2012年9月11日

アメリカの義務教育

9月に入り、アメリカ中の学校が新学期を迎えました。アメリカで受けられる義務教育は、住む地域と親の経済状況、子供の学力によって大きく変わってきます。

例えば、日本には教科書検定制度があり、それに沿った内容以外の教科書は学校で使う事は出来ません。ところが、アメリカには国による教科書の検定制度はなく、教える内容も州によって様々です。

日本人には信じられない事ですが、人類の成り立ちについて進化論(ダーウィン)ではなく創世記(旧約聖書)を公立学校で教えている州もあります。子供を学校に通わせずに家庭で学校教育するケースも年々増加しているようなので、良い悪いは別としても、その多様性には驚かされます。

高所得者が住むような固定資産税の高い地域は、教育に充てられる税金の額も多いために、学校の質も良い傾向にあります。逆に貧困地域の学校や都市部の学校は、予算が少ないために、環境が荒れていたりあまり良くない傾向にあります。

私が住むニューヨーク市では、所得や人種による住み分けが進んでおり、道を一つ隔てて良い学区と悪い学区が隣り合わせになっている事があります。良い学区に子供を入れるためにわざわざ引っ越したり、知り合いから住所を借りたという話はよく聞きます。それ以外にも、試験で高得点を取った子供だけが入学できる特別な公立学校や特殊なプログラムもあります。

教育に熱心な親は、大学から逆算をするのだと読んだ事があります。つまり、例えばハーバード大学に入る為には何処の高校が良いか、その高校に入学する為にはどこのミドル・スクールが有利か、そのミドル・スクールに入るにはどこの小学校が良いか、そして最後にはその小学校に入る為にはどこのナーサリーが良いかと突き詰めて行くと、2才頃から子供の教育が始まるのだそうです。でも実際にそれを実行している人に会った事はありません。

何年も前に、とある日本人のお母さんの会に所属していた事があるのですが、そこで子供の学校に関する勉強会があった時に、パネリストをしていた小学生の子供を持つお母さんが、
「やはりいくら良い公立学校に評判の先生がいると言っても、所詮は公立学校の先生ですからね。質から言えば私立の学校の先生には叶わないですよ。」
と言っていたのを憶えています。

公立学校の先生の給料は有名な市立校に比べればかなり低いようで、やはり優秀な教師はより沢山収入が見込める私立学校に行きたがる傾向があるのでしょう。少人数のクラス、充実した設備とカリキュラム、上手に子供を指導できる優秀な教師には、沢山のお金がかかるのです。

日本とアメリカがそれぞれ教育に充てているGDPの割合は3.5% (132位) と 5.5% (55位) です。どちらの国も教育にあまり熱心とは言えません。両国とも教育を将来への投資と考えて経費の増額をしないと、近い将来に世界的な競争力を失う事になりそうです。



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