2012年2月29日

銃規制問題

先日、オハイオの高校で生徒による銃の乱射事件があり、これまでに3人の死亡者を出しています。このような教育の場に於ける銃乱射事件は年に数回起きており、他にも子どもが家庭にある拳銃や狩猟用ライフルを操作して死亡する例や、拳銃が自殺や強盗に使われる例などもあわせると、年間の銃による死亡者数はかなりの数に登ります。そして、何か大きな銃に関する事件が起きる度に銃規制が話題にはなるのです。

アメリカでは、銃が普通に一般家庭にある地域とない地域があります。例えば、ニューヨークやボストンを含めた北東部は、人口が密集していて、警察も高度に組織化されているために、何か事件があっても警察に電話をかければ、数分以内に数台のパトカーが駆けつけて来るので、一般人の生活の中で銃で自分の身を守らなければならないような場面はありません。かえって、やたらと銃を持ち歩いている方が、犯罪に巻き込まれる率は高いと思います。一方、広大な地域に家がポツポツと立っているような場所では、例え強盗に入られて警察に電話をかけても、助けが来るまでには時間がかかります。また、そういう地域では、往々にして警察もあまり頼りにならなかったりします。ただ、銃を持ち歩いていたからといって、それで本当に自分の身を守る事ができるのかというのは、アメリカ人でも意見の分かれるところです。

元々アメリカは、イギリスやフランスの植民地が点在していた為に、それぞれの州が別々に自治を行っていました。イギリスから独立し憲法 (Constitution) が制定された時点でも、まだ連邦政府の役割は小さく、個人が武装し州を自衛する事は普通だった為にアメリカ合衆国憲法修正条項第2条でもこの自衛権が認められています (Second Amendment to the United States Constitution, 1791)。この憲法修正事項の解釈がアメリカの銃規制を語る時に、いつも問題になってきます。

アメリカで一番大きな利権団体と言われている全米ライフル協会などは、このアメリカ合衆国憲法修正条項第2条を最大限に解釈し、州兵組織への参加のいかんに関わらず、個人が武装する権利は憲法で認められていると主張しており、それが2008年と2010年にも最高裁で認められています。一方、銃規制を推進しようとする側は、アメリカ合衆国憲法修正条項第2条は、州兵組織のためにあるもので、個人的に武装するためにあるのではないと主張しています。

また、アメリカは連邦政府なので、それぞれの州の自治が大きく異なります。例えば、身分証明書や運転免許証は州ごとに発行されるし、週末はアルコール飲料の販売を禁止している州があったり、運転免許が取れる年令も州によってまちまちです。銃規制もこの例に当てはまり、規制の一番厳しいニューヨーク州では、銃の個人所有こそ禁止されていませんが、販売も厳しく管理されており、一般市民が銃をニューヨーク市内で持ち歩くことは一切禁止されています。ところが規制の緩い他州で購入した銃でも簡単にニューヨーク州へ持ちこむ事ができるために、そのような銃は絶えずニューヨーク州へ流入し、ギャングや犯罪者の手に渡ります。

アメリカの銃に対する執着は、私を含めた外国人の目からすれば異様に見えますが、アメリカの歴史や政治を知れば知る程、例えどんな悲惨な事件が起ころうとも、銃規制は不可能であるという絶望的な気持ちになってきます。



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