2011年10月14日

ウォールストリートの座り込み(その3)

私がデザイナーとして仕事を請け負い始めたのが2005年、それから2〜3年程は順調に仕事の量も増えていきました。次の年はまともな売り上げがあるだろうと思っていた矢先にリーマンブラザーズが倒産、今までのクライアントが倒産したり事業を縮小したり、デザインに充てる予算が極端に少なくなりました。企業に資金がないわけではないのでしょうが、今はそれをしっかりと保持することが重要で、デザイン等にはあまり使わない傾向にあるようです。

商売をしていると、新聞やテレビのニュースになる前に、世の中の景気が手に取るように良く分かります。今年の始めに少しは持ち直した感があったのですが、それも夏に帳消しにされ、現在は今までになく閉塞感が漂っています。残念ながら、アメリカの経済が近い将来に好転するような見通しは一切ありません。

ウォールストリートの座り込み運動に、たまにでも参加したい気持ちも理由もあるのですが、なかなかダウンタウンまで飛んで行けないわけが3つあります。1つ目は家庭。夫は放っておいても大丈夫ですが、子供はそういうわけにも行きません。大抵のデモが夕方のニュースの直前に行われるので、子持ちが参加するのは難しいのです。午前中やお昼頃の出来事は、夕方のニュースの時間まで持たない傾向にあるので、注目を集める為のデモ等は時間を選んで行われるのです。

2つ目の理由は、座り込みをしている人々のヒッピー感覚やフォークソング感覚に、私はいまいち馴染めないのです。年配の人達も中にはいますが、その人たちはおそらく、本家本元のヒッピー世代なのではないかと思います。問題は、歌やファッションではないという事は理解できるのですが、すぐ側でギターをひいて叫ぶように歌われると、ちょっとさめてしまう自分がいます。やはり、大半の参加者はとても若いのです。

3つ目の理由は、この座り込みが行き着く先はどこなのか、何を求めているのか、良く分からないという事です。エジプトを民衆が変えるように見えた後で、イスラム教過激派が事態を掌握しようとしている状況を見ると、今ウォールストリートの運動を支持したところで、ティーパーティーみたいな小賢しい団体に、最後は結果をさらわれる可能性もあるのかと思うと、積極的になれない気がするのです。

テレビのインタビューで「これだけ大きな運動に発展すれば、そしてこれからも拡大し続けて行けば、政治家なんて気にしなくていいようになる。」というような、とてもナイーブな発言を参加者の口から聞くと、余計心配になって来ます。毎日のように、ウォールストリート座り込みの話題がニュースで取り上げられるようになっても、まだまだ状況は流動的で危ういように思えます。

明日の早朝には、座り込み現場の公園をニューヨーク市が清掃しようとしているらしく、もしかしたら大きな衝突になる可能性もあります。



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