2011年9月17日

洗濯屋のおじちゃん

東京で生まれ育ったからか、親戚の洗濯屋のおじちゃんは、巣鴨のお地蔵さんの熱狂的な信者です。元気な頃は、わざわざ逗子から巣鴨までお地蔵さんのお札をまとめ買いに行っていました。お札と言っても、2㎝ x1㎝位の和紙にお地蔵さんの姿が黒いインクで刷られたものです。たしか、何枚かのお札が「御影」と書いてある紙に包んであったと思います。
「おじちゃんなんかね、もう頭が痛いかなっていうと、すぐにお地蔵さんを飲んじゃうんだよ。そうするとね、ピタッと止まるよ。刺なんかもね、ほら刺抜き地蔵って言うでしょ?これ貼っとくと、治っちゃうんだよ。」
子供心にもそんな事はないだろうと怪訝に思っていましたが、もしかしたら何か仕掛けがあるのかも知れないとも思い、
「何か塗ってあるの?」と私が聞くと、
「そんなもん塗ってないよ。ありがたいんだよ、これは。」という、さらに良く分からない答えが返って来ました。
おじちゃんは以前に書いたおばちゃんの弟で、もう80才を過ぎています。若い頃から山登りやスキーに親しんでおり、私達が子供の頃も近所の鷹取山や二子山、お猿畑など色々な所へハイキングに連れて行ってくれました。その想い出があるからこそ、私も息子を鷹取山に連れて行こうと思い立ったのです。

10年以上前に病気で片方の肺を摘出してからは体力もかなり落ちてしまい、遊びに行くといつも居間で横になってテレビを見ています。それでも毎日ゆっくりと、2時間程の散歩は欠かしていないのだと聞いて関心しました。暑い夏でも途中で何度か休みながら、日陰を選んで歩くのだそうです。

今年の8月の滞在中に、散歩の途中で私の滞在するアパートへ立ち寄り、お小遣いをくれました。おじちゃんに、もうお小遣いなんてもらう歳じゃないと言っても、「そんじゃあ、おもちゃでも子供に買ってやんなよ。」と言います。私は既にどこから見ても立派な中年なのに、まだ子供だと思っているのでしょうか。いただいたお小遣いは、本当に子供のおもちゃ代に消えました。

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