が大きく出てきます。例えば、リンゴはワシントン州などのアメリカ西海岸では無農薬で育てる事ができるけれども、ニューヨーク州では不可能です。
ワシントン州からはるばるニューヨークまで運ばれて来た無農薬のリンゴを選ぶか、それともニューヨーク州でなるべく少ない農薬を使って育てられたリンゴを選ぶか、それは各消費者の判断によります。
アメリカで
どの野菜や果物に農薬が沢山使われているか、また殆ど使われていないかをまとめたサイトがあります。日本では気候も異なるし、作物がかかりやすい病気もアメリカとは異なるのでこれがそのまま当てはまるとは思いませんが、興味がある方はどうぞ。
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