2012年9月22日

実は働いているアメリカ人

先日、密かに撮影されたロムニー候補のビデオが浮上して、「47%のアメリカ人は、働かずに政府にたかっている…」というような発言をしていた為に問題になっています。

でも、これはロムニー候補のみが思っている事ではなく、実は日本人もアメリカ人は働かないと思っています。私もアメリカに来たばかりの頃、スローモーションで動くマクドナルドの店員やお喋りばかりしている社員を見ては、一体この国はどうなっているんだろうと思っていました。

ところが、先日偶然にもファイナンシャル・タイムスが掲載した日本、ヨーロッパ、アメリカを比較するデータを見つけて、かなり驚きました。表面上のアメリカ人の労働時間は、日本人よりも長いのです。勿論、数値になって表れないサービス残業を入れたら、日本人の労働時間の方が遥かに長いに決まっています。それでも他の国に比べてアメリカ人の労働時間は長く、しかも効率がいいのです。

いつの間にこんな変化が起ったのかと考えてみるといくつか思い当たるフシがあります。アメリカの会社は代表が替わったり、他の会社と統合されたりすると、社員をレイオフする癖があります。多くのアメリカ人は、一生のうちに一度や二度のレイオフにあっているはずです。レイオフを繰り返す事によって、企業からみれば、賃金の上昇を防ぐ効果もあるのでしょう。

レイオフされてしまうのは、その人に能力が欠けているからで、本当に優れた人材のみがずっと同じ会社にいられると言う人もいます。でも幾つかのレイオフを見て思ったのは、レイオフは会社の都合で行われているもので、一つの部署がまるごと潰されてしまう事もあり、有能な人でも切られる時には切られてしまいます。

新しい指導者がいままで一緒に働き慣れた新しいチームを引き連れて来る事もあります。そうすると一つの部署の顔ぶれも全く変わってしまいます。

結局、レイオフされずに会社に残った人は、今までとは異なる社風の中でレイオフされた人の分まで働く事になります。レイオフされた人が、そのままの技術や知識で仕事を見つけられればそれに超した事はありませんが、今の経済状況ではそれは稀です。大抵の場合、新しい資格を取ったり技術を身につけないと次の仕事に就くのは難しいのです。

それでも次の仕事が見つかれば良い方で、多くの能力のある人が失業しているのが今のアメリカです。実質の賃金が5年前よりも低くなっている人は少なくなく、それを埋め合わせするために、二つ仕事を持ったり一家全員が働いたりというケースもあります。

働いていても収入が低ければ、生活して行けなくなるので、所得税の課税対象にはなりませんが、殆どの人は日本の年金にあたるソーシャル・セキュリティー税を支払っており、全く税金を払っていない人は殆どいません。

また、税金を支払っていないとされる47%の多くは、高齢の年金生活者という事実もあります。ロムニー候補者の発言は、いくら裕福な支持者を前にしていたとしても、あまりにも無神経だと党内からも批判が出ています。

もっと詳しい日本、ヨーロッパ、アメリカの労働生産性と年齢分布を比較したデータは、ファイナンシャルタイムスのウェブサイトで見る事ができます。とても興味深い内容です。



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2 件のコメント:

  1. 通りすがりです。実際にアメリカ人と仕事をしている方も「アメリカ人はすごく働くイメージ」だと仰っていました。大勢いますからマクドナルド店員のようにゆったりしたのもいるでしょうけど、実はバリバリ稼ごうって人がけっこういるようですね。

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  2. アメリカ人は特に、地位が上がるに連れて労働時間も増えるようです。アメリカの会社で役職に付いていない人が残業をする事は珍しいと思います。

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